与野党から批判される希望の党に期待が膨らむ

与野党から批判される希望の党に期待が膨らむ
 希望の党の公約を与党の自民党、公明党そして、野党の共産党、社民党、立憲民主党が一斉に批判した。
 与野党から批判されるということは与党にもなれないし野党にもなれない行き場のない中途半端な政党のイメージてある。しかし、そうではない。与党が批判する公約の箇所と野党が批判する公約の箇所は違っている。そのことがむしろ希望の党が幅広い政治をやる政党になる可能性を暗示している。

自民党の菅義偉官房長官は
「(希望は)エネルギー政策を現実的にどうするのか。政策を具体的にどう実現していくのか説明する必要がある」
と批判した。
 
 小池代表は脱原発について説明している。
小池代表は脱原発の工程表として3本柱を考えている。
1つには脱原発
2つ目は省エネルギー
3番目が再生可能エネルギー
工程については次のように説明している。
原発からの段階的な撤退とか、計画的な廃炉といっても最も古い原発から新しい原発、いろいろと年齢が違っている。それにそれぞれの地域の色々な問題等々があるので、これらのことを総合的に考えながら脱原発の工程表を作っていく。
省エネについては2030年までに電力消費量を30%削減していく。
これについて省エネの対象事業者への義務付けなどをもう一度見直していく。さらには新規建物などにエネルギーの効率化を図っていく。

3本柱、再生可能エネルギーの拡大と同時に、2030年30%削減も目指す。これらの工程表の作成をしているところであると小池代表はインタビューに答えている。そして、
「ここは脱原発という意思を持つというのがまず必要であって、そしてそれに対して工程表をしっかりと書いていくということを進めてまいりたいと考えております」
と述べている。
小池代表の説明で、現段階での菅義偉官房長官の批判に対する答えとしては十分であると思う。

安倍晋三首相(自民党総裁)周辺は、希望が「アベノミクス」に代わる「ユリノミクス」を掲げたことに関し「いずれ枯れる」と語った。
「ユリノミクス」では「アベノミクス」が掲げていない公約もある。例えば企業の内部留保400兆円に課税するいうのがある。

企業の内部留保は4年超で114兆円増加した。
安倍政権は外国企業との競争力を高めるために企業減税をした。そのお蔭で企業は経営が回復し利益が上がった。しかし、企業は労働者に還元しないで内部留保を増やしていったのである。
財務省の法人企業統計によると、2017年4─6月期の企業の利益剰余金は388兆円。前期の390兆円から2兆円減ったものの、第2次安倍政権が発足した時、安倍政権は37%だった法人税率を29.97%に下げた。法人税率を下げたので企業収益は増加基調を継続。日銀の大規模緩和の反射的効果として円安が進み、それが企業収益をサポートしたのである。企業の内部留保は2012年10━12月期の274兆円から114兆円増加した。 114兆円の内部留保の増加はアベノミクスの果実であった。

問題なのは、その間に企業の労働分配率が低下傾向を続け、国内設備投資もかつての景気拡大期のように増加していないことだ。企業が追い風を受けながら、その利益を抱えたままになっているのである。それは自民党が企業側の政党であるからである。

自民党は企業の経営が復興するために減税をしたが、復興して利益を貯め込んでも、それを労働者に還元することには真剣に取り組んでいない。
それに、この大きな問題について、これまで野党第1党であった民進党もあまり関心を示してこなかったこともあり、国会論戦をはじめ国政レベルで大きな問題として取り上げられることはなかった。
民進党が労働者の利益を真剣に追及する政党であったなら、企業の400兆円内部留保を労働者に還元することを自民党に要求したはずである。しかし民進党はしなかった。

内部留保への課税は共産党の長年の持論である。しかし、少数政党の共産党が主張しても自民党は無視する。共産党を無視することができても政権交代の可能性のある希望の党の場合はそうはいかない。
希望の党が大企業の内部留保に課税すると公約すると、すぐに自民党が噛みついた。

