細野氏の対談で分かる希望の党の二大政党への可能性

細野氏の対談で分かる希望の党の二大政党への可能性

 民進党が共産党と共闘することを嫌い、離党したのが細野豪志氏である。離党してから希望の党結成の一翼を担った。
 細野氏の考えは、経済から政治問題まで現実的であり、共産党とは違う。希望の党であれば自民党に代わる政党になれる。
 「沖縄内なる民主主義14」で「細野氏の『たった一人の反乱』が二大政党への一歩になってほしい」を掲載したが、こんなに早く実現するとは・・・・。

【対談】「衆院選で各党は日本の課題にどう向かい合っているのか」細野豪志氏(希望の党)(1/2)
10/17(火) 8:00
 これまで10月22日の投票日に向けて、有権者の皆さんに判断材料を提供してきました。言論NPOの最後の取り組みは、政党のマニフェストの内容に切り込むことです。

 一体、日本の政党は、日本が直面する課題を真剣に考えているのか、その解決に本気で向かい合おうとしているのか、さらに、選挙目当てで甘い話に逃げていないか。

 主要5党の政策責任者にマニフェストからは読み解けない疑問点を直接ぶつけ、議論した模様をお届けします。

 希望の党からは、細野豪志氏にご参加いただきました。まず、今回の公約についての説明と、工藤からの疑問をぶつけてみました。

第一部:希望の党は何を訴え、選挙に臨むのか

工藤:言論NPOの工藤です。今回の選挙で、私たちはどの党に投票すればいいのか、きちんと吟味しなければいけないと思っています。そのため、各党の政策責任者ならびに政策に非常に詳しい人に言論NPOの事務所に来ていただき、我々の評価委員とともに意見交換、また質問をさせていただきます。

 今日は、希望の党の細野豪志さんに来ていただきました。今度の選挙で希望の党は何を目指そうとしているのか、語っていただき、それについて私たちの質問に答えていただこうと思います。細野さん、よろしくお願いします。

安保政策の骨格は――有事への後方支援が出来る限定的な集団的自衛権行使

細野:希望の党の細野豪志です。希望の党はまだ誕生したての政党なので、党としての役職はまだ決まっていません。ただ、私は希望の党設立に関わり、その関係で政策作りにもかなり深く関係してきましたので、私の方から説明させていただきます。

 私が民主党・民進党に所属してきたことは皆さんもご存じだと思うので、率直にそこから話をしたい。私は民主党・民進党という政党で18年間やってきて、国会での採決はおそらく2000件くらいあったと思うが、一度も造反したことがない。その意味では、非常に忠誠心の高い議員でした。ですから、民進党に所属し、その政党で貢献することによって、国民のために役に立ちたいという思いは強くありました。その私がなぜ民進党を出たのか。これは、決して小池代表がいたから出たというのではなく、特に外交・安全保障の問題、ここは現実的にやらないと政権政党の資格はないし、逆に、それが出来ないようであれば、政権をとらない方がいいだろうとまで思っていた。それで、党を出て新しい党を作ることになった。

 従って、一つの大きな柱は、やはり安全保障、特に朝鮮半島有事における重要影響事態への後方支援はしっかりやっていく。さらに、現段階でのミサイル防衛は、アメリカのグアムに飛んでいくミサイルを迎撃するのは技術的には確立していないが、そのあたりが技術的に出来た場合にはしっかりやれるようにするという、限定的な集団的自衛権。そのあたりは、党派を超えて現実的にやっていくというのが、希望の党の安全保障政策の骨格ということになる。逆に、地球の裏側まで行って、アメリカがやるかもしれない戦争の後方支援をするということに関しては、慎重な立場で臨みたい。

政治・行政の無駄削減、消費税以外の見直しで財源を確保し内部留保課税や規制緩和で経済の基盤を強化

 経済政策では、アベノミクスは是か非か、さらに、これから何が必要なのかということについて、多くの皆さんの関心がある。おそらく一番大きな争点になるのが消費税。まず、率直に疑問を感じているのは、安倍政権になってこれまで二回、消費税の8%から10%への引き上げは先延ばしされてきた。それは、経済の状況が良くないからというのが前提だった。ところが今回に関しては、8%から10%への引き上げを、景気弾力条項もなく、とにかくやるのだ、とおっしゃって、その使途を変えるから信を問う、と。ここは、これまでやってきたことと、現在言っていることにずいぶん矛盾があると思う。我々は、消費増税については、もう一度立ち止まった方がいいだろうと思う。具体的には、「凍結」ということを訴えている。

 数日前、塩辛屋さんを経営している方から声をかけられた。最近、イカの塩辛の原材料費が上がり、けっこう大変なのだとおっしゃっていた。ただ、簡単には価格転嫁が出来ないのだと。なぜなら、消費者はそんな値段の高いものは買わないし、あと、同業他社が当然同じ値段で売るから、そんなことでは競争に勝てないのだ、と話していた。まず何をやるのかというと、社長が給料を削るのだ、と。国家でいうと、社長はやはり政治家だと思う。今、衆議院の定数は465人、本当にこれだけ人数が要るのか。参議院は衆議院と同じような役割をしているが、今のままの衆議院と参議院で本当にいいのかということも含めて、まずは国家の経営者たる政治家の大胆な削減、経費も含めて相当取り組まないと、とても今の状況で増税とは言えないだろう。その上で、例えば霞が関に依然としてある様々な無駄な支出も、政治家が身を切る改革をやってこそ初めて切り込むことが出来る、というのが基本的な考え方だ。

 それを全て行った上でなおかつ税金が必要な場合も、果たしてそれが消費税なのかどうかということも、今回、議論として提示している。一つのアイデアとしては、例えば配偶者控除。これは長年議論されてきたが、結局、自民党はそれを廃止出来なかった。夫婦控除という考え方もあるが、専業主婦か、もしくは働く女性か、ということで税負担に差が出てきて、本当はもっと働きたいのだが時間の制約があるという、例えばパートの女性の方もたくさんいる。そういったところは相当大胆に改革していかないといけない。これでも一定の財源は出ると思う。

 そして、新しい発想として我々が提示しているのが、内部留保。企業の内部留保は、今、大企業だけでも300兆円とも400兆円ともいわれるほど積み重なっている。もちろん、それは全て現預金ではないので、全てに税金をかけることは出来ない。ただ、安倍政権は二回ほど法人税の減税をしているかと思うが、法人税の減税をしたにもかかわらず、設備投資は一部を除いてなかなか増えていない。さらには、実質所得は上がっておらず、従業員の給料も上がっていない。配当もそれほど大胆に増やしたという話は聞かない。結局、企業が内部留保をため込むことによって、言うならば凍り付いているお金が300兆円、400兆円ある。これは極めて不健全だと思う。アメリカや韓国でも、余分な内部留保をため込んだ場合については、内部留保に課税がされている。そのことによって企業は配当をし、それによって当然、株価も上がることが期待されるし、従業員の給料ということになれば、当然所得も増えるし、所得税収も上乗せが期待出来る。さらには、設備投資ということになれば、それが経済を動かす一つの要因になる。そういった効果も含めて、チャレンジをする余地はあるのではないか。内部留保の課税のあり方については、いろいろな可能性があるので、今の時点で断定的に「これですぐにやる」ということではないが、自民党のように、経団連という大きな組織のしがらみにまみれていては、内部留保には指一本触れられない。麻生財務大臣も「内部留保がたまっているのはよくない」とおっしゃるが、そんなことで口先介入しても企業が動くわけがない。そういったしがらみにまみれて、具体的なアクションを起こせない自民党ではなく、私どもはそのあたりをしっかりとやっていくというのが、党としての一つの考え方だ。

 あと、経済政策としては、一つはサプライ(供給)サイドだと思う。第一の矢(金融政策)、第二の矢(財政政策)、それぞれ機動的にやるとことは別に悪いことではない。ただ、いずれもカンフル剤にすぎないので、具体的な経済の基盤自体が強くなったわけではない。そこは、サプライサイドのAI(人工知能)や自動運転、特区なども利用して、あらゆる規制にもう一度ゼロベースで取り組み、経済の基盤自体を強くしない限り、決して日本経済の基盤は強くならないだろう。これを東京だけでなく全国でやるというのが、一つの大きな柱になってこようかと思う。

タブーだった外国人受け入れで地方の人手不足解消を

 もう一つは、地方の経済をどうするのかというのも、大きなテーマ。例えば、地方の中小企業は、今、かなりの人手不足に苦しんでいる。正社員を増やして、出来るだけ事業を継続するということを考えている企業が、非常に多い。ただ、その時に大きな制約になるのが、中小企業における社会保険料の負担。具体的には、例えば医療保険の保険料、さらには年金の保険料、失業保険もある。介護保険料も、40歳以上にはかかってくる。その負担が大きいから、なかなか正社員で雇えないという企業が多い。私は昨年、ヨーロッパを視察してきたが、例えばイタリア、フランスなどでは、中小企業の社会保険料を軽減することで、若い人たちの正社員化を促している。EUは財政出動については非常に厳しいが、そういう部分に関しては優先的にすることによって雇用を増やしたという実績がある。そういったところも一つの大きな柱になる。

 ただ、そういったことをやったとしても、中小企業の人手不足は簡単には解消しないと思う。そもそも、本当に人口が減っていて、人が充足出来ないという状況がある。例えば介護現場は今、充足率が約3割。7割の人員が充足出来ていない中で、介護現場がもたないところが出てきている。どこの職場も、研修生、実習生を補うということをやりだしたが、これとて相当絞り込まれているので、介護現場は、まもなくもたなくなると思う。もう一つ深刻なのは建設現場。地方の経済において建設業の位置づけは極めて重要だ。そして、災害などが起こった場合には、そういう地元の企業が復旧に直接かかわるが、ほとんど人が確保出来ていない。これも充足率が35%くらい。そうなってくると、実際に来てくれる人は60代とか、場合によっては70代の方々が本当に頑張っている。年齢が高くても、元気で働いてもらえ、また女性にも働いてもらえるのは大事だが、やはり若い世代が、根本的に地方には本当に少なくなっているという現状は、いかんともしがたい。

 そこは、これまで自民党も民進党も言えなかった、外国人にも労働力として入ってもらうのを本気で検討しないと、地方経済が滅ぶと思う。単純労働の人たちを、そのまま世界中から引き受けるなどということは出来るわけがないので、国を限定する。例えばASEANで日本と友好的な国。そういった国々から、職種を限定して入ってもらう。もちろん、犯罪者、犯罪歴のある人については入ってもらうことは出来ない。これまでタブーで出来なかったことにチャレンジして、職種と国を限定して入ってもらい、その中で日本に引き続き留まりたいという人については、例えばグリーンカードのようなものも含めて、多様な外国人のあり方というものを提案していくことが必要なのではないかと思う。

地方自治拡大をはじめ、自民党より幅広い憲法論議を巻き起こしたい

 今回の選挙で非常に大きな課題として私どもが提示したいのは、一つは憲法。9条の議論だけが先行しているが、私は、日本の平和主義なり憲法9条を、基本的に守っていきたいという立場だ。自衛隊そのものを憲法上どう位置付けるかという議論をすること自体は、悪いことではない。ただ、万が一にもそういったことが、国民投票を発議された時に否決されたら、自衛隊の存在そのものが危うくなるから、そういう状況なら、私は、自衛隊を憲法に位置付けることもやらない方がいいだろうと思う。

 むしろ大事なのは、憲法8章。8章をもう一度しっかり見直すことで、国と地方の関係を変えていく。地方に条例制定権はあるが、法律の下でがんじがらめでは、自由な発想で条例を制定することは出来ない。地方自治体が課税を出来るかどうかについては、憲法上何ら規定はないから、非常に遠慮気味に、一応課税自主権を持っていることになっているが、これも十分ではない。さらに、地方が自由にやっていくためには、道州制とか特別自治市などもどんどんやればいいと思うが、これとて憲法上位置づけがない。そのあたりは、憲法8章を変えることによって、地方が様々なことにチャレンジ出来るような政策を合わせてやっていく必要があるだろうと思う。

 自民党の憲法の議論のこれまでの流れの中では、やや限られた議論がされてきたが、我々はもう少し幅を広げて自由な発想で議論するで、国民的な憲法議論をぜひ巻き起こしていきたい。

 最後にもう一つだけ触れれば、今回の解散の最大のきっかけになったのは、森友問題・加計問題だったと思う。解散のタイミング、臨時国会の冒頭解散というのは、国会での質疑をしたくなかったということ。この数日の間に「自民党圧勝だ」というような報道もされているようだが、仮に、三たび衆議院選挙で自民党が圧勝することになれば、まさに、森友問題・加計問題の情報隠ぺいを国民が認めたということになる。どう考えても、残されるべき公文書がなくて、「捨ててしまいました」、さらには国会で答弁することになると「記憶がありません」、そして、出てくる最終的な資料は(黒塗りされた)のり弁当、これでは話にならない。情報公開法を徹底して、さらに強化をしていく。公文書管理についてもしっかり位置付ける。希望の党の一丁目一番地は情報公開だから、そこもしっかりと訴えていかなければいけない。

