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中世の小氷河期はヨーロッパ史に大きく影響したというのだが

2013-12-02 10:01:03 | 読書ノート
ブライアン・フェイガン『歴史を変えた気候大変動』東郷えりか, 桃井緑美子訳, 河出書房, 2001.

  中世から近代にかけての気候の変動を追って、そのヨーロッパ史に与えた影響を探るという内容。原書は"The Little Ice Age : How Climate Made History1300-1850"で、2000年に発行されている。邦訳は2009年に文庫化されている。

  1300年頃から始まった小氷河期を扱ったもので、この期間ちょっとした天候の変動によって飢饉や疫病が広がり、当時の秩序を大きく揺さぶったということがこれでもかというほど繰り返されている。温暖期にすでにグリーンランドに到着していたバイキングの話──植民地は小氷河期に入って壊滅する──や、19世紀のアイルランドのジャガイモ飢饉などの記述は詳細で興味深い。地球の気候変動の原因については「太陽活動の影響である」という以外よくわかっていないとのことだが、近年の温暖化については「人間活動のせい」と決め打ち気味なのが気になる。

  個人的には、同じ著者の『古代文明と気候大変動』(参考)のほど納得できなかった。著者の描く気候変動の結果は悲惨で破滅的なのに、ヨーロッパがしたたかに発展してきたという歴史的事実と整合しないからだ。気候の歴史への影響はあまり大したことないのでは、とさえ思ってしまう。
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