麻生太郎財務相は6日の閣議後会見で、希望の党が打ち出した内部留保課税について「二重課税になる」と述べ、否定的な見解を示した。
二重課税ついて、小池代表は反論した。
内部留保について、二重課税ではないかということに対して。アメリカや韓国、台湾などでもすでに行われていると小池代表は反論し、内部留保課税を日本がやると、また企業が外へ逃げてしまうのではないかという疑問にも、海外でも内部留保課税を行っているということと、日本でもすでに同族会社に関しては、通常の法人税に加えて内部留保課税が行われていると述べて内部留保課税に問題はないと述べた。
 さらに小池代表は内部留保課税が実施されたあとに、課税を避けるためにそれを取り崩すと、それを設備投資に回すであるとか、企業内保育園をつくるであるとか、そういったことにより有効に活用されると指摘して、それらは内部留保課税の効果というものであって、これらが実際に設備投資に回ったり、株の配当に回るということは、これまで貯めに貯められてきたお金が流動的に動くという、そのきっかけになると小池代表は内部留保課税の効果を述べた。
 
 一方野党の共産党は希望の党が憲法九条を含めた憲法の改正に賛成していることを批判している。小池晃書記局長は「改憲政党だとはっきりした。どこから見ても自公両党、安倍政権の補完勢力だ」と希望の党を批判した。

 自民党が経済面の批判をしたのとは違い、共産党は憲法改正を批判した。経済政策に対する批判はしていない。自民党は共産党とは逆に経済政策を批判したが憲法改正については批判していない。
 共産党もずっと内部留保課税を主張してきた。だから、希望の党の内部留保課税には賛成であると考えられる。一方自民党は憲法改正を主張してきた。だから、希望の党の憲法改正には賛成である。

 憲法改正には国会議員の三分の二の賛成がなければならないから、安倍政権が目指している憲法改正には希望の党の協力が必要になる。それに東京オリンピック開催には東京都知事である小池代表と安倍政権はお互いに協力していかなければならない関係である。
 
 共産党は内部留保課税については共闘して安倍政権と闘うべきであるが、小池晃書記局長は希望の党を「改憲政党」と決めつけ、安倍政権の補完勢力であると突き放している。共産党が希望の党と内部留保課税で共闘することはないだろう。共産党は内部留保課税より憲法改正反対に固執しているからだ。そして、なによりも左翼イデオロギーの塊である共産党は保守とは一切協力しないことを政治戦略にしている。
 社民党も吉田忠智党首が「憲法改正に九条を含めて前のめりだから相いれない」と述べているから希望の党とは対立するだけだろう。
 立憲民主党の枝野幸男代表は「違憲部分を含む安保法制を前提に自衛隊を(憲法に)明記すれば、違憲のものを追認することになる」と述べているから、希望の党とは徹底して対立していくだけである。
 安保法制反対、憲法改正反対を優先にしているのが共産党、社民党、立憲民主党の左翼政党である。

 議会制民主主義国家の政党は国民のあらゆる問題を対象にし、解決するために政策を立てていかなければならない。国民が政党に望んでいるのは国民生活の経済の充実と生活の豊かさ、そして国の安全である。しかし、左翼3党は憲法改正反対にこだわり、経済問題を疎かにしている。国民はそんな政党を歓迎しない。それは政党が保守であろうが左翼であろうが関係がない。
前の衆議院選で次世代の党が改選前の19議席から、ほぼ十分の一の「2議席」に大激減したのは。次世代の党が経済問題の政策はなく自主憲法の制定だけを目指した政党だったからだ。国民は国民生活を顧みない政党にはそっぽを向く。
左翼3政党が憲法問題にこだわり、経済発展を目指した政治に見向きもしなかったなら、いつまでも少数政党のままであり、国会の過半数を獲得するのは不可能である。

経営者と労働者は運命共同体である。会社の経営が悪化すれば収入が減るし、倒産すれば経営者も労働者も収入を失う。だから、両者とも会社が繁栄することを目指す。しかし、会社が繁栄したからといって繁栄に比例して労働者の収入が上がるということはない。経営者は会社の収益には執着するが労働者への還元は押さえようとする。
自民党は経営者の側の政党であるから労働者の待遇改善には消去的である。だから、400兆円の内部留保になったのである。本来なら左翼政党は労働者の味方であるべきであり会社の繁栄を労働者に還元させることに真剣に取り組むべきであるが、日本の左翼政党はやらない。日本の左翼政党は本質的に労働者の味方ではないからだ。