工藤:では、私から質問します。言論NPOはどういう立ち位置かというと、有権者が主権者となり、主権者と政治がきちんと約束をして課題解決に取り組んでほしいということです。私たちが7月に行った世論調査では、日本の国民の6割が日本の将来に不安を持っていて、その解決を政党に期待することが出来ないという人が、また6割近くいた。それはなぜかというと、日本の国民が今、気にしているのは、日本の将来のことで人口減少と高齢化。そして最近出てきているのは北東アジアの平和、北朝鮮問題。それに対して政党が真っ向から解決策を競ってほしいというのが、基本的な認識です。従って、我々はそういう立ち位置から質問します。その前に、二つほどお聞きしたいことがあります。希望の党はよくメディアに出ているが、私たちにも分からないところがある。まず、これは政権を争う選挙だが、選挙の結果、誰が首相になり、どういう枠組みでやっていくのか。それを選挙の前に決めず、国民に説明しなくていいのか。

細野:希望の党は過半数である233人以上の候補者を出しているので、もちろん我々は政権の獲得を目指している。ただ、現実問題として、比例区単独の候補者を含めて233人を若干上回っている程度なので、単独過半数を取るのは相当難しい。そうなってくると、もちろん我々が中心で政権を担うことを目指すのだが、足りない分については何らかの他党との協力なり、そこから何人か希望の党に加わってもらうことがない限り、政権は取れない。そこはいろいろな可能性があるので、選挙が終わった後、柔軟に対応していくというのが我々の姿勢だ。

工藤:二つ目は、細野さん自身の話。細野さんが民進党をやめて新しい政党に加わる一つの大きな動機が、現実的な安全保障ということだった。それが今回の政策の中で、どう実現したのかをお聞きしたい。例えば、憲法問題に関しては、自衛隊も含めて「議論しましょう」という形です。それから、安保法制も含めて、今までと違って、何を新しい問題として提起されているのかよく分からない。

 また、2012年の三党合意で、税と社会保障の一体改革が決まった。それが、野田政権以降の日本政治の大きな変化のドラマの始まりだったわけです。その時、細野さんは民主党政権の閣僚だったわけですが、三党合意を経て消費税を上げ、そして財政再建を図る。何よりも少子高齢化が進む日本の将来に備える決断をした細野さんが、消費税増税を凍結する側に回っていることに違和感がある。それはどういう考え方なのか。確かに、自民党の政策の立て方がどうだ、ということはあるが、そもそも政治家として日本の将来を見据えた場合に、消費税の持つ意味をかなり大きく考えていたはずです。そのあたりはどう説明されますか。

政権が破棄した三党合意には責任を持てない

細野:まず安全保障に関しては、安保法制が成立した当時、私は民主党の政調会長だった。ですから、尖閣諸島の問題に対応する法律と、周辺事態法を強化する法案を、党として作っていた。私の率直な気持ちとしては、限定的な集団的自衛権についても議論して結論を出したかったのだが、そこは時間切れで最終的な収斂はしなかった。ただ、少なくとも、主要な三つの変更点のうち二つについては法案を作った。ところが、当時の民主党の判断としては、国会に法案を提出することなく、反対だけに終始した。ですから、今回、希望の党としては、周辺事態、重要影響事態といっているが、朝鮮半島有事の後方支援についてはしっかりやっていく。ミサイル防衛に関わるような限定的な集団的自衛権についても、必要があれば認めていくということも、公約の中で書いている。一方で、国際平和支援法という法律があるが、地球の裏側に行ってアメリカがやるかもしれない戦争に参加するということ、ここについては相当慎重でいたほうがいいと思う。ですから、私が二年前に考えたいたことと今との流れで言うならば、私は一貫していってきて、ようやくそれを比較的現実的に言える環境が整ったということだ。

 三党合意は確かに歴史的だったと思うが、とっくに破棄された。消費税増税を二回も延期して、一回も話し合われていない。使途についても、当時さんざん議論したことが全く守られていないので、2012年夏の三党合意を持ち出して「責任があるから」と言われても、さすがにそれは責任を持てない。むしろ、動くお金に税金をかけるか、もしくは動かないお金に税金をかけるかというと、そこは少し発想を変えたほうがいい。消費増税をすれば、リバウンドはあるにしても必ず経済が落ち込むことは間違いないわけだから、そこを含めて税の考え方をもう少し慎重に考え直した方がいいと思う。

情報のない野党が財政再建の根拠を示すのは無理

工藤:今度は、希望の党の政策の中身について。政策の基本的な考え方、視点に関しては確かに斬新なものはあるが、何を具体的に、どういう形でいつまでにやっていくのか、ということが全く見えない。例えば、消費増税の凍結をする。しかし、凍結したことによる、社会保障の必要経費や財政再建に対する影響をどのように説明するのか。特に、財政・経済政策を一体でやると言っているが、財政再建に対する具体的な公約はない。例えば、自民党の公約について我々が厳しく見ているのは、プライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化について全く説明していない。希望の党は、財政再建に対する考え方をどのように説明していくことになるのか。

細野:2020年のプライマリーバランス黒字化は、長年政府が約束してきて、国際公約でもあった。今回、それが完全に反故にされたというのは、そもそも自民党サイドの前提が崩れているということ。政府ですら試算できないような状況と、これだけ政府が情報を隠蔽している中で、財政再建の考え方を全て示せというのは無理。だから、少なくとも凍結をした上で、どこに無駄があるのかについては具体的にかなり指摘しているし、税金の方法についてもいくつか提示している。それらもしっかり情報開示をしてもらい、我々としてやりうるなら計算したいと思うが、今の時点で、計算出来るだけの情報の開示がないということだ。

工藤:しかし、凍結することによって想定される財政収支への影響額が出てこない。また、赤字国債で埋めるということは先送りせざるを得ないという状況だから、その検討期間そのものの時間コストがかなり高い段階に、今の日本はあるのではないか。

細野:消費増税を二回先延ばししているのだから、その批判は全て、政府がお受けになった方がいい。先延ばししてどうしているのかといえば、いろいろなことで帳尻を合わせてやっている。国民としても、それを政府に許しておいて、野党に財政再建の計画を出せと責任を問うのは、ちょっと筋が違うと思う。

工藤:であれば、財政状況に対する認識はどうなのか。

細野:極めて厳しいと思う。

工藤:極めて厳しいというのは、どういう形か。持続可能ではない、ある期間でかなり厳しい段階に来る、どのような認識か。

細野:非常に厳しいと思う。公約にも書いているが、金融緩和を継続してきているから、簡単にすぐ収束させるわけにはいかない。しかし、それが収束する時に、国債が市場できちんと消化され続けるのかということも含めて、相当厳しいと思う。

 公約の中では、金融の異次元緩和について、出口戦略をしっかり練らなければいけないという話をしている。日銀と政府との間で相当しっかりとやっていかないといけない、ということを書いている。逆に、急激に緩和をやめるということになるといろいろな混乱もあるから、そこは現実的な対応が必要だ。

金融緩和からの出口戦略は、急激な方針転換の危険性に配慮しつつ練る

工藤:公約では「ポスト・アベノミクス」を掲げています。アベノミクスの第一の矢と第二の矢に関しては、どのような立ち位置をとるのか。

細野:カンフル剤としての効果はあったと思う。我々は補正予算で、何でも財政出動でやるということに対しては慎重な立場だ。金融緩和については今やっているので、急激な方針転換は危険。そこは緩やかに、将来的な出口戦略については検討していく必要があると考える。「財政で景気回復」というのは、これまでも何度もやってきた方法だが、相当限界がある。やるとすれば相当戦略的に、例えば社会保障についても人生前半の部分にシフトしていくとか、限定したものでやっていくということだが、その持続性はあまりないと思う。だからこそサプライサイドの改革を徹底的にやり、そのことで経済自体の競争力を高めていかないと持続しないというのが、我々の考え方だ。

工藤:確かに、補正予算でどんどん財政出動するのはよくない、それは補正でやらないという話でしたよね。

細野:補正予算を全部やるなとは言わない。ただ結局、補正が織り込まれていて、補正の部分も政策の弾を用意して毎年やっている。そのチェックが甘いというのは繰り返されてきたことで、こういう既存のやり方は、我々はしないということだ。

工藤:今までの安倍政権では、税収増のかなりの額を財政支出に使っている。本来は財政赤字をもっと軽減出来たかもしれないが、財政政策にかなりウェイトを置いて支出していた。そのスタンスとは同じですか。それとも、財政政策はほとんど使わないということか。

細野:補正予算で帳尻を合わせて、本予算で確保できなかった予算を補正でやる、そのことによって財政のたがも緩んでいく、というやり方はよくないと思う。

工藤:日銀は昨年、軌道修正をし始めて、どんどん緩和するという形から方向を変えている。この軌道修正に対しては賛成ですか。それとも、緩和は今後も続けるという考えですか。出口戦略は慎重に練るとおっしゃいましたが、当面の異次元緩和は続けていくということなのでしょうか。

細野:スタートする時の判断と、既にやっていてこれからどうするかという判断は、当然違う。ですから、急激な方針転換はかなり危険を伴う。徐々に日銀が方針転換をしていくということであれば、それはやはり必要なのだと思う。

工藤:与党は「デフレ脱却」という目的を掲げているが、希望の党はデフレ脱却が政策目的にありますか。

細野:デフレ脱却はもちろん必要。しかも、現状は成功しているとは言えない。やはり実質所得が上がってこないと、デフレ脱却出来ない。コストプッシュ型のインフレは決して良いデフレ脱却ではないし、やはり実質所得が上がって購買所得が上がって、そのことによってものの値段が上がっていくというのが一番いい方法だから、そういう状況が達成出来ていないことは明確だと思う。

工藤:実質的な消費をベースにした経済の好循環を起こすということは分かったが、では、デフレ脱却の定義はそこなのですか。経済の好循環が起こるとデフレ脱却だ、という理解でいいでしょうか。

細野:デフレ脱却というのは、CPI(消費者物価指数)なりGDPデフレーターなり明確な指標があるので、それで測るのだと思う。なぜデフレ脱却が良いのか、デフレ脱却の目的は何かといえば、例えば為替が動くとか石油が高くなるとかということで、コストプッシュ型でデフレ脱却しても何の意味もない。そうではなくて、所得が増え、そのことによって消費が増え、そのことが設備投資にもつながっていくという好循環が出来ることに意味があるのではないかと思う。

工藤:消費増税凍結の理由は、経済回復の実感がないという話だが、経済指標を見ると、今、景気は非常に拡大する状況になっている。その要因は海外景気などいろいろあると思うが、ここまで完全雇用に近いような経済状況の中で消費増税を出来ないとすれば、どういうタイミングで出来ることになるのか。

細野:少なくとも今回、景気弾力条項がないこと自体が、おかしい話ではないか。もともとあったのだから。経済状況に応じて考えましょうということになって、増税出来ない状況を二回作ってしまった。これは、安倍政権の失敗だと言える。二年後の経済状況について完璧に予測出来る人はいないのだから、そういう中で本当に出来るのかについて慎重に考えるべきだというのは当然だと思う。

政治家の自己改革と政権交代の可能性を両立できる仕組みをどう作るか

工藤:議員定数と議員報酬の削減については、確かに「自ら身を切る努力をしたから」という話は、新鮮に感じました。具体的にどれくらい削減することが目的なのか。

細野:そこは出来たての政党だから、数までは議論が収斂していない。ただ、私は原発担当大臣として被災地に行っていたが、被災地で長靴を持っていなくて官僚におんぶしてもらうなど考えられない。そういう人が復興政務官をやっていたこと自体、信じられないが、そういう個人的な話ではなく、公的な部分でほとんど機能しているとは思えない議員が相当いる。衆議院だけでも削減は出来るし、参議院も含めて役割を考えた場合、すぐにバサッと削れないにしても、もう少し絞り込んでいくという少なくとも方針は示して、その上で霞が関にも切り込まないと、とても国民的な理解を得られないと思う。

工藤:今の話はある程度理解出来るところがあるが、全然違う切り口でお聞きします。今回の選挙結果はどうなるか分からないのですが、小選挙区で一人の候補者を選ぶとなると、かなり民意の大きな部分を得る候補者が当選する形になる。しかし、実質的には多くの人たちが選挙に行かないので、有権者全体の10数%の票で当選している国会議員もけっこういる。その人たちも含めて国民の代表と言えるのか。定数是正も含めて政治家のあり方を問うているのであれば、そのあたりについての理解をお聞きしたい。

細野:小選挙区制は、基本的には選挙区で一人を選ぶ選挙だから、非常に死票が多い。投票率が下がれば、確かに信任を得ている有権者の数が少なくなり、そこはいろいろ感じるところがある。ただ逆に、小選挙区だから政権交代が起こってきたという現実もある。今回、我々はもう一度、きちんと候補者を出して二大政党制を目指そうということでチャレンジをする。それに国民の皆さんがどういう審判を下されるか、というのは間もなくわかるが、私もどういう姿がいいのか、もう一度考えてみたいと思う。

 時々言われるのは、「小選挙区で政党の公認をもらうと、既得権益になるので努力しない」とか、「政党の看板を背負っただけで当選する」とか、「むしろ中選挙区時代の方が同じ党内でも切磋琢磨があった」というところで、確かにそういう面はあったと思う。ですから、どうすれば政治家が常に自己改革をするだけの状況を作れるかということと、一方で政権交代可能な仕組みを作っていくかということ、ここをどう両立するか。私もまだ答えが出ていない。


