崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

帰省客に懐かしい話を

2014年10月15日 05時28分34秒 | 旅行
山口市の大型百貨店井筒屋本店から二人が来られて年末年始にかけての「絵はがきから見る近代山口」展示会について相談した。下関でも中心地でもない新下関まで車で走ってきて、大学に着いた二人の始めの声は「下関は人が多い」であった。私が山口古文書館に行った時、県庁のある「県中心地に人が少ない」と感じたのと逆である。韓国や中国からのお客さんの口から出ることばはやはり「人が少ない」である。中国や韓国では人が多い。人口のアンバランスが実感される。日本は人口が少なく、高齢化して弱小国家になるかと心配するのが今の常識である。しかし人が少ないことは希少価値が高くなること、つまり人権意識が高いことを意味する。戦前日本帝国を弱小国家だと言って弾圧された中江兆民の文を新聞のコラムに書いたことがある。韓国のシャーマンの歌に「江南(中国)は大漢国、我が国(朝鮮)は小漢国」という歌詞がある。つまり歴史的に中国は大国、朝鮮は小国という意識に不満を言う人もいるが私は自然体で受け止めてきた。
 山口市に常住人口は少なくても帰省人口は多いという。当百貨店は年末年始に帰省する県民に見どころとしてサービスするということで展示会を企画したとのことである。私のすることは帰省する人々に懐かしく感じてもらえるよう奉仕することが全てである。下関美術館で行ったものを基にその後に県民から寄贈していただいたものなどを入れて、東亜大学東アジア文化研究所が共催で行うことにした。これから展示については芸術の専門家などの協力を得て展示と説明などに協力することになる。私はできれば会場におり帰省客の懐かしいお話を聞かせていただきたい。ただ会場が自宅から数十キロと遠いのが気になる。
 写真は東大での講演会の記事(「東洋経済日報」2014.10.10)