Triority(トライオリティ)

四十にして惑う、それがトリニータ。

過不足のない極限の消耗戦(天皇杯4回戦ザスパクサツ群馬戦)

2021-08-19 01:09:55 | マッチレポート21'
夏に黒﨑、福森、髙澤が移籍でいなくなり、4人の選手が加入してきたわけだけど、新加入全員が前所属チームでの出場歴があるため大分での天皇杯出場は不可という状況が生まれてしまい、今日のメンバーは蓋を開けてみれば片野坂さんの苦心が十分すぎるほどにうかがえるもの。2種登録の屋敷くんは当然のこと、さらにユースから4人の選手を帯同させざるを得ない状況でベンチ入りしているトップチームのフィールドプレーヤーは成豪と小出だけ。ただ結果としてこの状況が試合を絶妙でかつ熱のこもったものにさせるというのはサッカーの面白いところでもあるのかなと思う。


関東地方で平日18時キックオフということで3回戦の福井戦並みに大分サポーターの数が少なく、そして今回は放送もなかったため一応試合の流れを追っていくのと写真は多めにしようと思います。PCで見るか、データ容量に余裕のある方だけお付き合いください。


マリノス戦を受けてだと思うけど、この試合でもハイプレスを敢行。序盤は攻守ともにぎこちない感じがあり調整する前に特に不安定だった奎汰と羽田のサイドを完璧に崩されて失点。嫌な空気が流れかけるもすぐに怜さんが上げた速いアーリークロスを群馬のDFが処理を誤りハンド。新太がPKを決めて同点。このくらいの時間帯までは一進一退という感じだったけど、同点の直後くらいに大分の左サイドでしっかりと群馬の前線を引きつけておいてからビシッとトップの藤本に付けるパスが通ったあたりから、群馬の前線に勢いがなくなりボールを保持する時間帯が長くなり試合は基本的に大分の主導権で進むという展開に。しかし後半の飲水タイムくらいから試合の様相がガラッと変わってくる。


空中戦で競り合った奎汰と群馬の吉永が同時に足をつるという事態に。ちなみにこの写真は奎汰が主審の中村さんのチ◯コを蹴って、中村さんが「フォー!!」ってやってるわけじゃないよ。



怜さんがつって、


ペレイラもつって、他にも足を伸ばしている選手が続出。群馬は次々とベンチメンバーを投入して強度を保とうとする。一方で実質使えるカードが2枚しかない大分はつってる選手にも頑張ってもらって何とか時間を稼いでいく。後半31分に群馬が5枚のカードを使い切った時点で大分の交代はまだゼロ。ただピッチ上では疲労による運動量の低下から徐々に試合のペースが群馬に寄っていくのが手に取るように分かった。しかし小出、成豪とカードを切ってからも足をつる選手が続出したため後半終了直前に遂にユース所属の先陣を切って佐藤丈晟(普段は高校生にはくん付けだけど今日は省かせてもらいます)が出場。そして延長に入ると後藤響、保田堅心も出場。ここからがこの試合のクライマックスなわけだけど、ここは後ほど。

藤本も新太も頑張って走ってはいるけど、やはりもうキレはなくなかなかチャンスを作り出せない。もうこうなったらフレッシュな小出と成豪に何とかしてもらうしかないとムチャクチャなことを考えるわけだけど、それが実現するから不思議なもんだよね。投入からしばらくはパッとしなかった小出のクロスもゴールシーンは深くまで押し込んで中へ速いクロスを送る、そこへ突っ込む成豪。詳細はどうなったのか分からないけど、ニアに飛び込んだのでバックヒールでも決めたかなと思うくらいスピード感のあるゴールだった。もうやってくれるならそのラインしかなかったと思う。それでそのラインが決めてくれるんだからベンチ入りをこの2枚とした片野坂さんの決断は本当にギリギリのところで過不足がなかったなと思う。


でもね、この試合を本当に熱量のあるものにしてくれたのはユース所属の3選手。どんだけピッチ上の選手が足をつろうがなかなか動かない片野坂さんの様子を見て、これは本当に万が一の時しか使わないつもりかなと思った。でもそれは全く違った。先発した選手たちも本当によく走って頑張ったし、途中投入の小出と成豪が決勝ゴールを決めたのも事実だからユース所属の3選手のおかげで勝ったとまでは言わないけど、少なくとも最も苦しくなる延長後半の15分はこの3人の躍動で逃げ切りはおろか、あわや追加点というところまで持っていき、追いすがる群馬の心を叩き折ってくれた。

