『南総里見八犬伝』 滝沢馬琴+浜たかや+山本タカト ☆☆☆☆
何を隠そう、私は大の八犬伝フリークである。八犬伝と聞くと耳がそばだってしまうし、八犬伝の文字を見かけるとついクリックしてしまう。そういう私なので、しばらく前からAmazonで見かけた山本タカト挿絵つき『南総里見八犬伝』が気になっていたが、内容が子供向けらしいので我慢していた。しかしとうとう辛抱たまらず4巻まとめて買ってしまった。
いやしかし、この表紙絵はどれも素晴らしいなあ。手にとってしばらく惚れ惚れと見入ってしまった。八犬士がそれぞれの持つ珠とともに描かれているのだが、なんとも妖艶。一巻目は犬塚信乃と犬飼現八、これは「芳流閣の決闘」のシーン。二巻目は犬山道節、犬川壮助、犬田小文吾の三人。三巻目は犬坂毛野、犬村大角。最後は犬江親兵衛と、八房を従えた伏姫。伏姫を除いて登場順に描かれている。美剣士揃いだが、何といっても犬塚信乃と犬坂毛野の美しさがダントツである。毛野はもともと女装の美剣士だから女とみまがう美貌(というかこのイラストでは女にしか見えない)なわけだが、信乃の中性的な妖しさにはまいった。犬江親兵衛も子供とは思えない図体のでかい力持ちのはずなのに、妖しい美童と化している。いやー、このイラストそのままでアニメ化してくれないかなあ。本文中にもモノクロだが山本タカト氏のイラストが挿入されていて楽しめる。
さて、物語の方も心配したほどには子供向けでなく、かなり面白かった。私はこれまで山田風太郎の『八犬伝』がダイジェストとして最高と思っていたが、これもいける。『八犬伝』と比べると細部の違いが興味深い。特に『八犬伝』では後半はばっさりカットしてあって、なんとなく尻すぼみの印象だったが、本書では最後の大合戦までちゃんと書かれていてバランスが取れている。
ただし残酷なシーンや子供の読者にはふさわしくないと思われるところはやっぱり変えてある。船虫の死に方とか、伏姫が犬の子を孕む、なんていう部分だ。ああいうところも「人獣混合の大曼荼羅」としての八犬伝の魅力なのだが、まあこれは仕方ないだろう。
全体的にはやはり山田風太郎の描写の方が巧みだと思うが、細かい部分ではこっちの方がいいと思う部分もあった。たとえば信乃は二刀を使う美剣士で、性格はさっぱりして快活、ただしちょっと坊ちゃん育ちの甘さがある感じに描かれているが、彼が敵兵に包囲された時、切りあいを始める前に「てむかいいたす」と言う場面が何度かある。この「てむかいいたす」がカッコイイのである。ツボにきた。
それから軽業の名人である毛野が、馬加大記(まくわりだいき、と読む)の屋敷から逃げ出す時に小文吾を背負って綱渡りをするシーン。大男の小文吾、華奢な美少女にしか見えない毛野(この時点で小文吾はまだ毛野を女だと思っている)。小文吾はビビリまくるが、毛野は余裕シャクシャクで「みごと向こう岸に辿り着けたら、拍手ご喝采」とのたまうのである。しびれますなあ。
あと、妖術使いの道節はもともと強烈なキャラクターだが、妙に意地っ張りの性格を強調してあってそういうところも面白い。山本タカトの絵ではロンゲの美剣士になっている。
というわけで、この4巻セットは八犬伝の魅力を凝縮したパッケージとしてはなかなか秀逸だと思う。八犬伝ファンは見逃せない。
ところで碧也ぴんくという人が八犬伝を漫画化しているようで、結構原作に忠実という噂もあるが、ものすごく少女マンガっぽい可愛らしい絵なのでコワくて手が出せない。あれは面白いんだろうか。昔アニメを見てがっくりきたことがあるからなあ……。
何を隠そう、私は大の八犬伝フリークである。八犬伝と聞くと耳がそばだってしまうし、八犬伝の文字を見かけるとついクリックしてしまう。そういう私なので、しばらく前からAmazonで見かけた山本タカト挿絵つき『南総里見八犬伝』が気になっていたが、内容が子供向けらしいので我慢していた。しかしとうとう辛抱たまらず4巻まとめて買ってしまった。
