『ステップフォード・ワイフ 』 フランク・オズ監督 ☆☆
以前映画館で予告を観て、奇妙な感じが妙に印象に残っていたので観てみたが、あまり大した映画じゃなかった。アイラ・レヴィン原作、キャサリン・ロス主演『ステップフォードの妻たち』のリメイクらしい。本作はサスペンス色もあるコメディという感じだが、前作はスリラーらしい。前作を観てみたい気がする。『ローズマリーの赤ちゃん』みたいな感じなんだろう . . . 本文を読む
『チューリップ熱』 デボラ・モガー ☆☆☆☆
いやあ、面白かった。こんな面白い小説だとは思わなかった。タイトルや評判からして、17世紀オランダの常軌を逸したチューリップ熱を背景とした、チューリップに関する薀蓄やら博識やらをちりばめたペダンティックな小説だと思っていた。不倫の話ということも知っていたが、恋愛ものとしてはフランスの恋愛心理小説みたいなものを想像していた。ところが実際は非常にテン . . . 本文を読む
『ミツバチのささやき』 ビクトル・エリセ監督 ☆☆☆☆☆
至宝という言葉はこのような映画のためにある。ビクトル・エリセ監督のデビュー作、『ミツバチのささやき』。私は以前に日本版DVDを購入したのだが、Amazonで見るといまや製造中止、中古品が定価の5倍以上の値段で取り引きされている。いやーホントに買っといて良かった。しかし、こういうタイトルがすぐ製造中止になってしまうというのはどういうこ . . . 本文を読む
『別れのワイン』 ☆☆☆★
コロンボの最高傑作という人もいるエピソードだが、私はそこまでとは思わない。同レベルのエピソードは他にもあるし、何と言っても『殺人処方箋』の方が上である。ただし佳作であることは間違いない。
ワイナリーを経営するエイドリアン・カッシーニが犯人。このカッシーニはワインに人生を捧げたエキセントリックな男で、まずこの男の造形が光っている。ワインに対するピュアな愛情と、微妙 . . . 本文を読む
『琥珀捕り』 キアラン・カーソン ☆☆☆☆★
再読。「文学のカモノハシ」とある書評家が評したように、エッセーとも小説ともつかないハイブリッド・テクストである。この手の文章は日本で言うと澁澤龍彦とか、海外でもミシェル・トゥルエニが断章形式の本でやったり、傾向は違うがミラン・クンデラの小説でも似たような手法は見ることができる。ただし、この本ではそれが徹底している。全体を通してあるプロットが存在 . . . 本文を読む
『デスペラード』 ロバート・ロドリゲス監督 ☆☆
またしても何も考えなくて良いアクション物を見たくなってDVDを買ってきた。なかなか評判がいいようだったのでそれなりに期待していたが、正直ちょっと期待はずれだった。
本人も出演しているしタランティーノ系かなと思って観始めた。始まり方はなかなか良い。『レザボア・ドッグ』にも出ているスティーヴ・ブシェミが、あるバーを丸ごと壊滅させたギターケー . . . 本文を読む
『Star Dust』 Lionel Hampton All Stars ☆☆☆☆☆
タモリが「ジャズで一枚選ぶならこれ」みたいなことを言っていたのを聞いて、しばらく前に買ったディスク。「モノラル録音なのに音がものすごく立体的で、これがステレオじゃないというと若い奴はびっくする」なんて言われたら、聴かずにはいられなくなってしまう。
なるほど、聴いて納得。どのトラックも良いが、特に一曲目 . . . 本文を読む
新必殺仕置人(寅之巻) ☆☆☆☆☆
ついに、念願の新仕置人最終回を観ることができた。感無量である。いやー生きてて良かった。
伝説的な最終回ということで、期待はパンパンに膨れ上がっていた。あまりに膨れ上がっていたせいで、実際観たら「こんなもんか」程度になってしまうだろうな、とこっそり自分に言い聞かせていたほどだ。『新仕置人』自体もここまで観て来て、『仕置人』や『仕業人』の方が個人的には好 . . . 本文を読む
『King Kong』 Peter Jackson監督 ☆☆☆☆★
12/31大晦日にニュージャージーの映画館で鑑賞。映画館に着いた時は大きなぼたん雪が降っていた。
大して期待していなかったのだがとても良かった。映画館で観た映画にここまで満足したのは久しぶりである。三時間もあるのに全然飽きない。娯楽映画のサービス精神に満ち溢れた映画だった。しかもちゃんとストーリーテリングのツボを押さえ . . . 本文を読む
『エリアーデ幻想小説全集 第3巻』 ミルチャ・エリアーデ ☆☆☆☆
ルーマニアの世界的な宗教学者にして幻想文学作家、エリアーデの全集第3巻を読み終えた。第1巻も持っているが、第2巻は持っていない。ただ『ムントゥリャサ通りで』は法政大学出版局のものを持っていて、かなり面白かった。これは幻想文学の傑作とされている有名な作品である。
しかしこの人の書く小説はかなり独特である。分かりづらい、と . . . 本文を読む