オールド・ニコン(その10・最終回)FM3A+Ai 45mm F2.8P


 今日は「オールド・ニコン・シリーズ」の最終回です。最終回にご覧いただくのは昨日もご覧いただいたFM3Aですが、昨日のブラックではなくいかにも全金属製カメラらしい佇まいを見せてくれるシルバーモデルです。装着したレンズはFM3Aの為に設計されたAi 45mm F2.8P。

 ニコンFマウントは、世界最高峰のSLR(一眼レフ)Nikon Fと共に1959年に登場し、そのマウントは以来半世紀以上にも渡りサイズを変えることなく脈々と作り続けられ、その数は一億本に垂んとしています。しかし、そのFマウントも、マウントの機械的寸法そのものは変わらないものの、実は完全な互換性を保っているわけではなく、大きくは「カニの爪」の有無(Ai化)、「AFカップリング」の有無(AF対応)、「絞りリング」の有無(Gタイプ)によって、レンズとボディの組み合わせに制限があります。

 そんなニコンFマウントレンズの中でも異色なのが今日ご覧いただいているFM3Aに装着されたAi 45mm F2.8P。秘密は最後の一文字「P」に隠されています。マニュアル・フォーカスながらこのレンズにはCPU(Central Processing Unit)が内蔵され、CPUで演算された情報をボディ側に伝達するための電子接点を持っています。つまり、フィルムを使うAFボディや最新のDSLRに装着しても各種のAEを使用することができるのです。

 考えてもみれば、MF専用のボディであるFM3Aのために開発されたレンズであるにも関わらずCPUが内蔵されているのは不思議なことです。おそらく、開発段階では、AFボディでも使用されるモデルとなることも想定していたものと思われますが、開発初期の段階の想定に反して、AFの精度が向上するとともに世の中は完全にAFに移行しMFレンズの需要は全くなくなってしまったことによる生産・販売終了であったのだと思います。

 それはともかく、Ai 45mm F2.8Pのデザインは秀逸で、専用に設計されただけにFM3Aに装着した時の収まりの良さ、美しさは抜群ですね。数多いニコン製カメラとレンズの組み合わせの中でも五本の指に入るのではないかと思います。

 さて、16日からNikon(ニコン)のSLRを代表する7つのモデルをご覧いただきましたが、最新のDSLRにはない、伝統的な一眼レフの美しさをお楽しみいただけましたでしょうか。もう少し時間をかけて丁寧に撮ることができれば良かったのですが、それはまたいつかの自分自身の楽しみにとっておきたいと思います。そうそう、カメラ「を」撮るだけではなく、機会があればこれらのカメラ「で」撮ってもみたいものです。カメラは写真を撮るための道具。撮ってこそのカメラですからね。

 横浜市青葉区の里山「恩田の森」の四季の移ろいを毎週ご紹介する「恩田の森Now」も是非ご覧ください。本日撮影の写真は明27日に掲載の予定です。
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