唐松林の中に小屋を建て、晴れた日には畑を耕し雨の日にはセロを弾いて暮したい、そんな郷秋の気ままな独り言。
郷秋<Gauche>の独り言
標準レンズ考(下)
注:昨日掲載の「標準レンズ考(上)」から続けてお読みください。
1. 望遠側が55mmだとすぐに物足りなくなる。ならば55-300mmの望遠ズームが付いたダブルズームキットを買えばよいと思われるかも知れないが、レンズ交換は億劫なものであるし、55-300mmが活躍しそうなお子様の運動会が催される砂ぼこりの舞い上がっている校庭ではレンズ交換をしたくない。第一、55-300mmは結構デカくて荷物になる(デカさの割には軽いが)。
2. サーキュラーPL(円偏光)フィルターが使えない。詳しい説明は割愛するが、ピント合わせの際にレンズの前枠(フィルター取付け部)が回転するために、水面や葉っぱの反射光を除去したり、空と雲のコントラストを高めたりする効果があるPLフィルターを事実上使用することが出来ない。
3. レンズマウント側から中をのぞくとスカスカちゃちでがっかりする。趣味の道具として所有する喜びがまったく感じられない。用が足せればそれで良い方には関係のない要素だが。
さて、18-55mmよりも高性能かつ良質(同じ意味か?)なレンズを考えたい方には、昨日ご紹介したニコン純正のニッコールレンズだけではなく、シグマやタムロンと云ったサードパーティー(交換レンズ専業メーカー)の製品も視野に入れて検討することをお勧めする。サードパーティー製のレンズが「安かろう悪かろう」だったのは昔の話で、今はメーカー純正に迫る性能でありながら価格は数10%安、場合によっては半額である。
また、カメラやレンズに詳しい方に相談に乗ってもらいながら「中古」のレンズを購入すると云う選択肢もある。現行品以外の中古では、郷秋<Gauche>はAF-S DX Zoom-Nikkor 18-70mm f/3.5-4.5G IF-EDを選択肢に加えることをお勧めする。デジタル時代になってから登場したレンズだが今ではABクラス(注)のものを1万2、3千円で入手することが出来る。VRは付かないが70mmまでであればその必要性は必ずしも大きくないし、18-55mmよりも数段「ハンサム」である。
注:中古のレンズ、カメラの程度はA、AB+、AB、AB-、B、Cで表示される場合が多い。Aは汚れ(レンズの場合ホコリ)・傷、使用感がほとんどなく新品に近いもの。ABは多少の汚れ・傷、使用感があるが機能的にはまったく問題のないもので、更に細かく+や-を付けてA寄りのAB、B寄りのABとする場合もある。Bは汚れや傷、使用感、レンズの場合には少なくないホコリの混入があるが、機能的な問題がないもの。Cはレンズの場合過大なホコリの混入、場合によってはレンズに曇り、カビがあり、あるいは鏡胴前枠がつぶれてフィルターの装着が出来ないなどの場合がある。Aクラスの場合には機能的にも見た目的にも新品とほとんど変わりがない分、価格も大きく変わらない場合が多い。お勧めはAB+あるいはABで、このクラスだと新品よりも明らかに廉価でありながら程度もさほど悪くない。新機種が登場すると前モデルは値下がりするなど、中古車と同じ値動きがあるのこと、程度の表示は店によって傾向が異なる(辛目、甘目)ことがあることなどから、見極めに自信がない場合には詳しい方に相談にのってもらうことをお勧めする。
18-55mmで覚悟した方が良いことの1番にあげた覚悟をしたくない方には、高倍率ズームレンズである18-200mm f/3.5-5.6G ED VR IIをお勧めする。価格的に通常D7000以上のボディと組み合わせて使われることが多いレンズだが、D3100やD5100で使っていけないと云う決まりは勿論無い。無いどころか高倍率ズームの悪癖を良く抑えた万能レンズで、これ以外にはもうレンズはいらないんじゃないかと云う程の万能レンズである。
ほとんど唯一の問題は高価なことで、予算に限りがある場合には先にも書いた中古も選択肢に入れると良いだろう。II型が出てからI型の「タマ数」が増え価格も下落傾向である。また、シグマやタムロンの同クラスのレンズも候補になるだろう。ただしサードパーティ製は望遠側がF6.3と若干暗くなっている(メーカーはF5.6より暗いレンズの場合にはAF機能の保証はしないと云っているが、現実には特に問題は無いようである)。
標準ズームとして郷秋<Gauche>がお勧めしたいレンズがもう一本ある。それは16-85mm f/3.5-5.6G ED VR(昨日の写真にも登場)。最大の特徴は広角側が24mm(35mm換算、以下同様)から始まること。一般的な標準ズームは28mm始まりで、室内での撮影や風景写真では物足りなく感じることがあるが、24mmからのレンズの場合には不足を感じる確率が大幅に少なくなる。
望遠側を128mmに抑えたことにより、軽量コンパクトに仕上がり、同時に歪曲収差や周辺光量落ちが少ないなど優秀な光学特性を実現しているのも大きな特徴。唯一の欠点は18-200mmと1万円程度しか変わらない価格であるが、それでも検討の価値大ありのレンズである。望遠側の不足は70-300mm等で補うことになるが、二本揃えば24mm-450mmをカバーが可能。ただし、先に書いた「覚悟その一」とは相反することにはなる。
今日の一枚は、郷秋<Gauche>お勧めの標準ズームレンズ三兄弟。左から16-85mm f/3.5-5.6G ED VR、18-200mm f/3.5-5.6G ED VR II、18-70mm f/3.5-4.5G IF-ED。後ろに見えているのはニコン旧大三元の内の一本、28-70mm。この写真でもお判りの通り、びっくりする程巨大な標準ズームレンズである。
P.S.上手く「落とせた」かどうかは別にして、何とか二回で完結することが出来ました。やれやれ(^^;