いやしかし、この表紙絵はどれも素晴らしいなあ。手にとってしばらく惚れ惚れと見入ってしまった。八犬士がそれぞれの持つ珠とともに描かれているのだが、なんとも妖艶。一巻目は犬塚信乃と犬飼現八、これは「芳流閣の決闘」のシーン。二巻目は犬山道節、犬川壮助、犬田小文吾の三人。三巻目は犬坂毛野、犬村大角。最後は犬江親兵衛と、八房を従えた伏姫。伏姫を除いて登場順に描かれている。美剣士揃いだが、何といっても犬塚信乃と犬坂毛野の美しさがダントツである。毛野はもともと女装の美剣士だから女とみまがう美貌(というかこのイラストでは女にしか見えない)なわけだが、信乃の中性的な妖しさにはまいった。犬江親兵衛も子供とは思えない図体のでかい力持ちのはずなのに、妖しい美童と化している。いやー、このイラストそのままでアニメ化してくれないかなあ。本文中にもモノクロだが山本タカト氏のイラストが挿入されていて楽しめる。
さて、物語の方も心配したほどには子供向けでなく、かなり面白かった。私はこれまで山田風太郎の『八犬伝』がダイジェストとして最高と思っていたが、これもいける。『八犬伝』と比べると細部の違いが興味深い。特に『八犬伝』では後半はばっさりカットしてあって、なんとなく尻すぼみの印象だったが、本書では最後の大合戦までちゃんと書かれていてバランスが取れている。
ただし残酷なシーンや子供の読者にはふさわしくないと思われるところはやっぱり変えてある。船虫の死に方とか、伏姫が犬の子を孕む、なんていう部分だ。ああいうところも「人獣混合の大曼荼羅」としての八犬伝の魅力なのだが、まあこれは仕方ないだろう。
全体的にはやはり山田風太郎の描写の方が巧みだと思うが、細かい部分ではこっちの方がいいと思う部分もあった。たとえば信乃は二刀を使う美剣士で、性格はさっぱりして快活、ただしちょっと坊ちゃん育ちの甘さがある感じに描かれているが、彼が敵兵に包囲された時、切りあいを始める前に「てむかいいたす」と言う場面が何度かある。この「てむかいいたす」がカッコイイのである。ツボにきた。
それから軽業の名人である毛野が、馬加大記(まくわりだいき、と読む)の屋敷から逃げ出す時に小文吾を背負って綱渡りをするシーン。大男の小文吾、華奢な美少女にしか見えない毛野(この時点で小文吾はまだ毛野を女だと思っている)。小文吾はビビリまくるが、毛野は余裕シャクシャクで「みごと向こう岸に辿り着けたら、拍手ご喝采」とのたまうのである。しびれますなあ。
あと、妖術使いの道節はもともと強烈なキャラクターだが、妙に意地っ張りの性格を強調してあってそういうところも面白い。山本タカトの絵ではロンゲの美剣士になっている。
というわけで、この4巻セットは八犬伝の魅力を凝縮したパッケージとしてはなかなか秀逸だと思う。八犬伝ファンは見逃せない。
ところで碧也ぴんくという人が八犬伝を漫画化しているようで、結構原作に忠実という噂もあるが、ものすごく少女マンガっぽい可愛らしい絵なのでコワくて手が出せない。あれは面白いんだろうか。昔アニメを見てがっくりきたことがあるからなあ……。
遊びに来てくれよなw
http://xillist.net/fn/817
あおまたぴんくさんの漫画を、今2巻まで買いました。少女漫画といえばそのような気がしますが、綺麗で美しい毛野には違いありません。でもまだ2巻では、毛野はでてきません。まちどうしいです。私的には、その本編より、1巻からのもしもシリーズが好きです。もしも八犬士達がナンパをしたらなどの面白い話があるのです。是非1巻くらいは・・・。
ぴんくさんの漫画も良いですか。とりあえず1巻入手してみますか。