原発ゼロの手段は省エネと再生可能エネルギー

当面の電源構成は火力に頼らざるを得ない

工藤:それは、これから細野さんだけでなく皆で考えないといけない、非常に重要な問題だと思います。私の方からあと二つ、質問があります。原発ゼロという公約も、考え方としては分かるが、どう進めていくのか。今の状況を見ると、今、再稼働しているものは5基しかないが、稼働40年以上の原発は廃炉するとしても、2030年に20基の原発が存在していることになる。どういう形で原発ゼロを目指していくのか。工程表が具体的になくても、「こういう考え方でゼロにするのだ」ということを明らかにしていただきたいが。

細野:原発政策については、私は、あまり答えの幅はないと思っている。例えば、原発推進と言う人に、「新しい原発を作るのですか、作るところはありますか」というと、もう立地地域はないので、出来ない。一方で、もう原発は絶対に動かさないで、「即ゼロ」という主張の人もいる。ただ、今、数基動いている。具体的には、PWR(加圧水型原子炉)の、しかも比較的津波のない高台にある原発が動き、原子力規制委員会が相当精査している。最低限の原発を動かすことを認め、即ゼロの立場に立たない、しかも新設はしないことになると、もうだいたい幅はこの辺。例えば、一番新しい原発が出来たのが2000年代前半だから、40年で廃炉するとなると、一番長くて2040年代前半くらいにゼロになる。それをどれくらい前倒しできるか、という話。原発を建て替えて40年以上稼働させる、という議論もあるが、基本的には40年というのは守っていくべきだ。だから、2040年代を30年代に出来るかどうか、30年代を30年に前倒し出来るかどうか。その程度の差。あとはどこまでやる気になるかどうかだ。安倍政権になって、いろいろな再生可能エネルギーの開発に対する熱意のようなものは、率直に言うと薄れていると思う。

工藤:確かに、与党側にとっても、2030年のエネルギーミックス実現のめどが、現実的に言えば見えない。野党がそこを突くということは出来ると思う。ただ、原発ゼロということになると逆に聞かないといけないのは、2030年の目指すべき電源構成のイメージ。例えば、再生可能エネルギーの比率は30%と、公約にある。2030年に原発の比率を20~22%にするというのが政府の計画だが、そうでないのであればどれくらいのイメージをしているのか。

細野:一番効果があるのは省エネ。例えば2011年の福島原発事故の時も、電力不足を乗り越えられた最大の要素は省エネだった。徹底して国民が省エネをし、例えばエネルギー消費量を2割削減できれば、2割分の電源コストは要らない。例えば30%の節電のようなものは、日本社会の中で出来ると思う。それがまず一つ。もう一つは、再生可能エネルギーをどこまで高められるか。この二つでどうバランスをとるかだ。

工藤:今の政府の計画では、火力発電をかなり中心に考えている。火力発電についての考え方はないのか。

細野:原発を動かさないとすれば、広い意味でLNG(液化天然ガス)も火力だとすると、火力と再生可能エネルギーしかない。ですから当面は火力でやっていくしかない。出来るだけ石炭ではなく、LNG、それも最新鋭のものを導入し、地球環境の問題をクリア出来る技術革新にしていく。LNGも含めて火力を全て否定するとなると、とても日本のエネルギーは回らない。神学論争みたいなことをやっても仕方がなく、どうやって現実的にやっていくのかというロードマップは既に作り始めたが、それをさらにレベルの高いものにしていく必要はある。

技術拡散を思えば、圧力を緩めて対話、というわけにはいかない

工藤:それは、なるべく早く出してもらえればと思う。最後の質問は、北朝鮮問題について。まず、北朝鮮を核保有国として認めないということですよね。そのためにどうしたらいいのか。

細野:当面は、国際社会としてしっかり圧力をかけていくということに尽きる。クリントン政権の時の核の危機で、圧力から対話に舵を切った。当時の羽田総理にも柿沢外務大臣にも話を聞いたことがあるが、相当緊張した状況の中でクリントン政権が対話に舵を切ったことで、胸をなでおろしたという。ただ、結果として核の開発が続き、よりレベルが上がり、広範な施設ができ、ミサイル開発が進んでしまった。世界が危機感を持った方がいいのは、今度は北朝鮮の中だけでなく、核やミサイルの技術が世界に拡散する可能性があるということ。これは日本とか東アジアだけの問題ではなく、世界の問題だ。それを認識した時に、簡単に圧力を緩めて対話、というわけにはいかないのが現実だと思う。

工藤:私は、圧力か対話か、という対立軸にはあまり意味がないと思う。圧力をかけて外交プロセスに持っていくのか、それとも場合によっては軍事攻撃もやむなしという判断をするのか。どちらでしょうか。

細野:そこは、圧力をかけて対話に引きずり出してくるということだ。そこについては、我々の政策で相当議論して書いている。安倍総理が国連の演説で「対話に意味がない」と言われた。あれはいろいろな文脈の中で出てきた言葉ではあるが、ギリギリの線で対話の余地をどう残すのかという戦略を、しっかり持っておかないとまずいと思う。

工藤:トランプ大統領が「全ての選択肢がテーブルに乗っている」と言っているが、希望の党としては、軍事攻撃はやめてもらって、圧力をベースにした外交プロセスにかけるという考え方か、それとも、あらゆる選択肢があるという考え方か。

細野:外交・安全保障については現実主義で行くというのが我が党の考え方。その立場に立てば、それが先制攻撃かというのはあるにしても、日本としては盾の役割はするが、矛の機能は持ち合わせていない。安全保障とは総合力だから、軍事攻撃の選択肢を持っているアメリカと同盟関係を組んでいることが抑止につながっている面はあると思う。

 あとは、トランプ政権が日本との間で外交的な対話の戦略を練れているかというのは、ちょっと不安。ティラーソン国務長官、国務省と大統領の連携がどうかということはよく言われているし、国務省とホワイトハウスとで本当で一枚岩でやれているのかもやや不安だ。

工藤:現実主義で行くということになると、アメリカ合衆国憲法の修正25条に規定されているように、トランプ大統領がやっていることをマティス国防長官が反対するとか止められない限りは、戦争になる可能性があるわけで、日本の政治はそれを国民にしっかりと伝えるべきだと思う。つまり、「我々はあくまでも現実主義だけれど、北朝鮮を核保有国として認めないという立ち位置で行くのだ」と言うべきだと思うが、政治家はみな曖昧にしている。多くの国民は不安になっていると思うが、そのあたりは曖昧にしないでいただきたい。

 二つ目に、圧力をかける手法として、希望の党として何をするのか。国連決議を徹底的に履行するという選択肢だけか。もし希望の党が政権を取ったら、私たちはどのような可能性を抱けばよいのか。

細野:外交・安全保障で野党が独自性を発揮すべきかどうかということに関しては、私はそのことにそれほど価値を見出していない。むしろ、外交・安全保障、特に北朝鮮のような緊張感が高まっている問題については、現実的な対応をしていくという意味では継続の方が大事だ。唯一、自民党政権と違う可能性があるかなと思うのは、例えば核兵器禁止条約に日本は入らなかった。私も外交を経験していたから、アメリカとの関係が非常に難しいのはよく分かる。ただ、世界は核廃絶を目指しているということが、もちろん核保有国に対してもいろいろなプレッシャーにはなるのだが、一方で核保有を目指して驀進してきた北朝鮮に対するプレッシャーにもなると思う。ですから、私は批准を検討すべきだと思う。

工藤:今の状況が核拡散の脅威ではなく、核抑止の段階だとした場合に、核抑止の力を強めるために、日本にアメリカの核兵器を持ち込ませる。自民党の中ではそういう発言をする人がいるが、希望の党の考え方は。

細野:過去、岡田外務大臣の時にアメリカの核持ち込み疑惑を検証したが、時代が変わってきているので、日本に核を持ち込むことも戦略的な意味はあまりないと思う。爆撃機がアメリカからすぐ飛んでくることも出来るし、遠くからも弾頭を発射出来る。一部戦闘機にも核を積めるわけで、それは日本にいなくても飛んでこられる。潜水艦も相当自由に動けるようになっているので、あえて日本に核が存在することの戦略的な意味はあまりないと思う。

多分、石破元防衛大臣などの頭の中にあるのは、「そういう選択肢もある」という議論が日本から出てくることで、国際的にいうと「日本もそこまで考えるのか」ということになり、北朝鮮に対するいろいろな圧力を加える上でプラスになる面があるのではないか、と戦略的に言われたのだと思う。

工藤:その発言は理解出来るか。

細野:石破さんらしいといえば石破さんらしいな、と思って聞いている。

【対談】「衆院選で各党は日本の課題にどう向かい合っているのか」細野豪志氏(希望の党)(2/2)

工藤:今度は評価委員の方からどうぞ。

社会保障の主な財源は消費税か、他の税制か

内部留保課税で想定される経済への負の影響は

湯元:消費増税凍結の話について、「凍結」というと一時的な措置だと理解出来るが、そうすると、そもそも消費税をどうするのか。これからの社会保障財源はどんどん不足していくわけで、消費税を社会保障財源の基幹税として位置付けていくという考えなのか。凍結の代替財源として、内部留保課税という新しい税を出しているが、社会保障の財源は必ずしも消費税ではなく、こういったものを財源にしていくということなのか、それを伺いたい。

 それから、内部留保課税については賛否両論ある。実際にやった経験のある国もあると思うが、例えば二重課税になるといった税理論上の問題もある。また、増税して企業に痛みを与えることにより賃金増加とか雇用増加、あるいは配当増加、設備投資増加のインセンティブを与えるという政策だと思う。ただ、マイナス金利の場合でも、金融機関に痛みを与えて積極的な貸出を増やすという意図があったと思うが、現実的にはなかなかそうならない。ですから、痛みを与えることによって投資や雇用や配当を出すことになるのかどうか、という政策効果の不透明性があるのではないか、と思う。もう一つは、現実として何に課税するのか。内部留保の残高に何%か課税するというやり方は、実際にキャッシュがあるのは現預金だけのところなので、課税することも難しい。つまり、どれだけの税収があがるかというのは枠組みによっても異なってくる。それから、企業にプラスのインセンティブを与えられるのかも枠組みによって違ってくる。韓国の例だと、直接内部留保に課税することはしておらず、いろいろな工夫をしてやっている。

 加えて、企業の国際競争力を強化していくという方向性は与党も野党も同じだと思うが、社会保障の財源を稼いでいくには、国の競争力を高めて海外から所得を稼いでくる、これがベースになると思う。内部留保課税というのは、これまで法人実効税率を下げてきてあまり効果が出ていなかったので、今度は痛みを伴う政策で逆に効果を出させようということだが、法人実効税率の引き下げと内部留保課税は方向が逆になるので、その整合性はどうするのか。法人税引き下げはここでやめ、企業部門に対しては増税の方向にいくと、増税の方向で所期のプラス効果が本当に出るのかどうか、お伺いしたい。

細野:二重課税という問題については、例えば個人で言うなら相続税というものがある。あれは、所得税などのフローに対する税金を払って、亡くなる時に貯まっているものについて相続税を課税している。ですから、完全な二重課税。ただ、社会的な公正の観点から、「人生のスタートは出来るだけ平等であった方がいいだろう」ということも含めて相続税が課されているので、二重課税そのものが絶対にダメだという議論ではないと思う。

 法人税の減税と内部留保課税も、私は十分両立しうると思う。法人税の減税は、国際競争力を強化するという意味ももちろんあるし、また、減税することで様々な企業の活力を生み出すということが目的だった。減税で当初期待されたのは、当然、配当に回るとか給料に回るとか設備投資をするということだったが、十分に回っていない。日本の企業の経営者にも考えてもらいたいと思うのは、これは麻生財務大臣もおっしゃっているが、300兆円、400兆円の内部留保があって、利益剰余金だけで140億円ある。それは、本当に考えてもらった方がいいと思う。そこに税金をかけることで、企業自体も、税そのものが上がってくる可能性はあるが、そのことによって経済が動き出すことは、税のかけ方としては極めて健全なものだと思う。

湯元:ただ、内部留保自体がいろいろな資産に投資されている。例えば企業の保有する株式、M&Aをやって株式を取得するといったものも内部留保の運用先になっている。M&Aを止め、その金を使って税金を払うということになりかねないので、経済的にマイナスの影響も出かねないところでは。

細野:対象をどのようにするかは非常に悩ましい。韓国とかアメリカの例をかなり見てきたが、相当いろいろな例外を設けた上で、社会的に許容しえない内部留保をかけている。そこは大いに工夫しなければいけないと思う。

湯元:現預金も全て課税出来ないというか、運転資金でかなり使われている。

細野:中小企業などの場合は最低限の内部留保が必要だし、そもそも内部留保課税で中小企業を対象とすることは考えていない。むしろ同族会社の場合はそういう制度がある。ですから不思議なことに、内部留保課税については中小企業にはやっているのに、大企業が見過ごされてきた。大企業の経営者が本当に社会的な責任を果たして、社長が1年、2年で代わる会社が多いからそういう面がどうしても日本の場合はあるが、そういう企業経営者の背中を押すくらいのことをやらないと、日本の経済は良くならないと思う。

