イコン

  玉川大学教育博物館(東京・町田)で行われている特別展示「静岡ハリストス正教会寄贈 山下りん・日比和平が描いたイコン」http://www.tamagawa.jp/campus/museum/info/detail_8975.html (10月23日 まで)を見てきた。そして帰宅後、数日前に届いていた「考える人」2015年秋号(新潮社)をパラパラとめくっていたら、イコンに関する記事が。偶然と云えば偶然なのだが、なにか必然的な符合であるような気もする。

  イコンとは、ごく簡単に云えば(と云うか簡単にしか説明できない。その程度の知識しか持ち合わせていないのだが)キリスト教東方教会における 聖画を指す。多くの日本人に馴染みのキリスト教は西方教会の流れを汲むカトリックとプロテスタントであり、目にする聖画の多くはカトリック信仰の中で描かれたものである。

  日本における東方教会はロシア正教の流れの日本正教会であり、その象徴的な存在は東京・御茶ノ水のニコライ堂。ネット上の情報によれば日本正教会に属する教徒は約1万人とのことで、100万 人と云われる日本におけるキリスト教徒の数(これとて1億2千万人の人口の1%で しかない)と比べてもごく少ないもので、多くの日本人にとって馴染みがないのは当然のことである。

  先に書いた特別展示で見ることのできる山下りんと日比和平のイコンは描かれた時期以上にその作風は大きく異なる。山下りんの作品は西洋絵画の影響を強く受けた分、多くの日本人には馴染みやすいものであることと思う。一方、日比和平の作品は、所謂イコンらしいイコンでエキゾチックなその佇まいはロシアの大地を長い年月をかけて東に進み、ついには極東の島国にたどり着いたその永い道程を感じさせてくれる。

  あと二週間ばかりの短い会期ですのでイコンに興味をお持ちの方はお見逃しのないように。駅からは少々遠いのですが、天気さえよければ絶好の散歩ともなりますので。

横浜市青葉区の里山「恩田の森」の四季の移ろいを毎週ご紹介する「恩田の森Now」 も是非ご覧ください。
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