崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「チビチリガマ」

2015年08月23日 06時00分05秒 | 旅行
 絹代塾の映画会が行われた。終戦直前の1945年4月初めの沖縄で洞窟に避難していた民間人83 人が集団自決したことをテーマに、権藤博志氏製作の「チビチリガマ」(30分、河波茅子氏のナレーション)である。沖縄が戦場になったことや差別されるということで在日フォークシンガーの李陽雨氏がチビチリガマを訪ね鎮魂のために歌う。沖縄が戦争の現場になって多くの人々が犠牲になったことや差別に抗議する運動で日の丸焼却事件以後追悼式も90年代半ばまで出来ず彫刻や作詞などで表現していた。沖縄は戦争の犠牲や戦後の米軍基地などで差別されているという図式になっている。そして沖縄の本島への反感が政治的にも常に問題になっている。
 なぜ沖縄が戦場になったのか。それはアメリカと日本の南進から始まったことである。アメリカはグァム島などを早くから植民地としてきたが日本の南洋群島への南進政策とぶつかったことから理解できる。そこからの戦争が結局長崎、広島へ原爆投下、東京空襲などへ広がり本島へ進行する中終戦を迎えたのである。特に沖縄が上陸戦、交戦地域となったのは差別の問題ではない。この映像は民間人の犠牲、それも集団自決をした沖縄の悲劇を象徴的に表現しており、礒永和貴氏が鋭く指摘したように民間人自決に注目すべきである。軍人と民間人の自決とはどう違うのか、より詳しく分析すべきである。10人足らずの参加者全員が戦争を語る充実した時間であった。