 一問目の、消費税はもう社会保障の財源と考えないのかどうか、そうではなくて内部留保課税を主として考えるのかということに関しては、答えは両方。消費税が全てではない。財務省は消費税に相当偏ってやってきたが、それ以外の税の可能性についても探るべきだと思う。一つは、内部留保課税を検討対象に加えるべきだと。ただ、消費税は選択肢としてない、と考えているわけではない。ですから、凍結という言い方をしている。共産党の主張とはそこが違う。

工藤:どれくらい凍結するのか。

細野:2019年の引き上げに関しては凍結ということ。

湯元:2%分をいつ上げるのか、ということについては何も表明されていないと思うのだが。

細野:それは前提として、まずは国家の経営者たる政治家がきちんとリストラクチャリングをする。さらには行革をやる。これをやった上で、あとは様々な税の可能性も見ながら、という判断だ。

湯元:議員定数とか議員報酬の削減、あるいは一院制の展望も公約に書いてあるが、その目途がつくまで上げないという意味なのか。短期間でそういうことをやるのはけっこう難しいのでは。

細野:定数の削減は、やろうと思えば出来ると思う。一院制は憲法事項だから大変だが、全部が全部揃わないと何も動かせないということではもちろんない。

湯元:ただ、少子高齢化が急速に進んでいるので、5年も10年も放っておくということはとても出来ないような状況になっていると思う。その辺の目途は、例えば2020年代前半とか半ばとか、何かお持ちなのか。

細野:各地方の議員の削減は相当のスピードでやっている。報酬の問題もかなりのスピードでやっている。国会は遅すぎる。これこそまさに、議員が自己保身に走るというしがらみそのものなので、そこは我々が議席をしっかりと国民の皆さんから与えてもらえれば、相当ドライブをかけてやれるという自負はある。

湯元:基本的には、政治改革が大前提なので、それをやれないうちは上げないという認識か。

細野:いろいろなタイミングがある。決まったということが一つの大きなタイミングというのもあるだろうし、もちろん実現出来たというタイミングもあるだろうし。それは、日本の財政の状況や、他の税の可能性なども総合的に勘案して、政治努力として判断していくことになると思う。

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労働市場の変化や人口減少を踏まえ。社会保障、国と地方の新しい姿とは

小黒:消費税とか内部留保課税の話というのは手段としていろいろあると思うが、自民党など他党との比較で、希望の党が目指している社会保障の像、新しい仕組みが少し見える部分があって、その辺について少しお伺いしたい。例えば、消費税を凍結する他方で、ベーシックインカムのようなものを、基礎年金と、あるいは生活保護と雇用保険、こういったものをある意味で見直して、国民一人一人にベーシックインカムを配っていくというような話も公約にある。これは、ある意味で社会保障をスクラップして、必要なベースの部分だけに集中投下していくような仕組みを提示されていると思う。

 もう一つ、国と地方の関係でいうと、地方もすごい勢いで人口減少していく中で、国が画一的な行政で全部やろうとしても難しくなってきている。そうすると、国と地方の関係を見直すのも重要なテーマで、他党からは、あまりその点について議論が最近出てきていない部分がある。もし、国の機能をスリム化して、地方にもう少し頑張ってもらうという仕組みにすると、今、他の方が言っている国と地方の関係とだいぶ違うと思う。その意味では、国の議員定数、社会保障や国の統治機構もスリム化するというような、そういう新しい国家像のようなものを提示されているということなのか。

細野:大まかな方向性としては、小黒先生がおっしゃった方向です。一つの考え方として、国の今の社会保障のシステムが永続的に機能して、国民がみんな平等で幸せな社会が出来るなら、それは一つありだと思う。しかし、どうもそれは無理ではないか。特に、AIの時代になって、アメリカのある研究によると、47%くらいの仕事が自動化される。そうなると大量の失業者が出て、もしくは職種を変えなければいけない状況になる。これは対岸の火事ではなく、日本でもそういうことが10年、20年のタームで起こる可能性がある。そうなった時に、今、生活保護は150万人が受給しているが、本当にそれで済むのか、という問題も出てくる。この制度を延長するというのだが、生活保護過程と例えば高齢者の基礎年金を比べると、基礎年金の金額の方が低いから、このアンバランスの問題などもある。これから仕事が大きく変わってきて、社会保障の仕組みが対応出来なくなるというのは、かなり明確に見えている。ベーシックインカムの導入は相当難しいが、そういう将来を見越して議論を始めておかないと日本の社会の底が抜けるのではないか、という問題意識があるので、問題提起している。そういう意味では、社会保障の大幅な再構成だ。

 その時に、ベーシックインカムは国がやるしかないということになる。でも、例えば介護とか、医療とか、そのあたりは国と地方の役割分担でいうと、もっと地方が持っていいと思う。今の市町村のレベルでやるというのは難しいが、道州制とか特別自治市のようなものが出来た時には、地方がやれる仕組みになる。そのことで、地方が財政や様々な社会保障で大きな役割を果たすようになれば、国会、国の役割は小さくなるし、ベーシックインカムになると厚労省と財務省がやることは相当統合出来る。例えば、参議院も今のままではなく、参議院的な機能は、地方の首長さんが担って、チェックをしてもらうということがあるのではないか。その大きな絵姿を描きたい。描こうとして、そのパーツが公約に表れているということだ。

小黒:国と地方の関係だと、例えば道州制のようなもので、医療とか介護なども地方に任せていって、国そのもののガバナンスの構造を変えていく、と。人口問題については、外国人の受け入れなども積極的に考えていく。社会保障は、ベーシックインカムのようなものも入れながら、スリム化していく。そうすると、成長戦略の部分について、人工知能とかビッグデータとかいう話が出ているわけで、今、自公政権も実際いろいろやっている。そことの違いはどういうものがあるのか。例えばデジタル通貨とかそういうものもあると思うが、どういうところまで違った点を考えて、公約を出しているのか。

細野:成長戦略の部分は、小池代表の言葉を借りれば、スピードが遅いということ。世界はもっとスピードを上げてやっていて、東京も世界で競争している。国ももっとスピードを上げていかなければいけないというのが、我々の問題意識だ。東京金融特区構想のようなものがそうだ。

小黒:あるいは、東京23区内の大学定員の抑制を見直すなどと書いてあるが、そういうのも一つだということなのか。

細野:地方が元気にならなければならないので、東京とどうバランスをとるのかというのは大きな課題だ。ただ、東京の価値を低めることで地方を高めることをやっている限り、日本は沈む。東京がしっかり元気になって地方が元気になるという意味では、大学定員の抑制のような政策はとらない方がいい。先進金融都市を目指すというのは、東京はかなり言っているのだが、国はやや冷淡。そこは、国として必要な規制は緩和していくとか、それについて最大限のサポートをしていくという体制を作らないと、東京も沈むし、日本全体も沈むということになってしまうと思う。

年金納付者と未納者の公平性、既存制度と比べた必要財源の規模

ベーシックインカムの制度設計はまだこれから

湯元:ベーシックインカムについて聞きます。本格的に導入している国はなく、フィンランドなどは今年からやり始めたという段階だが、ベーシックインカム制度の導入の基本的狙いは、どうやって就労インセンティブを高めていくか。貧困状態にある人が、最低限の生活を保障されながら働くインセンティブを高めて、貧困から脱出していくというのが基本的な考え方としてあると思う。そうすると、制度設計が非常に重要になってくるのではないか。例えば、一人当たりいくら配るのかということもあるし、対象は全国民なのか、一定レベルの所得以下の方なのか、ということも重要になってくる。

 それから、基礎年金、雇用保険、生活保護を、先ほど伺った感じでは全て廃止してベーシックインカムにしていくということだが、例えば雇用保険とは、失業のリスクに対して保険料を払い、将来失業した時に保険金が入ってくるという仕組みだから、それがなくなってしまって大丈夫なのかどうか。基礎年金の問題だと、かけている期間が人によって違うから、もらえる金額が違っているが、それは不平等なので平等にするという考えなのか。本来、自分のリスクに対して自分で保険料を払っている制度だから、保険をかけていない人はもらえないというのは、ある意味で当たり前の話。そこを全てもらえるようにすると、今度は保険料を払う必要性がないというインセンティブが出てくる。非常に大胆な改革を考えていると思うが、様々な問題点、課題が出てくる。

細野:既に、そこの矛盾は出ていると思う。例えば、基礎年金は、今、6万円とか7万円。まじめに払った人はそれだけもらえるが、逆に言うと、それだけしかもらえない。一方で、払わなかった人で生活保護になると、東京などではもう少しもらえ、その矛盾は既に現実のものとなっている。

 もう一つ言えることは、それぞれの社会保障の給付をするのに行政コストがものすごくかかっている。生活保護は、申請の際に資産があるかないかチェックしなければならず、ケースワーカーも相当大変です。そこでいろいろな軋轢もあったりする。年金もものすごくコストがかかっている。失業保険も、職業紹介をしながらなので、コストがかかっている。そういう行政コストももう一度見直して単純化した方が、むしろ行政コストも少なくてすむし、失業保険や生活保護をもらう側も精神的につらい。

 そういうこともなく一定の収入が入るという意味で、行政と受給者の両方にメリットがある。ただし、ベーシックインカムを出すことによって働かなくてもいいような社会になると、確かにバランスが悪いし、それだけを払うと財政がもたないので、そこは一定の制限を...

湯元:スイスでは国民投票をして、否決されている。もらう金額が30万円という大きな金額なので...

細野:日本の1億人を超えた人口では、そんな金額は財政的にとても無理だと思う。一方で、例えば子どもなどは、今は、義務教育はもちろんだが手当もかなりついているので、全部をベーシックインカムにするかという議論はあっていいと思う。ただ、ある一定の年齢以上になった場合は、行政コストも考えると、平等に出すということにしないとベーシックインカムのメリットがない。制度設計はまだまだこれからだが、トータルな状況からすると、そろそろ議論を始める。制度の切り替えに相当時間がかかる。例えば年金などは、払った人と払っていない人の問題があるので、どう平等な形に持って行くのか、時間もかかる。議論はもう始めておかないとAI時代、働き方が大きく変わる時代に対応出来ないのではないかというのが、我々の問題意識だ。

湯元:基本的考え方としては、かかる財政コストは全て既存の制度の見直しでカバーするので、その範囲の金額にするというイメージ。つまり追加的な財源が必要になるという考えはない、ということか。

細野:そこはいろいろな可能性があると思う。いくらくらいにするのかという制度設計も含めて、相当議論した上で国民合意がないと、ベーシックインカムは難しいと思う。

湯元:少し柔軟に考えれば、ある一定の働ける年齢くらいの人については、求職活動をちゃんとしているか、していないかに分けて配るというのもあると思う。負の所得税とか勤労税額控除など、ベーシックインカムのいろいろな仕組みは見かけ上似ているが条件が違うので、少し条件を変えることによってお金を節約するというのはあると思うが、そういうことは考えていないのか。

細野:やり方としては、今言われたようなかたちはあると思う。ただ、一方でベーシックインカムの議論は、例えば本当に自動化が進み、人力が相当必要なくなった社会では、「いわゆる生業として働くことの価値とはいったい何なのか」という時代がやがて来るかもしれない。ですから、そこは「社会がどうなるか」という哲学的な部分も踏まえて、どういうインセンティブなり、社会のモラルのようなものを維持しながら持続させるか、という議論になってくると思う。

工藤:最後に二つだけ。一つは、今回の結党後の動きですが、民進党からかなりの人たちが入りました。希望の党が入党条件を付けることで、枝野さんの立憲民主党が出来ました。それは、希望の党から見て、ある程度の基準をベースにして立党したので、当然だということなのでしょうか。それとも、もっと柔軟な形で一つの極を作るということを目的にすると、やりすぎだったと思うのか、どちらでしょうか。

細野:そこはなかなか難しい。個人的な人間関係から言えば、枝野さんは私が一番一緒に仕事をしてきた人。例えば原発事故のとき、枝野さんは官房長官で私が首相補佐官、その後私が閣僚になって枝野さんが経産大臣になった。本当に修羅場を一緒にくぐった、仕事がものすごく出来る人だ。長妻さんは同期で、心根のいい人、政権交代の立役者でもある。ですから、そういう人たちと一緒にやりたいという個人的な思いはある。

 ただし、立憲民主党を見ていると、安全保障に対する考え方とか、共産党の関係とか...相当ぐっと近づいた。共産党とは一つの極になったことが、明確になった。政界全体を見たときに、自民党がある。もう一つの、政権を担える極を、今、我々は作ろうとしている、出来つつある。どちらになっても、一定のチェック機能を働かせる極がもう一つある。これはもしかしたら一つの形かもしれない。まだその途上にあると思うが、私は、ある程度のところに線を引かざるをえなかった。そうでないと、民進党と同じ党が出来るだけ。

