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【転載記事】311子ども甲状腺がん裁判 第8回口頭弁論「何回手術すればいいのか」と訴え

2023-12-08 23:45:28 | 原発問題/一般
原発事故により甲状腺がんになった原告7人が東京電力を相手に賠償を求めている「311子ども甲状腺がん裁判」は、12月6日、東京地裁で第8回口頭弁論が開かれ、原告2名が意見陳述した。以下、メディア2媒体から転載。

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原告「何回手術すればいいのか」〜甲状腺がん裁判(Our-Planet TV)

東京電力福島第一原発事故に伴う放射性物質の影響で甲状腺がんになったとして、事故当時、福島県内に住んでいた若者が東京電力に損害賠償を求めた裁判の第8回口頭弁論が12月6日、東京地方裁判所で開かれた。9月に裁判長が交代したため、原告側、被告側双方が法廷で、これまでの主張などを整理した陳述を行った。また、2人の原告が意見陳述を行った。

最初に法廷で陳述をしたのは被告・東電側。棚村友博弁護士が、UNSCEAR報告書に基けば、原告の被ばく線量は、甲状腺がんを発症するほど高くないなどと主張した。棚村氏は、UNSCEAR(国連科学委員会)の信頼性を強調したが、UNSCEAR報告書が、「ICRP(国際放射線防護委員会)の放射線防護基準策定の基礎となっている」「日本側はデータ収集に徹した」など、事実に基づかない独自の見解を口にすることもあった。

一方、被ばく線量と疫学に関する準備書面を提出した原告側は、被ばく線量に関わる点と、疫学に基づく因果関係論の両面で、東電に反論。田辺保雄弁護士が、東京電力が主張する「スクリーニング検査によって、潜在がんが多数見つかっている」との主張には根拠がないと批判した。

またこの日、原告の2人が法廷に立った。1年前の陳述では衝立て越しに陳述したが、今回は、遮蔽をせず、傍聴席から姿が見える状態で、意見陳述を実施した。最初に証言台に立ったのは、明るいメッシュの入った茶色のボブカットに、スモーキーブルーのトレーナーという出立ちの原告5さん。

「がんの治療が長引くのは、だるくなります。何回手術すればいいのか、もしかしてずっと続くのではないかと考えちゃいます。」

去年の意見陳述から1年間の間に、再び手術の可能性を指摘されながらも、なかなか細胞診ができず、もどかしい思いをしていることをとつとつと読み上げた。

また、最年少の原告6さんは、明るい色のポニーテールに、茶色のトレーナーで遮蔽された原告席から証言台に進み、大学に入ってからの心境の変化や、裁判に対する思いなどを語った。
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311子ども甲状腺がん裁判~二度目の証言台に立つ若者たち(レイバーネット日本)

311子ども甲状腺がん裁判~二度目の証言台に立つ若者たち
堀切さとみ

*開廷前の門前集会には毎回たくさんの人が集まる

 12月6日。東京地裁103号法廷で、311子ども甲状腺がん裁判が行なわれた。
 第八回目のこの日、七人の原告のうちの二名が、二度目の意見陳述をした。前回から裁判長が代わったため、新しい裁判長に原告の話をじかに聞いて欲しいと、弁護団が要請したのだ。
 ところが裁判所はその要請を「衝立を準備するのに人員が必要だから」という理由で拒んできた。原告にとって姿を晒して法廷に立つというのは、どれだけの勇気と負担がかかることか、裁判所もわかっているはずなのに。
 それでも、二人の原告は衝立なしで証言台に立った。

 がんを告知された後も続くつらい検査、つらい治療、手術後の苦しさ、再発の不安。「甲状腺がんは死ぬ病気じゃないから」という人たちに、彼女たちの言葉をぜひ聴いて欲しいと思う。何の落ち度もないのに、当たり前の日常が奪われ、いつまでたっても過去のものにならない。しかし、被害と向き合い続ける日々が、原告たちを成長させていることも明白だった。

 20代のAさんは「放射能を気にする子と気にしない子に分かれていて、自分は後者だった。それでも県民健康調査はありがたいと思ってた。過剰診断だったと言われているが、それなら何のために検査したのか」と言った。
 10代のBさんは「小学生になる前に事故が起きた。将来のことを考える間もなくガンになり手術し裁判の原告になった。今は大学生になり、この裁判に責任を持てるようになった。海洋放出は複雑な思いだ。長く続くこの裁判に挑戦していけたらいいなと思っている」と言った。
  二人とも堂々としていた。Aさんは終わってから「緊張したけれど言いたいことは言えた」と担当弁護士に告げたそうだ。裁判官は、若い原告の思いを放置しないでほしい。人間の心に誠実であって欲しいと思う。

 東電側の代理人は、がんと原発事故との因果関係がないこと、年間100ミリシーベルト以下では人体へのリスクがないことを繰り返した。UNSCEARの権威に頼り、つらつらと文書を読み上げるだけの35分間は眠気を誘うものだった。原告側代理人たちが毎回スライドを使って分かりやすく説明するのと対称的で、わざと分かりにくくしたいのだという印象だけが残る。
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この甲状腺がん裁判、事故当時福島県内に住んでいた私にとっても他人事とは思えない。傍聴したい、7人の原告たちの声に直接触れたいとずっと思ってきた。重要な裁判だとの思いはずっと変わらない。

だが、裁判期日が4半期の締めくくりである3、6、9、12月の3ヶ月サイクルになっているせいか、私の仕事が多忙になるサイクルと重なりずっと傍聴できていない。昨年12月は仕事の再繁忙期と重なった。3月は、私が役員をしている職場労働組合の役員会と同じ日に重なった。比較的仕事が暇だった今年6月、9月は原告の意見陳述が行われなかった。今回、裁判長交代で再び原告が意見陳述するというので、飛行機、ホテルまで確保していたが、前日になって緊急の仕事が入り、急きょ傍聴をキャンセルせざるを得なかった。

どうもこの裁判とは相性が良くない。傍聴したいとの強い思いは現在も持っているが、この裁判に限らず、趣味活動などを含め、3回挑戦して3連敗した事柄からは「成功のための諸条件が揃っていない」と判断していったん撤退し、悪い流れが変わるのを待つというのが私の人生上のポリシーである。事務局を務める人に「諸事情で今後私はこの裁判の傍聴はしないことにした。傍聴以外の方法で支えたいと思っているので、できることがあれば言ってほしい」と連絡したところ「メディアが完全黙殺モードなこともあってこの裁判が全然広がっていない。今はネットでの拡散を最もお願いしたい」と言われた。

そこで、私自身が関わってきた東電刑事裁判のように、今後は毎回、この裁判の報告を当ブログに載せるとともに、次回期日を告知することで裁判を支えたいと考える。次回の裁判期日は2024年3月6日(水)である。私は傍聴できないので、1人でも多くのみなさんに東京地裁前に来てほしい。

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