昭和天皇の玉音放送の録音原版が公開された。繰り返されても私はその言葉が日本語かも正確に聞き取れない。メディアは雰囲気だけ見せて本文の内容をきちんと説明してくれない、なぜか。私は1960年4月26日韓国の戦後の独裁者李承晩大統領のラジオ「下野声明」は今だに私の耳に残っている。それは民主主義の勝利宣言であった。それに比して玉音は敗戦、終戦、挑戦の雰囲気が高調しているように感ずる。口語訳を中心に声明文を読んで要約してみた。
これを読んで印象的なことは降伏宣言ではない。「ポツダム宣言を受諾する」を除いてはなんと決議声明文のように感じた。時局が非常なる時であって、これだけでも世界へショックを与えたラジオ放送であったことは言うまでもない。しかし今の時点では理解に苦しむところが多い。まず「善良な国民」向けの国内用の宣言であり、第2次世界大戦の降伏文としては足りないと思う。協力してくれた「同盟諸国」に対して申し訳ないと言っている。東アジア諸国の植民地や戦争に対する謝罪ではなく、あくまでも「帝國ノ自存」と「東亞ノ安定」「終始東亞ノ解放」のための戦争であったというのである。「謝罪」の対象は「代々の天皇の御霊」であり、植民地や戦地に向けていない。「敵」は残虐な爆弾(原爆)を投下、日本は被害国であるという態度をとる。「私は国民の本心をよく理解している。しかしながら…」では国民は「戦争を続けたいが」としている。日本は今でも心から降伏していないのではないだろうか。
時局を収拾しようと思い(非常ノ措置ヲ以テ時局ヲ收拾セムト欲シ)ポツダム宣言を受諾する。日本の自立と東アジア諸国の安定とを望み願う思いから出たもの、米英二国に対して宣戦し、他国の主権を排除して領土を侵すようなことは、もとから私の望むところではない。我が陸海将兵の勇敢な戦いも、我が多くの公職者の奮励努力も、我が一億国民が最善を尽くしても戦局は必ずしも好転していないし、世界の大勢もまた我国に有利をもたらしていない。それどころか、敵は新たに残虐な爆弾(原爆)を使用して、しきりに無実の人々までをも殺傷しており(敵ハ新ニ殘虐ナル爆彈ヲ使用シテ頻ニ無辜ヲ殺傷シ慘害ノ及フ)惨澹たる被害が拡大する。
戦争を継続するならば我が民族の滅亡と人類の文明をも破滅しかねない。私は愛すべき国民を守り、代々の天皇の御霊に謝罪したい。共同宣言を受諾(無条件降伏)する。私は国民の本心をよく理解している。しかしながら、私は時の巡り合せに逆らわず、平和な世界を切り開こうと思う。私は善良な国民の真心を拠所、常にあなたがた国民と共に過ごすことができる。もしだれかが感情の高ぶりからむやみやたらに事件を起したり、混乱させ、正しい道を誤って世界の国々から信頼を失うようなことは、強く警戒する。誇るべき自国の不滅を確信し、復興、総力建設に、正道を常に堅持し、世界の流れに遅れぬよう決意したい。国民は私の意をよく理解して行動せよ。写真430x306-51.2kB-終戦の玉音放送 焼け跡で耳傾け ...http://www.kyodo.co.jp/photo-archive/shuusenkinen/...
戦争を継続するならば我が民族の滅亡と人類の文明をも破滅しかねない。私は愛すべき国民を守り、代々の天皇の御霊に謝罪したい。共同宣言を受諾(無条件降伏)する。私は国民の本心をよく理解している。しかしながら、私は時の巡り合せに逆らわず、平和な世界を切り開こうと思う。私は善良な国民の真心を拠所、常にあなたがた国民と共に過ごすことができる。もしだれかが感情の高ぶりからむやみやたらに事件を起したり、混乱させ、正しい道を誤って世界の国々から信頼を失うようなことは、強く警戒する。誇るべき自国の不滅を確信し、復興、総力建設に、正道を常に堅持し、世界の流れに遅れぬよう決意したい。国民は私の意をよく理解して行動せよ。写真430x306-51.2kB-終戦の玉音放送 焼け跡で耳傾け ...http://www.kyodo.co.jp/photo-archive/shuusenkinen/...
これを読んで印象的なことは降伏宣言ではない。「ポツダム宣言を受諾する」を除いてはなんと決議声明文のように感じた。時局が非常なる時であって、これだけでも世界へショックを与えたラジオ放送であったことは言うまでもない。しかし今の時点では理解に苦しむところが多い。まず「善良な国民」向けの国内用の宣言であり、第2次世界大戦の降伏文としては足りないと思う。協力してくれた「同盟諸国」に対して申し訳ないと言っている。東アジア諸国の植民地や戦争に対する謝罪ではなく、あくまでも「帝國ノ自存」と「東亞ノ安定」「終始東亞ノ解放」のための戦争であったというのである。「謝罪」の対象は「代々の天皇の御霊」であり、植民地や戦地に向けていない。「敵」は残虐な爆弾(原爆)を投下、日本は被害国であるという態度をとる。「私は国民の本心をよく理解している。しかしながら…」では国民は「戦争を続けたいが」としている。日本は今でも心から降伏していないのではないだろうか。