自公政権の長期化による制度のゆがみを正すためにも、もう一つの極を作りたい

工藤:もう一つ、森友・加計問題、これは何が問題ですか。つまり、安倍さんの政治家としての姿勢が問題なのか、それとも、長期化した自・公政権を変えなければいけないという問題なのか、あるいは、首相官邸に権限をかなり集めて、内閣人事局を作って、といろいろな形で動かしていることが、忖度を招きやすいような状況を作ったのか。

細野:内閣人事局は廃止をした方がいいのではないか、という議論も一部あったが、私はそういう議論はしない方がいいだろうと思う。霞が関がそれぞれの役所ごとにタコツボに入ってやっているのはよくないから、人事を一元化するというのは、仕組みとしては悪くない。一番問題なのは、工藤さんがおっしゃった二つ目。長く政権にいることで、対抗する勢力も自民党の中にもないし、野党の中にもないものだから、そこにおごりや慢心が出てきて、制度がゆがんだかたちで運営されるという状況が生じてしまっているということだと思う。だからこそ、自民党・安倍政権に対抗しうる勢力を作らなければならないという思いが非常に強い。我々も与党を目指しているが、国会の議席数が変われば、安倍政権が強いという状況だったとしても、緊張感が全然違う。300議席あったら政府は楽なもの。こんな状況をいつまでも続けていてはいけないと思う。

工藤:今日は細野さんを呼んで議論しました。今回の選挙は政権を選ぶ選挙で、私たちは政治と有権者との緊張関係を取り戻したい。ただ、もう一つ、日本の将来ということです。国民が一番直面している困難、北朝鮮とか少子高齢化といった課題が、日本の将来像の前に横たわっています。希望の党は出来たばかりですが、希望の党がその問題にどのような考え方と見識を持っているかということを、今日は確認させてもらいました。皆さんはどのように受け止めたでしょうか。これをもとに投票していただきたいと思います。今日はどうもお疲れ様でした。

工藤泰志
言論NPO代表

東洋経済新報社で、『論争東洋経済』編集長などを歴任。2001年10月、中立・独立した非営利のシンクタンク「言論NPO」を立ち上げ、代表に就任。選挙時のマニフェスト評価や政権の実績評価の実施をはじめ、様々な政策議論やフォーラム等を開催。12年3月、米国・外交問題評議会が設立した国際シンクタンク会議の日本代表に選出。同年11月、日本の政策論調を世界に発信する「DiscussJapan」編集長に就任。
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慰安婦問題と言えば第二次世界大戦中の日本兵相手の売春婦のことを中心に展開される。日本本土(内地)の日本女性のほか、日本の植民地だった朝鮮半島や台湾出身者も慰安婦にされた。日本軍の侵攻に伴い中国、フィリピン、ビルマ(現ミャンマー)、マレーシアなど各地で慰安所が作られ、現地女性も送り込まれた。オランダの植民地だったインドネシアでは現地女性のほか、捕虜のオランダ女性も慰安婦にされた。
 問題になるのは慰安婦は性奴隷だったのかそうではなかったのかである。韓国は慰安婦は性奴隷だったと主張している。日本の場合は性奴隷であったという主張とそうではなかったという主張に二分している。
 韓国の元慰安婦たちの証言、歴史的な事実、噂などが入り混じり、性奴隷であったという主張とそうではなかったという主張はいつまでも平行線である。混沌とした中にあるからこそ私たちは冷静に慰安婦について検証する必要がある。
 明治政府は四民平等、法治主義を掲げて始まった。帝国主義、富国強兵も掲げていたから、明治以後の日本が帝国主義であったことは否めない事実である。しかし、帝国主義であったから四民平等、法治主義はないがしろにしたということではない。明治政府は日本の近代化を目指して四民平等、法治主義を実現していった。慰安婦問題も日本では四民平等、法治主義に深く関係している。
目次
大坂夏の陣図屏風 5
日本の公娼制度の歴史 12
江戸時代の公娼制度・遊郭 13
明治になって遊女は奴隷制度から解放される 15
マリア・ルス号事件 16
娼妓取締規則(明治三十三年十月内務省令四十四号) 22
映画「春婦伝」で見る慰安婦の実態 慰安婦は性奴隷ではなかった 28
戦時中の慰安所と慰安婦 44
慰安婦問題を捻じ曲げる沖縄タイムス・琉球新報 47
沖縄新聞二紙の慰安婦でっちあげ 49
本当の慰安婦問題とはなにか 55
日本兵相手の慰安婦と民間売春婦 61
米国は性奴隷の証拠を見つけることはできなかった 62
川田文子の性奴隷掲載は沖縄タイムスの自爆行為 65
宮城晴美氏は慰安婦は性奴隷ではなかったと述べている 69
朝鮮の公娼制度ができるまで 72
朝鮮社会の深刻な違法行為蔓延 81
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   はじめに
今年の夏はとても暑かった。地球の温暖化が現実となり、異常気象になったのだろう。クーラーをかけるには窓を閉めなければならない。私は窓を開けっぱなしにして外の空気を入れ込みたいので、できるだけクーラーをかけない。
 築50年のおんぽろ外人住宅に一人で住んでいるが、暑いときには上半身を裸にして過ごす。しかし、8月になると気温が35度になる日が続いた。さすがに35度になると上半身裸でも暑さに負けてしまいクーラーをかけた。
 今年の暑さは異常だった。きゅうり、なすび、とうがん、モウイは暑さで枯れてしまった。こんなことは初めての経験だ。庭に植えた野菜だから毎朝水をかけた。それでも枯れてしまった。ほとんどの野菜は枯れたがコーヤーだけは成長して実もつけた。さすがゴーヤーである。
 庭に9本のコーヒーの木を植えているが、コーヒーの木にも異常が起こった。なんと四回も花が咲いたのだ。いままでは花は一回だけ咲いたが、なんと四回も咲いたのだ。実がとても多い。しかし、小さな実が多い。
 沖縄は人口が140万人を超えた。戦後ずっと人口は増え続けている。観光客も急激に増えた。沖縄は自然も社会も大きく変化し続けている島である。

 沖縄の歴史を琉球王国の側ではなく庶民の側から書いていこうとしているのが「沖縄差別の本当の原因は沖縄にある」である。大和朝廷時代から戦国時代、江戸時代、明治時代まで今の歴史は支配者の権力闘争を中心に書いている。沖縄も尚巴志の三山統一、明治政府による琉球処分など支配者を中心に書いている。農民の社会をテーマにした歴史が沖縄にはない。「沖縄差別」を解き明かすには農民の歴史を追及する必要がある。
戦後の沖縄の歴史、特に米民政府統治時代の歴史も追及しようと思っている。「沖縄戦のもう一つの真実」がそれの始まりである。
二つとも沖縄の歴史そのものの追及である。どこまでできるかわからないが、自分のできる限りのことはやってみたい。
     目次
① 金城テルさんが裁判に勝つ 那覇市の孔子廟は憲法違反であることが確定する 3
② 那覇市議選は翁長知事派の敗北である。そして、翁長知事はますます共産党に支配されていく 7
③ 沖縄戦 もう一つの真実 11
④ 県の「沖縄から伝えたい。米軍基地の話 Q&A BOOK」批判 17
⑤ とうとう暴力革命主義者まで擁護する翁長知事 32
⑥ 表現の自由ではない。左翼弁護士はテロを正当化する 43
⑦ 辺野古基地建設反対派は中国やISISに侵略される沖縄を目指している 46
⑧ 沖縄差別の本当の原因は沖縄にある
前篇 52
⑨ 日本共産党は設立した時から時代遅れで 日本に必要のない政党であった 73
⑩ 東京都議選の民進党大敗北の根本原因は共産党にある 86
⑪ 民進党の根本問題は蓮舫代表にあるのじゃない保守系と左翼系の野合にある 90
⑫ 蓮舫代表は都民ファーストとも共産党とも共闘して二大政党を目指していた。だから保守からも左派からも嫌われた 97
⑬ 細野氏の「たった一人の反乱」を二大政党への一歩にしてほしい 99


小説 私は小説家である 名前はまだない2
103
  日本には武士思想と社会主義思想しかないのか 134
大発見 135
詩 貴族に玉砕の思想があるのだろうか136
真珠湾攻撃 136
アート短詩について 138

随筆 脳出血から入院までのこと 140

小説 彷徨(さすら)う愛 149
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なぜ自民一党政権が続くのか 二大政党になる可能性は それが問題だ

なぜ自民一党政権が続くのか 二大政党になる可能性は それが問題だ
 最近は株も高くなった。それは安倍政権の経済政策アベノミクスの成果である。
このようなアベノミクスに匹敵する経済政策が共産党、社民党、そして立憲民主党の左翼政党にはない。
共産党の志位和夫委員長は、「アベノミクスがもたらしたものは格差の拡大だけだ」と主張して貧富の格差が広がったことを強調する。安倍政権が企業の海外移転を防ぐために進めた法人税減税を批判し、「これにメスを入れると財源はきっとある。その財源で教育や子育て、若者に予算を付ける」と、経済復興政策を無視している。経済政策が国民生活をよくしていることを無視して、貧富の格差の原因だけにしている共産党は経済発展政策がない。
立憲民主党の枝野幸男代表も「政治が格差を拡大させ、強い者をより強くした」とアベノミクスを非難するだけである。

アヘノミクスによって高校や大学の新卒の就職もよくなっている。確実に安倍政権は日本経済を復興させている。この経済を復興させる政策が左翼政党にはない。それが自民党と3左翼政党との違いである。
国民は経済が発展し、就職率が上がることを強く望む。国民が強く望んでいることに応えないのが左翼3党である。左翼3党が自民党と並んで国民の支持を得るのは無理である。

アヘノミクスの成果を認め、アベノミクスより効果のある経済政策を打ち出すことが安倍政権を打倒できるか否かを左右する。
希望の党の小池百合子代表はアベノミクス効果を認めている。認めた上で「これだけやっているのに(成果が)まだまだ不十分」と批判している。それが左翼政党と希望の党の違いである。
共産党は政権を握るほどに国民の支持を得ることがてきなかった。これまでの歴史を見れば明らかである。共産党が政権を取れない根本的な理由が経済発展の政策が共産党にはないことである。それは社民党や立憲民主党も同じである。

希望の党と維新の会はアベノミクス効果を認めている。認めた上で、希望の党は規制改革や情報公開を徹底し、「無駄遣い削減」で財源を捻出する考えを示し、日本維新の会は、国会議員の定数・報酬削減などで財源をつくり、消費税増税に頼らない教育無償化を訴えている。実際大阪では税収を増やさないで私立校を含めた授業料無償化を実現している。

希望の党への民進党の保守系の入党、維新の会との連携は自民党と対抗できる政党が確実に誕生したということである。二つの政党代表が日本の中心都市東京都と大阪府の知事であるというのも大きい。
これから色々困難なことはあると思うが、二大政党時代への幕開けであることは確実だ。

今回の衆議院選挙で希望の党と維新の会で自民党と肩を並べるくらいの当選者を出すか否かは問題ではない。民進党のような左翼が混在しない保守政党が誕生したことが重大だ。
 
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小池代表の「踏み絵」は当然の行為だ  ダイヤモンド・オンライン

小池代表の「踏み絵」は当然の行為だ  ダイヤモンド・オンライン
 ダイヤモンド・オンラインに上久保誠人立命館大学政策科学部教授の「小池代表の『踏み絵』は政策別政界再編を目指す上で当然の行為だ」が掲載された。

 希望の党に公認申請した民進党出身の候補者に対して、小池代表は独自の基準で選別する「排除の論理」を持ち出した。その結果、公認を得られず路頭に迷った「自称リベラル派」の議員が「立憲民主党」を結成した。衆院選を前にして、野党陣営の分裂という「混乱」を起こしたとして、小池知事・前原代表が批判されていることに対して、上久保教授は、4年前から主張してきた「政策別野党再編」という「政界の創造的破壊」の実現であるとして、高く評価している。

上久保教授は、国民の野党に対する根強い不信感は突き詰めると政策志向がバラバラな政治家が集まっている「寄り合い所帯」(私は保守・左翼の混在と言っている)が原因であったと指摘し、1993年に、「55年体制」成立後初めての「非自民政権」だった細川護熙政権と羽田孜政権が混乱の末に退陣した時から「寄り合い所帯」というのが、常に付きまとってきた深刻な問題であると述べている。

2009年から約3年間の民主党政権も、「寄り合い所帯」(保守・左翼混在)が原因で、憲法、安全保障、財政・税制など基本政策を巡って、党内が分裂して足を引っ張り合うような醜態を晒し続けた。そのために国民の不信感は頂点に達したと上久保教授は述べている。
もし、小池代表が「排除の論理」を持ち出すことなく、全ての民進党出身の候補者を希望の党の公認候補としていたら、小池代表が民進党を丸ごと受け入れることは、小池代表が「民進党代表」に就任するのと同じことになり、選挙で敗色濃厚な党が、人気のある大衆政治家を代表にして、なりふり構わず生き残ろうとしているという「究極的な大衆迎合」だとマスコミの批判が巻き起こったはずだと上久保教授は予想する。

上久保教授は、小池代表が改憲や安全保障政策といった基本政策の一致で、民進党候補者を「選別」したことは、間違っていないと述べ、国民には根強い「寄り合い所帯」に対する不信感があるのだから、それを払拭することが、政権を担当する政党たり得る資格を得る第一歩なのであると述べている。

