『ソフィスティケイテッド・ルー』 ルー・ドナルドソン ☆☆☆☆
私が週末の朝にかけるBGMとしてとっても重宝しているCDをご紹介したい。ルー・ドナルドソンの『ソフィスティケイテッド・ルー』である。ルー・ドナルドソンは1950年代ぐらいから活躍したアメリカのサックス奏者で、このアルバムは1972年に発表されたアルバム。高齢ながら今も現役のようだ。もともとチャーリー・パーカーから強い影響を受けたバップ期のジャズ・ミュージシャン、みたいなことをウィキペディアに書いてあるが、私はこのアルバムしか持ってないので蘊蓄を垂れることはまったくできません。
が、このアルバムだけはかなり愛聴していると言っていい。本作の雰囲気を一言でいうならば、ストリングス入りの、アルトサックスが主役のメロウなクロスオーバー音楽というところだ。ジャズ・フュージョンというよりクロスオーバーと言いたい。曲はジャズのスタンダード曲集で、アマゾンの商品紹介には「彼のメロディストとしての個性が、あますところなく発揮された快作」とある。メロディ重視の作品集であるには違いないが、メロディだけでなくアレンジや音色がとにかく優しいのが特徴。もう一曲目「You've Changed」のストリングスによるイントロ、そしてサックスの音色からしてあまりにも優しくて、聴くものをとろとろに溶かしてしまおうとするかのようだ。癒し系という言葉がぴったり。
だからアルバム全体が柔らかくスイート、リラックスしていて、聴いていると上等のウールの毛布にくるまっているかのような幸せ感を味わえるが、決して甘過ぎない。ここがポイント。人工甘味料入りのスイーツみたいなベタベタした甘さではない。これはいうなれば、自然に熟したブルーベリーのような優しい甘さ。だからしょちゅう聴いてももたれない。
サウンドはまるで70年代のノスタルジックな映画を思わせる温かいストリングスに、ピアノ、エレピ、ギター、ダブルベース、ドラム、という構成。バックの演奏はあくまで控えめである。前に他のアルバムの紹介でも書いたが、個人的にはベースがダブルベースなのがツボ。御大ロン・カーターも参加していて、例によって気持ちよくビヨンビヨン言わせている。
こんなにメロディアスでなぜ甘過ぎないかというと、やっぱり演奏が優しくリラクシングでありながら一本ピンと芯が通っていて、奏者たちが決して手抜き演奏をしていないからだろう。曲の構成やアレンジも、統一感がある中に細やかな配慮が感じられる。優しくリラックスした「You've Changed」に続く「Stella By Starlight」は陽性に、そして次の「What Are You Doing The Rest Of Your Life?」と「The Long Goodbye」では哀愁を漂わせる。サックスだけでなく、曲によってエレピのソロをフィーチャーしたりアコースティック・ギターの音色をフィーチャーしたりと飽きさせない。
「You Are The Sunshine Of My Life」ではまったりゆったり始まって終盤はちょっとスリリングに盛り上げ、「Autumn In New York」ではピアノ・ソロでアクセントをつける。ノワール調の「Bluea Walk」では、短いながらロン・カーターのベース・ソロをフィーチャー。6分超えと一番長い最後のスローバラード「Time After Time」では、年輪を重ねたおとなの男女がこれまでの歳月をしみじみ振り返っているかのような、感動的な演奏が聴ける。
一聴してはっとするような斬新な、あるいは強烈なアルバムではないかも知れないが、小春日和のひだまりのような心地よさについついリピートしてしまい、いつの間にか癖になっているというスルメアルバムである。普段ジャズは聴かないけど、週末用にちょっとジャズっぽくて癒されるCDはないかな、と思ってる人にも強くおススメします。
私が週末の朝にかけるBGMとしてとっても重宝しているCDをご紹介したい。ルー・ドナルドソンの『ソフィスティケイテッド・ルー』である。ルー・ドナルドソンは1950年代ぐらいから活躍したアメリカのサックス奏者で、このアルバムは1972年に発表されたアルバム。高齢ながら今も現役のようだ。もともとチャーリー・パーカーから強い影響を受けたバップ期のジャズ・ミュージシャン、みたいなことをウィキペディアに書いてあるが、私はこのアルバムしか持ってないので蘊蓄を垂れることはまったくできません。
が、このアルバムだけはかなり愛聴していると言っていい。本作の雰囲気を一言でいうならば、ストリングス入りの、アルトサックスが主役のメロウなクロスオーバー音楽というところだ。ジャズ・フュージョンというよりクロスオーバーと言いたい。曲はジャズのスタンダード曲集で、アマゾンの商品紹介には「彼のメロディストとしての個性が、あますところなく発揮された快作」とある。メロディ重視の作品集であるには違いないが、メロディだけでなくアレンジや音色がとにかく優しいのが特徴。もう一曲目「You've Changed」のストリングスによるイントロ、そしてサックスの音色からしてあまりにも優しくて、聴くものをとろとろに溶かしてしまおうとするかのようだ。癒し系という言葉がぴったり。
だからアルバム全体が柔らかくスイート、リラックスしていて、聴いていると上等のウールの毛布にくるまっているかのような幸せ感を味わえるが、決して甘過ぎない。ここがポイント。人工甘味料入りのスイーツみたいなベタベタした甘さではない。これはいうなれば、自然に熟したブルーベリーのような優しい甘さ。だからしょちゅう聴いてももたれない。
サウンドはまるで70年代のノスタルジックな映画を思わせる温かいストリングスに、ピアノ、エレピ、ギター、ダブルベース、ドラム、という構成。バックの演奏はあくまで控えめである。前に他のアルバムの紹介でも書いたが、個人的にはベースがダブルベースなのがツボ。御大ロン・カーターも参加していて、例によって気持ちよくビヨンビヨン言わせている。
こんなにメロディアスでなぜ甘過ぎないかというと、やっぱり演奏が優しくリラクシングでありながら一本ピンと芯が通っていて、奏者たちが決して手抜き演奏をしていないからだろう。曲の構成やアレンジも、統一感がある中に細やかな配慮が感じられる。優しくリラックスした「You've Changed」に続く「Stella By Starlight」は陽性に、そして次の「What Are You Doing The Rest Of Your Life?」と「The Long Goodbye」では哀愁を漂わせる。サックスだけでなく、曲によってエレピのソロをフィーチャーしたりアコースティック・ギターの音色をフィーチャーしたりと飽きさせない。
「You Are The Sunshine Of My Life」ではまったりゆったり始まって終盤はちょっとスリリングに盛り上げ、「Autumn In New York」ではピアノ・ソロでアクセントをつける。ノワール調の「Bluea Walk」では、短いながらロン・カーターのベース・ソロをフィーチャー。6分超えと一番長い最後のスローバラード「Time After Time」では、年輪を重ねたおとなの男女がこれまでの歳月をしみじみ振り返っているかのような、感動的な演奏が聴ける。
一聴してはっとするような斬新な、あるいは強烈なアルバムではないかも知れないが、小春日和のひだまりのような心地よさについついリピートしてしまい、いつの間にか癖になっているというスルメアルバムである。普段ジャズは聴かないけど、週末用にちょっとジャズっぽくて癒されるCDはないかな、と思ってる人にも強くおススメします。
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