福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

過剰歯の処置とその後

2022-09-20 | 口の中の問題

過剰歯とは文字通り余計な歯ということになりますが、これも欠如歯と同様に数%の発生率です。
部位的には、圧倒的に上の前歯付近の裏側です。
方向的には、通常の歯のように下向きで、ある時期他の歯と同様に出て来ることもありますが、横向き逆向きで埋まったままのことも結構あります。
部位的に永久歯前歯の出方や位置に影響がある場合は、過剰歯は抜歯が望ましいですね。
埋まったままで永久歯への影響がない場合、そのままでもOKです。



この患者さんは、もうすぐ6歳で、若干生えかわりは早いようです。
向かって左上の前歯が変な形ですが、これは過剰歯です。



過剰歯はこのように尖った形態が多いです。
発生的に永久歯の部類に入るので、乳歯のように根が吸収して脱落することはありません。
このように、通常の永久歯が生えて来るべき部位にあると、必ず影響が出ます。
過剰歯の外側の歯茎の膨らみがあって、永久歯は若干外側に位置しているようです。
暫く待って、もう少し過剰歯が出て来れば抜歯しやすくなります。
とりあえず3か月待って、抜歯予定としました。
過剰歯が予測通り出てこなくても、あまり待つと永久歯の位置がズレますので、期限を決めました。
多少外側のズレは自然に改善はされますが、向かって右側の乳側切歯が早めに抜けています。
左側も、中切歯が出て来る段階で隣の乳歯が早めに脱落しそうです。
過剰歯の影響で、出て来つつある中切歯間が開いているのも原因と思われます。
したがって、前歯4本が出そろったところで部分矯正が必要かもしれません。



加えて、この患者さんは近未来的にかみ合わせが深くなると予測されます。
将来的に出っ歯感が出て来る可能性がありますので、その時は10歳前後でマウスピース矯正の適応例になるかも知れません。
保護者の方は、将来的歯並びかみ合わせも心配されていましたので、安心されたようです。
過剰歯は、抜歯後も前歯の歯並びに影響が出て来ることが多々ありますので、見通しが説明できることに加え、小児歯科+矯正歯科のマネジメントが望ましいと考えます。




ふたつき子ども歯科  http://fc-dental.jp.net

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永久歯の先天欠如歯がある場合の見通し

2022-09-20 | 口の中の問題

永久歯が、もともと1本以上形成されず欠如する例は30人に一人ほどです。
欠如しやすいのは下の前歯、上の側切歯、そして上下の第2小臼歯です。
前歯部分は乳歯も欠如していたり、2本が癒合している場合が多いので、X線での診査もタイムリーにできます。
第2小臼歯はその前の第2乳臼歯欠如がないので、発見は遅くなりがちです。



この患者さんは向かって右下の乳歯前歯が癒合歯で、下の側切歯が欠如していました。
数年ぶりに再来院で、小学校の後半の年齢。
乳歯奥歯の方も生え変わって来る年齢です。
向かって左上ですが、犬歯が出てきているのに乳歯が隣に残存しています。
全体的問題が疑われるため、パノラマX線で、現状と今後の見通しを診査することにしました。
すでに1本欠如でしたが、加えて小臼歯が3本欠如と、さらに1本の小臼歯は形成が遅れています。
このような多数歯欠如例では、正直将来が見通せません。
永久歯のない乳歯がいつまで抜けないで持つか?
また、早めに抜けたとして永久歯列完成までどうするか?
将来的には矯正で隙間を閉じるのか?その時の噛み合わせの要素はどう考えるか?
ブリッジやインプラントで補うのか?
まだまだ歯並びかみ合わせも流動的なので、上記の要素を考えながら定期的に管理し、評価していきます。
年齢的に小児歯科ですし、他の分野でできることは現時点ではありませんので、ベターな状況で成人歯科に引き継ぐことです。
1歯2歯の欠如ですと将来像が予測でき、適時に矯正治療のみでも解決でき、当院でも治療例は少なくありません。
上記のような例は悩ましいですが、まずは小児歯科で総合的に管理するということになります。



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