上久保教授はリベラル派批判も展開する。
 マスコミでは小池代表が厳しく批判されて、「希望の党」への期待が次第に萎んでいる一方で、排除された「自称リベラル派」が結成した「立憲民主党」の支持が高まりつつあるという。小池代表の「踏み絵」を踏まなかったことが、「筋の通った行動」とマスコミが評価していることについて批判する。
「自称リベラル派」のほとんどが「希望の党」の公認を得るつもりだった。前原代表が「みんなで希望の党に行きましょう!」と演説した時、みんな拍手喝采していた。小池代表が「保守色」が強い政治家であることは、百も承知であったはずなのに、「基本政策の違いなんか、大したことない。とにかく小池代表の人気にあやかって、当選することだ」とリベラル派が考えていただろうと上久保教授は指摘して、
「リベラル派は『基本政策の不一致』を理由に、希望の党から公認を得られないことがわかってから、慌てて騒ぎ出したのだ。「筋が通っている」というならば、前原代表が最初に『合流案』を提案した時に、反対すべきだったではないか。この過程を時系列的に整理し直してみれば、『自称リベラル派』の行動こそ、実は筋が通っていないのである」
と、リベラル派のほうが筋は通っていないと述べている。
 リベラル派の多くは旧社会党系であり、北朝鮮を理想国家と考えるチュチェ思想家も多い。彼らはチュチェ思想家であることを隠している。リベラル派は左翼であるのに民進党では左翼であることを隠して保守派と同居していたのだ。

立憲民主党の立候補者62人のリストを見て上久保教授は、
「正直、厳しい状況だと思った。小選挙区で勝てるのは、枝野幸男氏、荒井聰氏、赤松広隆氏、近藤昭一氏くらいではないだろうか。長妻昭氏、辻元清美氏、菅直人氏は難しい。他は正直、勝てる感じが全くない。要は、政治家個人としての魅力がない人ばかりなのだ」
断じている。

 上久保教授は、民進党のリベラル派を「自称リベラル」と称しているが、その理由は彼らが実は本物のリベラルではないと考えているからであり、本当の「リベラル」は、中道勢力であるからだと述べ、リベラルについて説明している。
「英国で『リベラル』といえば、かつての自由党、今の保守党左派、マーガレット・サッチャー元首相のようは思想信条の政治家と(ちなみにテリーザ・メイ首相やディビッド・キャメロン前首相は、保守党右派=保守主義である)と、トニー・ブレア元首相に代表される「ニューレイバー」、つまり労働党右派のことである。これを日本のリーダー級の政治家に当てはめると、自民党の岸田文雄政調会長、野田聖子総務相、そして民進党右派の前原代表らではないだろうか」
と述べ、立憲民主党や共産党、社民党は、英国でいえばジェレミー・コービン党首率いる労働党左派ということになるが、労働党左派は「左翼」であり、日本の「自称リベラル派」は左翼である。しかし、「左翼」ではイメージが悪く、選挙で票にならないので、「リベラル」という呼称を必死に確保しようとしていると上久保教授は述べている。
そして、
「『自称リベラル派』で正直、小選挙区で勝てるのは、枝野幸男氏、荒井聰氏、赤松広隆氏、近藤昭一氏くらいではあり、長妻昭氏、辻元清美氏、菅直人氏は難しい。他は正直、勝てる感じが全くない。要は、政治家個人としての魅力がない人ばかりなのだ」
と厳しい状況であると予想し、前原代表の「希望の党合流」が 表面化した時点で勝負はついていたと述べている。

一部のメディアや識者が「リベラル勢力の結集」と強調しているのを、いまだに古臭い東西冷戦期の「保守・革新の対立」という構図のまま、物事を考えていると上久保教授は批判し、小池代表・前原代表が起こしたことは、古臭い「保革対立」を超えた、「新しい政治勢力」の誕生という「政界の創造的破壊」だと述べている。その一例として「安全保障政策を争点にしない」という、欧米の自由民主主義国では当たり前である政治を日本で実現したことをあげている。
英国では野党は国内のさまざまな政策課題で激しく政府・与党を批判していても、政府・与党が海外への軍隊の派遣を決定する時は、「首相の偉大なる決断」を称賛する演説を行う。欧米民主主義諸国では、野党は安全保障政策では対立を挑まないし、たとえ政権交代となっても、政策の継続性を重視する。国民の生命と安全がかかっている最重要政策を政争の具にはしない。
欧米の議会でも安全保障政策を巡る議論が行われないわけではない。しかし、日本の、2015年の安全保障法制を巡る与野党の激突のような、とにかく法案を潰すためにありとあらゆる方向から反対するようなことはあり得ない。強固な安全保障体制を確立し、抑止力を強化するためにはどうすればいいかという観点で、建設的な議論が行われる。小池代表と前原代表は、故意犯的に安全保障政策を争点にしないという、欧米の自由民主主義国では当たり前の政治を実現しようとしたと上久保教授は考えている。
そのために前原代表は、最初から小池代表の蛮勇を使って、自ら手を汚さず「自称リベラル派」を追い出すつもりだった。それは立憲民主党が立ち上がった時、『想定の範囲内だ』とコメントしたことからも理解できる。

 小池代表と前原代表は欧米の自由民主主義国のような「安全保障政策を争点にしない」議会をつくるために左翼リベラル派を排除した希望の党をつくった。それは当然のことであると上久保教授は断じている。
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前原代表の決断を認める記事が産経から出た

前原代表の決断を認める記事が産経から出た
 産経新聞に「民進党にけじめをつけた前原誠司氏 彼は『言うだけ番長』だったのか」という記事が載った。書き手は政治部の杉本康士氏である。
 杉本氏は毎日新聞の2日付朝刊に前原代表を「言うだけ番長」だと書いている記事を見つけた。
毎日新聞には、民進党支持団体の連合幹部は前原誠司代表(55)を「言うだけ番長」と呼び、「民進党をズタズタにしただけだ」と憤ったと載っていた。
杉本氏は前原代表が「言うだけ番長」という呼ばれた民主党政権時代にさかのぼる。
産経新聞は民主党政調会長だった前原氏を繰り返し「言うだけ番長」と批判した。平成24年2月に、前原氏は「言うだけ番長」と批判する産経新聞を記者会見から閉め出した。出入り禁止を宣告された本人がその当時政調会長を担当していた杉本氏であった。彼は前原氏に記者会見から閉め出されたのである。
しかし、今も強く杉本氏の記憶に残っているのは「前原許すまじ」という怒りではないという。
出入り禁止された後に杉本氏は政調会長担当から外務省担当になった。そのことを前原氏に話すと、前原氏は「おめでとう」と言い、「ちょっと2人で話せないかな?」と自室に招き入れた。
2人きりの議員会館の部屋で切り出されたのが記者会見の出入り禁止のことだった。前原氏は、
「これはいじめだ。本当につらいんだよ…」
と語ったいう。その時の前原氏が杉本氏には深く印象に残ったのである。
 
 「言うだけ番長」という呼び名は、民主党政権時代に政調会長の前原氏は数々の目玉政策を打ち出したが、ことごとく実現できなかったことからそう呼ばれた。

 前原代表は、東京都の小池百合子知事率いる希望の党への「全員合流」を公言した。9月28日の党両院議員総会では「誰も排除されない」と大見えを切ったが、安全保障関連法の容認などを受け入れ条件とした小池氏側に、多くの民進党左派が排除された。だから、毎日新聞は前原代表を「言うだけ番長」と言ったのである。杉本氏は毎日新聞の「言うだけ番長」に反論した。
 
 「言うだけ番長」と呼ばれていた時に話した前原氏は、興奮した様子はなく、衰弱したような印象を杉本氏は受けた。首相の座を目指す政治家が、こんな心弱いことで大丈夫なのかと、怒りよりも不安を感じたという。
 あの時以上に批判にさらされている前原氏であるが、落ち込んでいる様子はないし、衰弱した印象も受けないと杉本氏は言う。

希望の党への合流に関して前原代表は「私がだまされたという人がいますが、だまされたと思ったことは一度もありません」と言い切っている。そのことについて杉本氏は、前原氏が、安保関連法の容認など現実主義に立脚した外交・安保政策を共通基盤とする二大政党を実現するために、今回の政局を仕掛けたと理解している。
前原氏は民主党政権時代から集団的自衛権の一部行使容認を唱え、下野後の26年6月には集団的自衛権の行使を限定的に認める「安全保障基本法草案」をまとめた。
前原氏の今回の行動は「言い抜け」や「詭弁」を続けてきた民進党にけじめをつける賭けだったと杉本氏は述べている。そして。安保政策をめぐる政界地図を一変させようする前原氏は、「言うだけ番長」と呼ばれた過去とは違った顔を見せていると評している。そして、次の文章で締めくくっている。
「前原氏が希望の党への合流を提案した時点で、小池氏は『希望の党で戦いたい人はどこまで真にリセットできるか』と述べ、安保関連法の廃止方針を覆すことを希望の党の公認条件とする考えを明らかにしていた。それにもかかわらず、民進党両院議員総会は、希望の党への合流方針を満場一致で了承したのだ。

自分の頭で判断せず、後になって災厄が降りかかると指導者を批判する。はるか昔から繰り返された悲喜劇だ。古代ギリシャの民主制国家アテネが無謀な戦争で自滅する過程を描いたツキジデスは、こう書き残している。

『政策に破綻を来たすと、誤っていたのは君たち多勢の判断であったにもかかわらず、己れの誤りを咎(とが)めようとはせず、一時の激情に駆られて決議を行い、提案者一人の誤断にすべての責めを負わせている』

ツキジデスが描いた衆愚の姿が、前原氏を責め立てる民進党出身者と重なるといえば言葉が過ぎるだろうか」

前原代表が希望の党への合流の目的は民進党内で勢いを増し共産党との共闘を進めていたリベラル派の排除して保守派の政党をつくることであった。
そのためには、民進党両院議員総会は、希望の党への合流方針を満場一致で了承させた上で、小池代表が左翼のリベラル派を除外することであった。
希望の党に入党するには安保法案に賛成などの「踏み絵」を小池代表は課したが、それは前原代表も承知していたことであった。安保法案に反対しているという理由で前原代表は希望の党に入党しないで無所属で立候補した。これもリベラル派を徹底して排除するためであった。前原代表の政治生命を賭けたリベラル派排除のための希望の党合流であったのである。

産経新聞が前原代表の行動を認めたことはうれしい。

■安全保障関連法 平成27年9月に成立、28年3月に施行された。米国など「密接な関係のある他国」が攻撃され、「日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由などが根底から覆される明白な危険がある」などの要件を満たした場合、政府は「存立危機事態」を認定し、集団的自衛権を行使できるようになった。
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与野党から批判される希望の党に期待が膨らむ

与野党から批判される希望の党に期待が膨らむ
 希望の党の公約を与党の自民党、公明党そして、野党の共産党、社民党、立憲民主党が一斉に批判した。
 与野党から批判されるということは与党にもなれないし野党にもなれない行き場のない中途半端な政党のイメージてある。しかし、そうではない。与党が批判する公約の箇所と野党が批判する公約の箇所は違っている。そのことがむしろ希望の党が幅広い政治をやる政党になる可能性を暗示している。

自民党の菅義偉官房長官は
「(希望は)エネルギー政策を現実的にどうするのか。政策を具体的にどう実現していくのか説明する必要がある」
と批判した。
 
 小池代表は脱原発について説明している。
小池代表は脱原発の工程表として3本柱を考えている。
1つには脱原発
2つ目は省エネルギー
3番目が再生可能エネルギー
工程については次のように説明している。
原発からの段階的な撤退とか、計画的な廃炉といっても最も古い原発から新しい原発、いろいろと年齢が違っている。それにそれぞれの地域の色々な問題等々があるので、これらのことを総合的に考えながら脱原発の工程表を作っていく。
省エネについては2030年までに電力消費量を30%削減していく。
これについて省エネの対象事業者への義務付けなどをもう一度見直していく。さらには新規建物などにエネルギーの効率化を図っていく。

3本柱、再生可能エネルギーの拡大と同時に、2030年30%削減も目指す。これらの工程表の作成をしているところであると小池代表はインタビューに答えている。そして、
「ここは脱原発という意思を持つというのがまず必要であって、そしてそれに対して工程表をしっかりと書いていくということを進めてまいりたいと考えております」
と述べている。
小池代表の説明で、現段階での菅義偉官房長官の批判に対する答えとしては十分であると思う。

安倍晋三首相(自民党総裁)周辺は、希望が「アベノミクス」に代わる「ユリノミクス」を掲げたことに関し「いずれ枯れる」と語った。
「ユリノミクス」では「アベノミクス」が掲げていない公約もある。例えば企業の内部留保400兆円に課税するいうのがある。

