人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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新宿ルミネ、ついに「ベルク」追い出しを断念

2012-10-07 22:56:13 | 鉄道・公共交通/交通政策
新宿駅構内にある飲食店「ベルク」は、JR発足以来20年以上にわたって構内で営業を続け、顧客の強い支持を受けてきた。そのベルクに対して、駅ビルの「大家」のルミネが5年前から、執拗に立ち退きを求めていることは、当ブログと安全問題研究会で何度かお伝えしてきた。

法的には、借地借家法による「定期契約」(一定期間経過ごとに貸し主と借り主が協議して契約を延長するかどうか決める)ではなく、借り手に強い保護が与えられる「一般契約」(借り手が立ち退きに同意しない限り契約は自動延長され、家主は追い出すことができない)であることから、JR東日本は立ち退きをさせる法的根拠がなく、「強制追い出し」ができないまま今日までベルクが存続してきた。

追い出し断念となった経緯については、井野店長のブログが説明しているとおりだ。家主がテナント商店に退去を迫る場合、退去期日の半年前までにその旨を通知しなければならず、通知をしなかった場合、契約は自動的に2年延長されることになるというのだ。

今回、JR東日本とルミネが9月30日までに「退去に同意を求める通知」を出さなかったことから、ベルクに対する賃貸契約は2013年4月から2年間延長される。つまり、2015年3月までは立ち退きの心配をする必要はなくなるわけだ。

「顧客からのベルク営業継続を求める声、2万名近い署名を無視できない」と、ルミネ側は表明したという。大家にしても、テナントが儲かり、テナント料をきちんと払ってくれるのだから悪い話ではなかろう。ビジネスの基本である「WIN-WIN」の関係(どちらも利益を得る)になっているのだから、よいではないか。

借地借家法が、借り手を強く保護する内容になっている理由は想像の域を出ないが、この法律の制定が1991(平成3)年であることを考えるとおおよその答えは出る。今となっては信じられないが、当時はバブル経済まっただ中で、土地を買収しては転売して利益を得る「地上げ屋」が横行していた。地上げ屋の中には反社会的集団もいて、都心に近い住宅地では、土地の転売で利益を上げるため、人が住んでいる住宅まで重機で壊すなどの不法行為をする者もいた。こうしたことを背景に、居住者や借り手を強く保護する法律の制定が当時、求められていたのだ。

顧客からの声を背景に、ベルクはますます評判を上げたように見える。当ブログ管理人も新宿界隈に来たときは時折、ベルクを利用するが、食材にとことんこだわっていることもあって、あらゆるものがおいしい。

ルミネはエキナカを若者向けファッションビルとして統一したいようで、その趣旨に合わないベルクの追い出しを図っていたようだが、画一的大量生産・大量消費の時代だった20世紀ならいざ知らず、今はみんなが違う方向を向き、それぞれ別の目標を目指す多様性の時代なのだ。ルミネがファッション専門ビルである必要はない。種々雑多な店舗が切磋琢磨しながら個性を発揮していくほうが、今の時代にはふさわしい。

ルミネにとって、次の契約延長まで2年半の時間的猶予もできた。ぜひこれを機会に、多様性の時代に適したエキナカのあり方についてじっくり検討し、ベルクのような個性的な店こそ率先して残す決断をしてほしいと思っている。

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