 リーマンショックで日本が不景気になった時、安倍首相は日本の経済を復興させるために「アベノミクス」を掲げて実践したが、共産党は経済復興を目指した「アベノミクス」のような政治を絶対にしない。共産党は「アベノミクス」が失敗して日本経済が恐慌になるのを望むような政党である。恐慌になれば安倍政権は崩壊し、国民の自民党への信頼はなくなる。そして。社会は混乱する。この時こそが共産党が望む共産党一党独裁の社会主義国家を設立するチャンスである。恐慌が起こり、労働者が困窮し、困窮が政権打倒に向かうのを共産党は望んでいる。
共産党は経済が繁栄すること=ブルジョア階級が富むことであると決めつけているから経済が繁栄することを望んでいない。恐慌になることを望んでいる。だから、経済の繁栄のための政治をする自民党は打倒する対象である。

消費税の8%凍結、400兆円の内部留保課税を選挙公約に掲げた希望の党こそが労働者の生活向上を目指した政党である。労働者の味方である。

 戦後の政治史で初めて労働者の味方の政党が登場したといっても過言ではない。

 希望の党の小池代表は連合の神津里季生会長に支援を訴えた。同じように立憲民主党の枝野代表も支援を訴えた。民進党を支援してきた連合はどちらを支援するか迷った結果、希望の党も立憲民主党も支援しないで前民進党の候補者を支援することになった。

 立憲民主党に入党するのは民進党時代のリベラル派である。リベラル派の多くは旧社会党員である。旧社会党は北朝鮮を理想国家としていたチュチェ思想家が多い政党であった。
 北朝鮮の独立記念日に北朝鮮に行った政治家としてアントニオ・猪木がマスコミで騒がれたが、北朝鮮に行ったのはアントニオ・猪木だけではなかった。二人の大物元代議士も行っていた。一人は元社民党国対委員長の日森文尋氏(68歳)であった。彼は国会議事堂にあたる万寿台議事堂で演説した。日森氏は国対委員長を、09年8月まで務めた。
 もう一人は平岡秀夫氏(63歳)である。彼は野田佳彦民主党政権時代に法務大臣の重責を担った人物である。彼の仲間が民進党のリベラル派に多い。
 二人は現役の議員ではなくなったからチュチェ思想を隠して保守を装う必要がなくなった。だから、日本の上空にミサイルを飛ばした北朝鮮に行ったのである。
現役の議員はチュチェ思想を隠しながら保守政治家を装って政治をやっている。それが民進党のリベラル派である。
立憲民主党は保守派が居ないリベラル派だけの政党である。共産党との関係が強くなればなるほど保守を装うことはできない。
共産党と一緒に反安保法、憲法改正反対、反消費税の旗を掲げて総選挙に臨むだろう。
連合とは敵対関係にある共産党と積極的に共闘しようとしている立憲民主党の正体は選挙中、選挙後に次第に明らかになっていくだろう。連合も立憲民主党の正体を知るようになると支援をしなくなるだろう。

連合の支援がほしい立憲民主党である。
8日に、市民団体がJR新橋駅前で開いた集会に共産党の志位和夫委員長、社民党の吉田忠智党首と立憲民主党の枝野幸男代表が参加し、衆院選での連携をアピールしたが、集会で奇妙なことが起こった。
志位委員長と吉田党首は一緒に登場し、「安倍政権を野党と市民の共闘で倒そうではないか」と吉田氏は志位氏はともに野党の結束を訴えたが、その場に枝野代表は居なかった。
枝野代表は志位氏らが会場を立ち去った直後に登場した。志位氏らとは並ばずにマイクを握った。枝野氏は演説で、共産、社民両党が野党一本化を優先して候補者を取り下げたことに対し「敬意と感謝を申し上げたい」と表明したが、共産、社民の代表者とは並ばなかったのである。枝野代表は選挙では共産党。社民党と連携をするが政治の共闘は別であると暗に示したものである。
枝野氏の行動について、関係者は「連合に配慮した」との見方を示した。連合は立憲民主党の候補を個別に支援するが、共産党との共闘には否定的だ。
連合は共産党を支持していない。共産党を支持している労働団体は連合ではなく、全労連である。
全労連の加盟組織の過半は、日本自治体労働組合総連合(自治労連)、全日本教職員組合(全教)、日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)などの公務員組合で占められている。基幹産業の多数派組合は加盟していない。いわゆる公務員の政治組織のようなものである。
民間企業中心の連合とは性質が異なり対立している労働団体が全労連であり、共産党と密接な関係にある。全労連があるから共産党は強い政党である。
枝野代表が志位委員長と並ばなかった背景には連合と共産党・全労連の対立があるからである。