おじさんは本当に感動した。申し訳なかったと思ってるけど、思わず何度か声も出てしまった。それくらいに素晴らしい活躍だった。






後半のアディショナルタイムに奎汰と交代で出場した佐藤丈晟。WBが主戦場で右にも左にも入った。延長後半の7分頃かな、マイボールで群馬陣内のコーナーへ鹿島りそうな雰囲気を漂わせながら群馬の寄せが甘いと見るや、一気にスイッチを入れてDF2枚を振り切ってPAに侵入、そのままシュート。わずかにニアに外れてゴールとはならなかったけど、積極性と意外性で魅せてくれた。このシーンは本当に活字に出来ない感じの声が漏れ出てしまったよ。









もう極限まで運動量が落ちていたハセの横で頼もしかった保田堅心。相手が背中を向けてボールを持とうものなら瞬時に詰めて自由にしない。そして寄せるだけでなくしっかりと足も出るから15分間で2回はボール奪取があったと思う。ほぼ全員が苦しい時間帯に中盤で独力でボールを奪い返してくれることの有り難みはもうほぼゴールに匹敵するくらいだよね。声もしっかりと出てた。


そして後藤響。中でも一番インパクトを残したのは彼だと思う。最初は左のWBに入って、いきなり縦に仕掛けるドリブルで対面の相手を振り切って中へ鋭いクロスを送るもギリギリで中の成豪には合わず。これだけでも十分にすごかったけど、シャドーに入ってからももう一度迫力あるドリブルから今度はシュートでフィニッシュした。














このドリブル本当に良かった。このドリブルからのシュートでCKを獲得して実質試合は終った。





試合後は安堵の表情かな。若武者たちは本当にいいもの見せてくれたよ。おじさんは本当に感動した。



1年生の小野くんも次の機会まで磨き続けてほしい。





とまあ若いもんばっかり持ち上げちゃったけど、お兄さんたちも頑張ってたのよ。こういうメンバー構成になった時に刀根がいることの安心感たるや筆舌に尽くし難い。静かなスタジアムだからよく分かるけど、本当によく声を出してる。ユース出身者としては長男にあたるわけだね。




いつも通りボールを要求しまくってとにかく前だけを狙った屋敷くん。ゴールも本当にあとちょっとだと思う。でもその姿勢は間違いなくトップチームの刺激になるはずだから失わないでほしい。ずっと末っ子のように見ていた屋敷くんから見ても今日の3人は年下というね。





ペレイラが最終ラインのタスクに混乱した様子を見せたためか、前半の飲水タイム明けから弓場が左のCBに入った。福井戦では奎汰がやったりと若手に試練が与えられがち。明らかに戸惑いつつやってる感じだったけど、最後のところは絶対にやらせず。ユースの3人は弓場が3年の時の1年。話しかけるのも躊躇ってしまうような大先輩だね。



もうそう考えると弓場よりさらに2つ上の奎汰なんて3人からしたらもう伝説のOB。今日の奎汰は良かった。特に攻撃の局面で人を使って自分の対面の相手をはがすプレーが何度も出来てた。あとはビシッと鋭いクロスが入れられるようになればもっと恐くなる。繰り返しですが、中村主審のチ◯コは蹴ってません。











天皇杯の時は安田コーチが大分に残るため円陣での声出しは上村コーチ。ものすごい気合いでアジり倒して選手を送り出した。



群馬の監督が久藤さんなんて全く知らなかったし、先月就任したばかりなんだね。チームは残留争い真っ只中でうちと同様苦しいわけだけど、やってるサッカー自体はちゃんとオーガナイズされている印象だった。ただ今日出ていた選手の半分くらいが主力みたいなので、どうやってゴールを取りきるかっていうところは課題になりそうだね。そこはやっぱり大前なのかな。J2の大半は今日のうちよりも強いだろうから簡単ではないと思う。


ということで今日の試合での最大の収穫が何かと言えば、ベスト8を勝ち取ったことよりも札幌戦へ線が繋がったことだと思う。本当に最小限、最低限の戦力で臨み、若者の協力も得て、乗り越えたことに意味があると思う。大分でこの結果を聞いた選手たちはここから感じ取ってほしい。プレミアリーグの開幕戦を見ても思ったし、今日の試合でも強く感じた。やっぱりサッカーはパッション。片野坂さんがどんな戦略を練ろうが、どんな指示を出そうが、最後は選手自身がパッションを感じるプレーを見せてほしい。線は繋がったよ。若者たちが繋げたよ。
コメント
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