企業の内部留保は4年超で114兆円増加した。
安倍政権は外国企業との競争力を高めるために企業減税をした。そのお蔭で企業は経営が回復し利益が上がった。しかし、企業は労働者に還元しないで内部留保を増やしていったのである。
財務省の法人企業統計によると、2017年4─6月期の企業の利益剰余金は388兆円。前期の390兆円から2兆円減ったものの、第2次安倍政権が発足した時、安倍政権は37%だった法人税率を29.97%に下げた。法人税率を下げたので企業収益は増加基調を継続。日銀の大規模緩和の反射的効果として円安が進み、それが企業収益をサポートしたのである。企業の内部留保は2012年10━12月期の274兆円から114兆円増加した。 114兆円の内部留保の増加はアベノミクスの果実であった。

問題なのは、その間に企業の労働分配率が低下傾向を続け、国内設備投資もかつての景気拡大期のように増加していないことだ。企業が追い風を受けながら、その利益を抱えたままになっているのである。それは自民党が企業側の政党であるからである。

自民党は企業の経営が復興するために減税をしたが、復興して利益を貯め込んでも、それを労働者に還元することには真剣に取り組んでいない。
それに、この大きな問題について、これまで野党第1党であった民進党もあまり関心を示してこなかったこともあり、国会論戦をはじめ国政レベルで大きな問題として取り上げられることはなかった。
民進党が労働者の利益を真剣に追及する政党であったなら、企業の400兆円内部留保を労働者に還元することを自民党に要求したはずである。しかし民進党はしなかった。

内部留保への課税は共産党の長年の持論である。しかし、少数政党の共産党が主張しても自民党は無視する。共産党を無視することができても政権交代の可能性のある希望の党の場合はそうはいかない。
希望の党が大企業の内部留保に課税すると公約すると、すぐに自民党が噛みついた。

麻生太郎財務相は6日の閣議後会見で、希望の党が打ち出した内部留保課税について「二重課税になる」と述べ、否定的な見解を示した。
二重課税ついて、小池代表は反論した。
内部留保について、二重課税ではないかということに対して。アメリカや韓国、台湾などでもすでに行われていると小池代表は反論し、内部留保課税を日本がやると、また企業が外へ逃げてしまうのではないかという疑問にも、海外でも内部留保課税を行っているということと、日本でもすでに同族会社に関しては、通常の法人税に加えて内部留保課税が行われていると述べて内部留保課税に問題はないと述べた。
 さらに小池代表は内部留保課税が実施されたあとに、課税を避けるためにそれを取り崩すと、それを設備投資に回すであるとか、企業内保育園をつくるであるとか、そういったことにより有効に活用されると指摘して、それらは内部留保課税の効果というものであって、これらが実際に設備投資に回ったり、株の配当に回るということは、これまで貯めに貯められてきたお金が流動的に動くという、そのきっかけになると小池代表は内部留保課税の効果を述べた。
 
 一方野党の共産党は希望の党が憲法九条を含めた憲法の改正に賛成していることを批判している。小池晃書記局長は「改憲政党だとはっきりした。どこから見ても自公両党、安倍政権の補完勢力だ」と希望の党を批判した。

 自民党が経済面の批判をしたのとは違い、共産党は憲法改正を批判した。経済政策に対する批判はしていない。自民党は共産党とは逆に経済政策を批判したが憲法改正については批判していない。
 共産党もずっと内部留保課税を主張してきた。だから、希望の党の内部留保課税には賛成であると考えられる。一方自民党は憲法改正を主張してきた。だから、希望の党の憲法改正には賛成である。

 憲法改正には国会議員の三分の二の賛成がなければならないから、安倍政権が目指している憲法改正には希望の党の協力が必要になる。それに東京オリンピック開催には東京都知事である小池代表と安倍政権はお互いに協力していかなければならない関係である。
 
 共産党は内部留保課税については共闘して安倍政権と闘うべきであるが、小池晃書記局長は希望の党を「改憲政党」と決めつけ、安倍政権の補完勢力であると突き放している。共産党が希望の党と内部留保課税で共闘することはないだろう。共産党は内部留保課税より憲法改正反対に固執しているからだ。そして、なによりも左翼イデオロギーの塊である共産党は保守とは一切協力しないことを政治戦略にしている。
 社民党も吉田忠智党首が「憲法改正に九条を含めて前のめりだから相いれない」と述べているから希望の党とは対立するだけだろう。
 立憲民主党の枝野幸男代表は「違憲部分を含む安保法制を前提に自衛隊を(憲法に)明記すれば、違憲のものを追認することになる」と述べているから、希望の党とは徹底して対立していくだけである。
 安保法制反対、憲法改正反対を優先にしているのが共産党、社民党、立憲民主党の左翼政党である。

 議会制民主主義国家の政党は国民のあらゆる問題を対象にし、解決するために政策を立てていかなければならない。国民が政党に望んでいるのは国民生活の経済の充実と生活の豊かさ、そして国の安全である。しかし、左翼3党は憲法改正反対にこだわり、経済問題を疎かにしている。国民はそんな政党を歓迎しない。それは政党が保守であろうが左翼であろうが関係がない。
前の衆議院選で次世代の党が改選前の19議席から、ほぼ十分の一の「2議席」に大激減したのは。次世代の党が経済問題の政策はなく自主憲法の制定だけを目指した政党だったからだ。国民は国民生活を顧みない政党にはそっぽを向く。
左翼3政党が憲法問題にこだわり、経済発展を目指した政治に見向きもしなかったなら、いつまでも少数政党のままであり、国会の過半数を獲得するのは不可能である。

経営者と労働者は運命共同体である。会社の経営が悪化すれば収入が減るし、倒産すれば経営者も労働者も収入を失う。だから、両者とも会社が繁栄することを目指す。しかし、会社が繁栄したからといって繁栄に比例して労働者の収入が上がるということはない。経営者は会社の収益には執着するが労働者への還元は押さえようとする。
自民党は経営者の側の政党であるから労働者の待遇改善には消去的である。だから、400兆円の内部留保になったのである。本来なら左翼政党は労働者の味方であるべきであり会社の繁栄を労働者に還元させることに真剣に取り組むべきであるが、日本の左翼政党はやらない。日本の左翼政党は本質的に労働者の味方ではないからだ。

 リーマンショックで日本が不景気になった時、安倍首相は日本の経済を復興させるために「アベノミクス」を掲げて実践したが、共産党は経済復興を目指した「アベノミクス」のような政治を絶対にしない。共産党は「アベノミクス」が失敗して日本経済が恐慌になるのを望むような政党である。恐慌になれば安倍政権は崩壊し、国民の自民党への信頼はなくなる。そして。社会は混乱する。この時こそが共産党が望む共産党一党独裁の社会主義国家を設立するチャンスである。恐慌が起こり、労働者が困窮し、困窮が政権打倒に向かうのを共産党は望んでいる。
共産党は経済が繁栄すること=ブルジョア階級が富むことであると決めつけているから経済が繁栄することを望んでいない。恐慌になることを望んでいる。だから、経済の繁栄のための政治をする自民党は打倒する対象である。

消費税の8%凍結、400兆円の内部留保課税を選挙公約に掲げた希望の党こそが労働者の生活向上を目指した政党である。労働者の味方である。

 戦後の政治史で初めて労働者の味方の政党が登場したといっても過言ではない。

 希望の党の小池代表は連合の神津里季生会長に支援を訴えた。同じように立憲民主党の枝野代表も支援を訴えた。民進党を支援してきた連合はどちらを支援するか迷った結果、希望の党も立憲民主党も支援しないで前民進党の候補者を支援することになった。

 立憲民主党に入党するのは民進党時代のリベラル派である。リベラル派の多くは旧社会党員である。旧社会党は北朝鮮を理想国家としていたチュチェ思想家が多い政党であった。
 北朝鮮の独立記念日に北朝鮮に行った政治家としてアントニオ・猪木がマスコミで騒がれたが、北朝鮮に行ったのはアントニオ・猪木だけではなかった。二人の大物元代議士も行っていた。一人は元社民党国対委員長の日森文尋氏(68歳)であった。彼は国会議事堂にあたる万寿台議事堂で演説した。日森氏は国対委員長を、09年8月まで務めた。
 もう一人は平岡秀夫氏(63歳)である。彼は野田佳彦民主党政権時代に法務大臣の重責を担った人物である。彼の仲間が民進党のリベラル派に多い。
 二人は現役の議員ではなくなったからチュチェ思想を隠して保守を装う必要がなくなった。だから、日本の上空にミサイルを飛ばした北朝鮮に行ったのである。
現役の議員はチュチェ思想を隠しながら保守政治家を装って政治をやっている。それが民進党のリベラル派である。
立憲民主党は保守派が居ないリベラル派だけの政党である。共産党との関係が強くなればなるほど保守を装うことはできない。
共産党と一緒に反安保法、憲法改正反対、反消費税の旗を掲げて総選挙に臨むだろう。
連合とは敵対関係にある共産党と積極的に共闘しようとしている立憲民主党の正体は選挙中、選挙後に次第に明らかになっていくだろう。連合も立憲民主党の正体を知るようになると支援をしなくなるだろう。

連合の支援がほしい立憲民主党である。
8日に、市民団体がJR新橋駅前で開いた集会に共産党の志位和夫委員長、社民党の吉田忠智党首と立憲民主党の枝野幸男代表が参加し、衆院選での連携をアピールしたが、集会で奇妙なことが起こった。
志位委員長と吉田党首は一緒に登場し、「安倍政権を野党と市民の共闘で倒そうではないか」と吉田氏は志位氏はともに野党の結束を訴えたが、その場に枝野代表は居なかった。
枝野代表は志位氏らが会場を立ち去った直後に登場した。志位氏らとは並ばずにマイクを握った。枝野氏は演説で、共産、社民両党が野党一本化を優先して候補者を取り下げたことに対し「敬意と感謝を申し上げたい」と表明したが、共産、社民の代表者とは並ばなかったのである。枝野代表は選挙では共産党。社民党と連携をするが政治の共闘は別であると暗に示したものである。
枝野氏の行動について、関係者は「連合に配慮した」との見方を示した。連合は立憲民主党の候補を個別に支援するが、共産党との共闘には否定的だ。
連合は共産党を支持していない。共産党を支持している労働団体は連合ではなく、全労連である。
全労連の加盟組織の過半は、日本自治体労働組合総連合(自治労連)、全日本教職員組合(全教)、日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)などの公務員組合で占められている。基幹産業の多数派組合は加盟していない。いわゆる公務員の政治組織のようなものである。
民間企業中心の連合とは性質が異なり対立している労働団体が全労連であり、共産党と密接な関係にある。全労連があるから共産党は強い政党である。
枝野代表が志位委員長と並ばなかった背景には連合と共産党・全労連の対立があるからである。

立憲民主党が共産党との連携を強くしていけばいくほど連合は立憲民主党を支援しなくなっていく。共産党と政治共闘をして政権獲得目指していけば連合は立憲民主党から離れていくだろう。
連合の支援も欲しい、共産党の票も欲しいという枝野代表だから連合に支援を要求する一方共産党と連携したのである。敵対している労働団体の両方から支援させようとしているのは矛盾である。その矛盾が民進党の矛盾でもあった。矛盾を嫌って民進党が共産党と選挙共闘に向かっている時に細野氏などの保守系が離党したのである。
枝野代表は単純に票を増やすことに執心して共産党と連携したが、それは政治矛盾を抱えるものである。矛盾を解消するために前原代表は希望の党への合流をめざし、政治矛盾解消を徹底するために小池代表は安保法賛成などの入党条件をつけたのである。
小池代表が枝野代表のように票獲得に執心していたなら民進党員を無条件に入党させたはずである。小池代表は量より質を優先したのである。

 希望の党こそが二大政党の一翼を担える政党であるし、連合が支援するべき政党である。

 小池代表と前原代表の二人の共同作業で日本の政治史上で自民党に次ぐ保守政党を誕生させたのである。残念ながらそのことを指摘するのは橋下徹氏だけである。

橋下徹氏のツイッターより

2017年10月3日
小池さんは歴史に名を残すね。これで選挙の結果がどっちにころんでも憲法改正議論が進む。憲法改正絶対反対の民進党をたった一人の政治家が一気に改憲集団に切り替えた。こんなことは僕も含めて普通の政治家ではできないね。あとは民進組が裏切らないことを願う。
2017年10月3日
もちろん前原さんも歴史に名を残す。こんなことは、僕も含めて普通の政治家や学者やメディア、コメンテーターの自称インテリには絶対にできない。二大政党制に向かうには避けては通れないプロセス。批判覚悟で誰かがやらなければならないこと。批判している連中は口だけの雑魚。


 希望の党の誕生は、保守の二大政党の可能性につながるものであり、歓迎するべきであるが、マスコミ、評論家、知識人、ブログ等の多くは小池代表への批判や揶揄が占めている。
希望の党の誕生が二大政党の始まりになると主張し続けているのが橋本徹氏である。彼のツイッターから引用する。

長い時間をかけてできあがった怪物自民党に対抗できる政党を作ろうと思えば10年、20年のスパンで考える必要がある。小池さん、松井さん、前原さんは自分の代ではなく、次の代で野党の形が見えればいいという気持ちで棲み分けの密約を交わすべき。その際にぽんこつガラクタ議員は一掃すべき。

二大政党制の対立軸は、政策や理念ではない。支持層の違いが対立軸でそれで十分だ。自民党は団体が中心。希望と維新は団体に属していない有権者が中心。希望と維新は企業団体献金の禁止を掲げている。支持層が政党の政策・態度振る舞いを左右する。民主主義である以上当然のことだが。

