『ソリッド・ステイト・ウォリアー』 ロジャー・ジョセフ・マニング・Jr. ☆☆☆★
元ジェリーフィッシュのロジャー・マニング・ジュニアの初ソロ作。この人はジェリーフィッシュ解散後もインペリアル・ドラッグとか色々やっていたが、ソロは今回初らしい。
ジェリーフィッシュではアンディ・スターマーとコンビでソングライティング・チームだったが、実際はどっちがどの程度主導権を持っていたのか分からない。解散後アンディ・スターマーはインタヴューで、ほとんど自分だけで作った曲も二人で作ったようにクレジットしてあげてた、とかなり悪意をこめて語っていた。実質自分が全部書いていた、というニュアンスだったし、私もなんとなくそんな気がしていたが、この作品を聴いたらロジャー・マニングの貢献もかなり大きかったんじゃないかという気がしてくる。
70年代ポップスのおいしいとこどりのような音楽性はジェリーフィッシュと同じだ。この人はジェリーフィッシュでもちょっとだけ歌っていたが、本作では全曲で堂々リードヴォーカルを取っている。ソロだから当然か。中性的な、女の子っぽい声だ。甘くてきれいな声だが、それほどうまくはない。
曲は本当にジェリーフィッシュみたいで、すごくポップだが、あそこまでストレートなキャッチーさはなく、もうちょっと屈折している。爽快感という意味ではジェリーフィッシュより落ちる。しかし、とにかく2006年発売とはとても思えないこの70年代ポップスっぷりはすごいというか、ほとんどあきれてしまう。曲調からアレンジまで70年代そのものである。カーペンターズとか、ゾンビーズとか、ロジャー・ニコルズとか、あのあたりと同年代としか思えない。だからあまりにも過去の再生産という気がして、個人的には少し引いてしまう。もうちょっと現代の香りがしてもいいのではないか。
ところでジェリーフィッシュの時もこの人はコーラスで力を発揮していたが、本作でも甘美なコーラスを聴かせてくれる。多重録音で声質が全部同じなのが寂しいが、『Sandman』や『Sleep Children』ではストリングスやハープも駆使して、ジェリーフィッシュの『Hush』に通じる華麗なおとぎ話的世界を作り出している。この凝ったコーラスがまた聴けるのは嬉しい。
アルバム全体の流れとしては、『Sandman』『What You Don't Know About The Girl』『Dragonfly』の三連続あたりがハイライトだと思う。『Sandman』はディズニーみたいな幻想的な曲、『What You Don't Know About The Girl』はロジャー・ニコルズ系の軽快でキャッチーな曲、『Dragonfly』はボサノバ系の甘美な曲。最後の『'Til We Meet Again』も、ちょっとセンチメンタル過ぎる気もするがまあまあ。
ジェリーフィッシュのボックスセット持ってます、なんて人は聴いた方がいいかも。
元ジェリーフィッシュのロジャー・マニング・ジュニアの初ソロ作。この人はジェリーフィッシュ解散後もインペリアル・ドラッグとか色々やっていたが、ソロは今回初らしい。
ジェリーフィッシュではアンディ・スターマーとコンビでソングライティング・チームだったが、実際はどっちがどの程度主導権を持っていたのか分からない。解散後アンディ・スターマーはインタヴューで、ほとんど自分だけで作った曲も二人で作ったようにクレジットしてあげてた、とかなり悪意をこめて語っていた。実質自分が全部書いていた、というニュアンスだったし、私もなんとなくそんな気がしていたが、この作品を聴いたらロジャー・マニングの貢献もかなり大きかったんじゃないかという気がしてくる。
70年代ポップスのおいしいとこどりのような音楽性はジェリーフィッシュと同じだ。この人はジェリーフィッシュでもちょっとだけ歌っていたが、本作では全曲で堂々リードヴォーカルを取っている。ソロだから当然か。中性的な、女の子っぽい声だ。甘くてきれいな声だが、それほどうまくはない。
曲は本当にジェリーフィッシュみたいで、すごくポップだが、あそこまでストレートなキャッチーさはなく、もうちょっと屈折している。爽快感という意味ではジェリーフィッシュより落ちる。しかし、とにかく2006年発売とはとても思えないこの70年代ポップスっぷりはすごいというか、ほとんどあきれてしまう。曲調からアレンジまで70年代そのものである。カーペンターズとか、ゾンビーズとか、ロジャー・ニコルズとか、あのあたりと同年代としか思えない。だからあまりにも過去の再生産という気がして、個人的には少し引いてしまう。もうちょっと現代の香りがしてもいいのではないか。
ところでジェリーフィッシュの時もこの人はコーラスで力を発揮していたが、本作でも甘美なコーラスを聴かせてくれる。多重録音で声質が全部同じなのが寂しいが、『Sandman』や『Sleep Children』ではストリングスやハープも駆使して、ジェリーフィッシュの『Hush』に通じる華麗なおとぎ話的世界を作り出している。この凝ったコーラスがまた聴けるのは嬉しい。
アルバム全体の流れとしては、『Sandman』『What You Don't Know About The Girl』『Dragonfly』の三連続あたりがハイライトだと思う。『Sandman』はディズニーみたいな幻想的な曲、『What You Don't Know About The Girl』はロジャー・ニコルズ系の軽快でキャッチーな曲、『Dragonfly』はボサノバ系の甘美な曲。最後の『'Til We Meet Again』も、ちょっとセンチメンタル過ぎる気もするがまあまあ。
ジェリーフィッシュのボックスセット持ってます、なんて人は聴いた方がいいかも。
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