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特定秘密保護法って

2013-12-06 11:45:50 | 特定秘密保護法

 すみません、長いです。
 先週いきなり、松谷みよ子さんのエッセイを読もう、読まなくちゃという思いがわきあがり、「松谷みよ子全エッセイ」1~3を読み返しました。ずいぶん前に読んだことがあるのですが、語られていることが今だからこそ身に迫ってきて、前に読んだときはなんて浅くしか読めていなかったんだろうと……。
 今朝、ふせんをつけていたところを読み返したら、「これは今日紹介しなくちゃいかんものだね」と思ったところがありました。きのう、特定秘密保護法案が参院国家安全保障特別委員会で可決されたからです。
 「松谷みよ子全エッセイ1 わたしの暦」(松谷みよ子 筑摩書房)から抜粋します。

 しかし、どうして一億が火の玉となり、戦争へかりたてられたのだろう。
 『民話考』の〈思想統制〉の項には、牧師であった父が特高によって連行される話がある。なぜですかと静かに父が聞く。「お前の家ではおむつを干しているな。花柄や縞柄、白、その組合せでスパイ通信をしているだろう。だから連行する。」この言いがかり。もし国家機密法が通れば、いつ、このようないいがかりで投獄されるかもしれないのである。(1988・3「前進座公演パンフ」)

  今朝の東京新聞から2つの記事を抜粋します。

●社説 特定秘密保護法案 知らされぬ国民の悲劇
 特定秘密保護法は「知る権利」を脅かす本質を持つ。正しい情報を知らされない国民は、正しい判断ができない悲劇の主権者に落ちる可能性がある。
 国民が正しい判断をするには、正しい情報を得る「知る権利」が欠かせない。報道もその一翼を担う。
 特定秘密保護法は、この原理の基本である「知る権利」に絶対的にマイナスに作用する。政府の違法秘密も隠蔽(いんぺい)できる。秘密にしておきたい「核密約」などの情報も意図して「特定秘密」に指定し、秘匿化できる。
 公正なチェックは受けない。「保全監視委員会」などが置かれても、政府の一機関にすぎないから、客観性が担保されないのは当然である。
 「安全保障上の支障」というだけで、国会への情報提供もブロックされる。司法権の監視も受けない。判断権はすべて行政府が握る仕組みは、三権分立からの逸脱に等しい。重要情報を独占する官僚制はやがて独善に陥り、暴走する。
 中国や北朝鮮などを眺めても、正しい情報が伝えられない国民が悲劇的であるのは明らかだ。言論統制が敷かれた戦前の日本も同じ状態だった。
 罰せずとも検挙するだけで効力は抜群だった。今回の法律も特定秘密に接近しようとしただけで処罰の規定がある。「話し合い」が共謀に当たるのだ。容疑がかかるだけで、家宅捜索を受け、パソコンなどが広く押収されうる。
 しかも、「主義主張を国家や他人に強要する」活動が、テロリズムと解せられる条文だ。どのように法律が運用されていくのか、暗然とするばかりだ。
 国連の人権高等弁務官が「表現の自由への適切な保護規定を設けずに法整備を急ぐべきでない」と懸念を表明したのに、政府は無視した。国内の研究者や文化人らの反対にも聞く耳を持たない。
 

 「自分はこう思うんだよね」と言っただけで、それが“「主義主張を国家や他人に強要する」活動”とみなされてテロリストと認定されちゃう可能性大。うひゃー。
 
●情報守れぬ秘密保護法案
 この記事で特定秘密保護法では「秘密」は守れないといっている理由を簡単にまとめてみます。

 政府が述べる特定秘密保護法の意義は、 「(日米)両国間の情報共有が質量双方で広がる」(岸田文雄外相)というもの。(ここで言ってる「情報」は秘密情報のことでしょうね)
 しかしアメリカでは重大な情報流出は絶えない。機密情報の多くが軍事関係情報。情報漏えいには厳罰を与え、政府に批判的な人物や団体の動きを徹底監視しているのに情報が流出する理由はおもにつぎのようなもの。
 1.機密情報の量が膨大であるため、情報を扱う人員も現在400万人以上。秘密を増やせば増やすほど漏えいの可能性が高くなる。
  2.厳罰化しても、情報を出すことを使命と思っている人、信念から情報を漏らす人は止められない。
  3.情報漏えい・流出を技術的に完全防止するのは困難。
  アメリカがそうなら、特定秘密保護法では「秘密情報を日米で共有しその質量が広がる」ことはないよね。
 じゃあなぜ躍起になって成立させようとしているのか。
 中央大の兵藤宗吉教授(認知心理学)は次のように言ってます。
 「情報を出すことを使命と思っている人には、新法ができても影響はない」
  「従って、この法律の目的は公務員の秘密漏えい対策ではなく、情報を知ろうとする市民を心理的に抑圧することだろう」
 福島原発事故以降、無名の市民たちが行動を起こし、ネット上で情報が盛んに交換されている。
 「秘密法で、安倍政権はこうした人たちの動きを止めたいに違いない」

 アメリカのメディアも懸念を表明している。
ニューヨーク・タイムズ(11月28日電子版)で 「秘密保護法によって、日本は戦後の平和主義から離脱するのか」と題する記事を掲載。「反対派は」(中略)言論を抑圧した戦前の強権的な法律とも比べて論じている」と紹介。
通信社ブルームバーグ(12月2日電子版)で「秘密保護法案はジャーナリストをテロリストに変える」と題したコラムを掲載。


 この2つの記事から思ったのは、政府に都合の悪いことを知らせないため、報道させないということで国民の耳と目をふさぎたいんだな、知ろうとして発言する気力をなくすため、おびえさせて口をふさぎたいんだな、そのために特定秘密保護法を作りたいんだろうなあということ。逆らえば戦前でいうところの特高(社会運動の取り締りをした秘密警察である特別高等警察)みたいなのにしょっぴかれて迫害・拷問・殺害か。
 そんなのいやだ。


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