自民公明VS希望維新の切磋琢磨で、日本政府の国民・納税者をバカにした対応を改めるべき。これが二大政党制。不正の有無ではない。「文書は捨てた、記憶にない、事実は確認しない」というふざけた態度が問題だ。希望維新が自公を突き上げて自公に態度を改めさせるべき

現実的判断ができる2つの政党が競争関係になれば、そこには保守やリベラルなんていうくだらない概念・観念は無力化する。有権者の求める合理的な政策合戦となり、現実を分析した合理性が柱となる。なぜなら暇な自称インテリを除いて、有権者一般は保守やリベラルなんて意識していないから。
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前原代表、思い悩み、眠れぬ日々をツイッターで告白

前原代表、思い悩み、眠れぬ日々をツイッターで告白 
 民進党を小池百合子東京都知事が率いる希望の党へ合流させることは、事実上の解党になる。希望の党との衆院選候補者調整で前原代表は「思い悩み、眠れぬ日々が続いた。前原代表が6日に17回にわたって連続投稿したツイッターの全文は次の通り(原文のまま)。

1 私がなぜ、今回の政治決断に踏み切ったのか。フォロワーの皆さんには、自分の言葉でお伝えしたく、筆を執ります。長くなりますが、最後までお目通し頂ければ幸いです。

2 民進党の結成は昨年3月。その後、我が党は他の野党との4党共闘を優先する余り、政策的立ち位置が曖昧になってしまいました。「民進党は左傾化し、共産党や社民党との違いが分からなくなった」と指摘される度に、私は忸怩たる思いに、さいなまれました。

3 一つ例を挙げれば、憲法改正です。かつての民主党は、憲法改正についても臆せず議論し、自ら提案していく気概がありました。一方、民進党内では、他党への配慮から改憲論議すらできない雰囲気になりました。離党者が続出した一因です。

4 北朝鮮情勢が緊迫化する中で、現実的かつ建設的な外交・安全保障政策を展開する政党になりきれなかったことも、民進党の支持率低下を招いたと思います。

5 他国との外交関係には、継続性と安定性が求められます。だからこそ、私は先月の代表選で「内政では自民党政権への対立軸を示し、外交安保は現実路線で」と訴え、路線変更を主張しました。

6 個人的な持論を封印し、4党共闘を続ける道もありました。しかし、参院選と違い、衆院選は政権選択の選挙です。理念・政策の異なる党と手を結べば、民進党は主体性を失って単に左傾化しただけ、との印象がさらに強まります。

7 「そんな党にはしたくない」という意見が民進党の議員、党員、サポーターに多かったからこそ、私は代表選で勝たせて頂けたのだと思っています。衆院が解散されることとなり、私は、私に託してくれた仲間の思いを大切にしたいと考えました。

8 一方で、民進党を残したまま小池さんの新党と競合する形になったら、どうなるか。それも考えました。政策的な方向性は同じだけに、衆院選になれば票が分散して自民党を利するだけです。野党が乱立する形は望ましくないとの結論に至りました。

9 安倍総理の意向を忖度した「お友達への優遇」で、政治・行政が歪められました。安倍さんは森友・加計学園の問題について「丁寧に説明する」と言いながら、臨時国会で説明することから逃げました。なのに「お灸を据えたくても選択肢がない」という、あきらめにも似た声を多く聞きました。

10 「選択肢がない」のは、安心して政権を任せられる、もう一つの大きな政党が存在しないからです。安倍さんへの国民的不信が高まっているのに、どの党も、自民党に代わる選択肢になっていない。今回の衆院選で「1強多弱」がさらに定着してしまうかもしれない。

11 そんな状況を打破したい。これが、今回の挑戦の原点です。私は、大きな塊を作る政治のダイナミズムが必要だと思い定めました。小池百合子さんとともに、新たな理念・政策の旗を掲げ、「安倍一強」「一強多弱」の現状を打ち破るために大同団結しようと決意しました。

12 私は、小池さんとともに「希望の党」を大きく育て、自民党に取って代われる政党に成長させます。外交安保で現実路線を歩む保守政党がもう一つあれば、国民の皆さんも安心して、安倍さんにお灸を据えられるのではないでしょうか。

13 私心をかなぐり捨て、邪念を振り払い、考えに考えを重ねて出した結論です。「しがらみ政治」からの脱却を訴える小池さんには、共鳴できる所が多々あります。「日米同盟基軸の現実的な外交安保政策」という重要な点でも考え方は同じです。

14 候補者調整の結果、希望の党への参加を望んだにも関わらず、一緒に行けない人が出てしまったのは極めて残念です。民進党代表として、全員の参加を求めて交渉を続けてきましたが、希望の党側の事情も汲まねばなりませんでした。思い悩み、眠れぬ日々が続きました。

15 無所属で出馬することを選んだ仲間や、枝野さんら立憲民主党の結成に踏み切った皆さんとは、安倍政権を倒すという点で、目指すところは同じです。辻元清美さんが言ったように「左右からの挟み撃ち」で連携できたらと思っています。

16 希望の党が発表した選挙公約には、「All for All」でも掲げた所得の再分配政策など、民進党が目指してきた社会像や理念が反映されました。「原発ゼロ」「隠ぺいゼロ」「受動喫煙ゼロ」といった、小池さんのこだわりも盛り込まれました。

17 明日に希望の持てる社会を作るために、私達は力を合わせます。安倍さんが歪めた政治を正し、希望の持てる政治に蘇らせます。国民の皆さんの願いを叶えるために、私達は精一杯、力を尽くします。希望の党を、どうか応援して下さい。何卒宜しくお願い申し上げます。(誠)
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前原代表が非自民党・非共産党に徹したから保守・非左翼の新政党ができた

前原代表が非自民党・非共産党に徹したから保守・非左翼の新政党ができた
 希望の党への合流を決めた民進党の前原誠司代表(衆院京都2区)が7日、京都市内で京都新聞社のインタビューに応じた。
 前原代表は希望の党への合流について、
安倍政権の5年間で民進党の勢力の低迷が続いてきた。安全保障関連法反対の野党共闘をして勢力回復を目指したが、民進党の存在感は高まらなかった。
一方、共産党、社民党と共闘したことによって、民進党の左旋回が強まっていった。民進党の保守派は共産党を気にして憲法改正や消費税の問題では発言できなくなっていった。このまま衆院選に突入すれば、壊滅的な状況に陥るという危機感に襲われた。
安倍政権を終わらせるには与野党が1対1の構図をつくる必要があると考え、選択肢として、
1、 野党共闘
2、 選挙区での共産党とのすみ分け
3、 野党再編
の三つを考えた。
しかし、小池百合子東京都知事が代表になって希望の党を設立する動きがあったので考えが変わった。
希望の党と連携すれば前原代表の思いでもある「非自民・非共産」の大きなかたまりをもう一度作ることができる。
それが前原代表が希望の党と合流を決意した理由であった。
前原代表は「非自民、非共産党」の政党を目指したが、小池代表は非共産党に留まらず非左翼に拡大した。旧社会党系のリベラル派が入党できないように安保法制賛成等の入党条件をつけたのだ。前原代表も小池代表の要求を受け入れた。二人の合意で「非自民・非左翼」の保守政党が誕生したのである。

希望は自民党との違いが見えづらいとの質問には、
外交安全保障は現実路線で、大きな違いはないと答えている。しかし、内政では違うところが多いと答え。例えば、民進党で「中福祉・中負担」で社会保障を充実すると主張してきたが、そのことについては小池代表も賛同したという。また、財源については民進党は消費増税分を想定していたが、安倍政権の経済政策の路線で増税すると格差を広げることになるので、希望が公約にしている増税凍結は理解できると答えている。

前原代表の「非自民・非共産党」へのこだわりと小池代表による希望の党設立によって日本政治史上初の「非自民・非左翼」の保守政党が誕生したのである。
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小池代表を云々するのは馬鹿らしい

小池代表を云々するのは馬鹿らしい
 小池百合子東京都知事は65歳である。彼女は64歳で東京都知事選に立候補しようとしたが自民党の推薦を受けることはできなかった。それでも彼女は東京都知事に立候補した。彼女は自民党推薦候補と対決したのである。選挙に100%当選する保証はない。自民党の推薦なしで立候補すれば落選する可能性は高い。それでも小池氏は都議選に立候補したのである。
残り少ない政治生命を東京都知事として生きることを彼女は選んだから自民党の推薦がなくても立候補したのである。彼女は都議選に政治生命を賭けたといっても過言ではない。

小池氏は首相に一番近い女性政治家と言われ続けていたから、本当は首相の座を狙って都知事になったのだろうとマスコミで邪推しているが、首相を目指しているのなら、自民党で勢力拡大を目指すのであって、自民党公認の都知事立候補者と対立してまで立候補するはすがない。小池氏は本気で東京都知事になりたかったのである。
64歳で都知事になれば、一期務めた時には68歳である。二期務めれば72歳である。彼女の年齢を考慮すれば首相を目指しているから都知事になったという予測には無理がある。それに年齢のことも問題であるが、自民党の方針に背いて都知事になったのである。小池都知事に対しては自民党議員の反発が大きいだろう。都知事になったことは首相への道は閉ざされたと見るべきである。そのことは小池都知事自身が十分承知していると思う。

都議選で自民党が大敗北をして都民ファーストが圧勝したのは小池都知事の政治手腕ではない。公明党が自民党を裏切って都民ファースト支持に回ったことと、民進党の保守派が都民ファーストに流れたからである。公明党の支持と民進党の保守派の入党がなければ都民ファーストの議席は半分にも届かなかったはずである。都民ファーストの圧勝は小池都知事にとって棚からぼた餅であった。彼女の実力で勝ち取ったものではないし、小池ブームのせいでもない。
それをあたかも小池ブームのように騒ぎ立てるマスコミや評論家は現実を正しく見ていない。

彼女は都民ファーストが圧勝したにも関わらず代表を辞めている。
維新の会の松井氏は知事でありながら代表である。橋下徹氏も大阪市長でありながら維新の党の代表者であった。小池氏も都知事を務めながら都民ファーストの代表の座に居ることは前例があるし無理ではなかった。国会は東京にあるし、東京から遠い大阪府の知事よりはハンディは小さい。しかし、彼女は都民ファーストの代表を辞めた。なぜか。政党のリーダーとしての力が自分にはないからリーダーには向いていないことを自覚していたからである。
小池代表は都民ファーストの時と同じように衆議院選が終われば希望の党の代表を辞める積りでいるだろう。

ところが、代表を辞めるつもりでいる小池都知事が5日、あらためて衆議院選挙への立候補を否定したことに、与野党から批判や疑問の声が上がった。
共産党の小池書記局長は「はっきり言って、都知事が党首になること自体がおかしいんですよ。出馬するのも無責任、出馬しないのも無責任」と述べた。しかし、すでに維新の会の前例がある。都知事が党首になることはできるのだから、こんなことに文句を言うのは小池都知事のイメージダウンを狙っているからである。共産党らしい。
自民党の岸田政調会長は「希望の党が選挙を戦って、そして首班指名となったときに、誰を首班として推していくのか、この点が気になります」と述べた。自民党だって安倍首相を首班指名するとは決まっていない。もし、当選者が過半数を割れば、安倍首相の首班指名はない。首班指名はすべて選挙の結果である。選挙前に首班指名を決めることはできない。
自民党の岸田政調会長は、小池氏が立候補を固辞したことについて、「選択肢を示し、選挙への材料を示すという意味で、国民が物足りなさを感じる部分があるのではないか」と疑問を呈したが、希望の支持が高くなろうが低くなろうが自民党には関係ない。むしろ、小池代表に国民が物足りなさを感じるのならば自民党にとって喜ばしいことである。

希望の党へ多くの民主党員が入党するのは小池都代表の政治手腕によるものではない。彼女はなにもしないのに前原代表によって民進党員の希望の党への合流が推し進められたのである。
予想していなかった事態に彼女は対応しただけである。しかし、彼女の対応は政治の流れに乗った適切な対応であった。そして、はっきりしていることは彼女は希望の党のリーダーの実力はないし本人もそのことを自覚していることである。

衆議院選挙で注目すべきことは小池都知事ではなく、民進党が保守とリベラル派に分裂して、保守政党と左翼政党にはっきりと分かれたことである。日本政治の変革が起こったといっても過言ではない。

 これから保守政党の政治と左翼政党の政治がはっきりと国民に分かるようになっていくだろう。
共産党は国民生活がよくなる政策は立てるが絶対に大企業が発展する経済政策はつくらない。国民生活をよくするための税源を企業税を高くしたり、自衛隊予算を削ることでつくろうとするだろう。その共産党と共闘する立憲民主党の政策も共産党の政策に近寄っていくだろう。
 
 願わくば希望の党が第二党になり共産党、社民党、立憲民主党の合計より多くなることである。維新の会の当選者も共産党や立憲民主党より多くなってほしい。
 そうなれば日本の政治は保守政党の政権争いの構図が出来上がり、左翼政党は政治の蚊帳の外に置かれる。
 それこそが日本政治の変革が現実となる日である。
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