立憲民主党が共産党との連携を強くしていけばいくほど連合は立憲民主党を支援しなくなっていく。共産党と政治共闘をして政権獲得目指していけば連合は立憲民主党から離れていくだろう。
連合の支援も欲しい、共産党の票も欲しいという枝野代表だから連合に支援を要求する一方共産党と連携したのである。敵対している労働団体の両方から支援させようとしているのは矛盾である。その矛盾が民進党の矛盾でもあった。矛盾を嫌って民進党が共産党と選挙共闘に向かっている時に細野氏などの保守系が離党したのである。
枝野代表は単純に票を増やすことに執心して共産党と連携したが、それは政治矛盾を抱えるものである。矛盾を解消するために前原代表は希望の党への合流をめざし、政治矛盾解消を徹底するために小池代表は安保法賛成などの入党条件をつけたのである。
小池代表が枝野代表のように票獲得に執心していたなら民進党員を無条件に入党させたはずである。小池代表は量より質を優先したのである。

 希望の党こそが二大政党の一翼を担える政党であるし、連合が支援するべき政党である。

 小池代表と前原代表の二人の共同作業で日本の政治史上で自民党に次ぐ保守政党を誕生させたのである。残念ながらそのことを指摘するのは橋下徹氏だけである。

橋下徹氏のツイッターより

2017年10月3日
小池さんは歴史に名を残すね。これで選挙の結果がどっちにころんでも憲法改正議論が進む。憲法改正絶対反対の民進党をたった一人の政治家が一気に改憲集団に切り替えた。こんなことは僕も含めて普通の政治家ではできないね。あとは民進組が裏切らないことを願う。
2017年10月3日
もちろん前原さんも歴史に名を残す。こんなことは、僕も含めて普通の政治家や学者やメディア、コメンテーターの自称インテリには絶対にできない。二大政党制に向かうには避けては通れないプロセス。批判覚悟で誰かがやらなければならないこと。批判している連中は口だけの雑魚。


 希望の党の誕生は、保守の二大政党の可能性につながるものであり、歓迎するべきであるが、マスコミ、評論家、知識人、ブログ等の多くは小池代表への批判や揶揄が占めている。
希望の党の誕生が二大政党の始まりになると主張し続けているのが橋本徹氏である。彼のツイッターから引用する。

長い時間をかけてできあがった怪物自民党に対抗できる政党を作ろうと思えば10年、20年のスパンで考える必要がある。小池さん、松井さん、前原さんは自分の代ではなく、次の代で野党の形が見えればいいという気持ちで棲み分けの密約を交わすべき。その際にぽんこつガラクタ議員は一掃すべき。

二大政党制の対立軸は、政策や理念ではない。支持層の違いが対立軸でそれで十分だ。自民党は団体が中心。希望と維新は団体に属していない有権者が中心。希望と維新は企業団体献金の禁止を掲げている。支持層が政党の政策・態度振る舞いを左右する。民主主義である以上当然のことだが。

自民公明VS希望維新の切磋琢磨で、日本政府の国民・納税者をバカにした対応を改めるべき。これが二大政党制。不正の有無ではない。「文書は捨てた、記憶にない、事実は確認しない」というふざけた態度が問題だ。希望維新が自公を突き上げて自公に態度を改めさせるべき

現実的判断ができる2つの政党が競争関係になれば、そこには保守やリベラルなんていうくだらない概念・観念は無力化する。有権者の求める合理的な政策合戦となり、現実を分析した合理性が柱となる。なぜなら暇な自称インテリを除いて、有権者一般は保守やリベラルなんて意識していないから。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )