デジタルカメラの原価は3,680円

 またしてもカメラネタです。興味のない方は下の方にある写真だけご覧くださって、どうぞパスしてくださいな。なんだかこの頃すっかり「カメラblog」化した“郷秋<Gauche>の独り言”です(^^;。

 さて、昨日、郷秋<Gauche>の手元に届いた日経ビジネスによれば、デジタルカメラ、具体的に云えば富士フイルムのコンパクトカメラA170(注1)の原価は僅か40ドル(1ドル92円計算で3,680円。以下同様)なのだとさ。

注1:富士フイルムが製造販売するコンパクトカメラはすべてFinePixを名乗っているのかと思っていたが、FinePixを名乗らないカメラがあることに気付いた。国内ではA220(1200万画素、3倍ズーム、15,000円程度)がそれ。A170はA220の廉価版で1000万画素、3倍ズームの輸出専用機のようである。日経ビジネスの記事には「89ドル(8,200円)で販売すれば」の記載があるが、逆輸入物と思われるA170に2GBのSD、保護フィルムをセットにして12,000円で販売しているサイトがあった。

 原価40ドル(3,680円)の内訳だが、件の記事によればメイン基板(画像処理エンジンなどの電子部品部分)が一番高くて8.5ドル(782円)、次いでレンズユニット、液晶パネル、CCDが同価格で各8ドル(736円)、外装2ドル(184円)、その他(組み立てコスト含む)5.5ドル(506円)だそうな。

 製造原価が40ドの物を89ドルで売るのだから、流通・販売コストを差し引いても十分に利益がでるわけだが、開発費はと云えば、どうやら「0円」のようである。この開発費0円こそが低価格カメラを可能にしているわけだ。

 からくりは簡単。富士フイルムは「89ドルで販売できる1000万画素、3倍ズーム、単三乾電池仕様(注2)のカメラ」を企画する。あとはすべて電子機器の設計と製造を専門に行なう「EMSメーカー」と呼ばれる企業に丸投げする。それらの部品を組み立て専門の工場に納品させ、その工場に組み立てを委託するのだろう。こうすることで、89ドルで販売できる富士フイルムブランドのカメラが完成するのである。

注2:単三乾電池仕様と云うのが低価格のポイントの一つになる。専用のリチウムイオンバッテリーは高価で、単品で4000円(販売価格)もするからからカメラ価格のかなりの割合を占めることになるが、動作確認用のマンガン電池なら数十円で済む。

 「富士フイルムブランドのカメラ」と書いたが、これはあくまでも富士フイルムブランドのカメラであって富士フイルムのカメラではないと云う意味である。まったく酷い話だが、廉売されるカメラの多くは例に上げたA170と同様の成り立ちなのだろ。そんなこんなを考えると、その内にUNIQLOブランドやTOPVALUブランドのカメラが登場しそうで怖いぞ。

 しかしだなぁ、委託されるEMSメーカーが日本国内にあるのならばいいけれど、多くは台湾、韓国、シンガポールといって国々の企業だろう。そんなことを続けていると技術も仕事も海外に流出してしまい産業の空洞化がますます加速してしまうんじゃないかと郷秋<Gauche>は心配になってくるけれど、既に完成された技術による生産は海外メーカーに任せ、国内では最新かつ更に高度な製品の設計・製造に注力するということなのだろうか。いずれにせよ、カメラメーカーがカメラの企画会社に変質しないことを願うばかりだ。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、白い彼岸花。正確には、同じ種で白い花を咲かせるのではなく、白花曼珠沙華(シロバナマンジュシャゲ)と云う別種です。赤い花を咲かせる彼岸花と黄色い花を咲かせる鐘馗水仙 (ショウキズイセン)の自然交配種だと云われています。よく見ると彼岸花よりも花弁の幅が広いように思えますがいかがでしょうか。
コメント ( 0 ) | Trackback (  )