崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

黒田勝弘『韓国はどこへ?』

2016年02月23日 05時48分54秒 | 旅行
 黒田勝弘氏の新著『韓国はどこへ?』が届いた。「歴史認識」「中立」「反日」「親日」などの言葉がズラリと並んでいて私の関心と一致するところが多い。その大枠は日韓関係に関わっている。私が日本に長く、彼は韓国に長く住んでいる。彼と私は日韓・韓日が交差する。お互いにその国にただ住んでいるわけではない。体験と思索の蓄積がある。前書の『韓国人の研究』は体験中心であり、今度の本では韓国の政治・外交など重みがある。彼は巨視的であるが私は生活が中心、微視的である。私は彼の著書から学ぶところが多い。あとがきに拉致問題と慰安婦問題をセットにしてふれている。二つとも日本の植民地から発生した人権問題である。両国は常に人権を政治的に利用していると考えているということは同感である。
 もう一つは教科書問題である。日本に対する反日ではなく、韓国自身の歴史教科書をめぐる政治的争いである。先日の明治時代の日本の教科書に表れた韓国という博士論文によれば植民地統治イデオロギーによって韓国観が教科書に書かれているという。今の韓国も政治的イデオロギーに染まった教科書を作っているのではないだろうか。反共・反日の教育で育った私の世代より以前の軍国主義の教育を受けている北朝鮮などを考えると考えるほど暗く重くなる。