崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「家門の栄光」

2014年10月13日 05時48分10秒 | 旅行
 下関市美術館で堀晃展を鑑賞した。20数年前銀座の展示会で見て、下関では初めてである。しかしすごく親しさを感じている。画伯は留守で奥さんとは挨拶を交わした。堀晃氏のお母さんを通して情報は十分伝わっていると感じた。肝心なのは絵である。全国的に回り、スケッチをして下関市と奄美大島で作業し国際的にも活躍されている。会場に入った。大作のクジラ(50号)の絵、色彩の美しさと神秘さに圧倒される。彼の生まれ育った海岸村の湯玉を想起したがもっともっと大きい南の海を感じた。海、雲、魚、貝、月などが素材となって金子みすずの詩と合わさった日本の西の海のアンサンブルのように強く感じた。
 私のもう一つの見どころがある。それは堀家の「家門の栄光」である。朝鮮半島の南海の中の巨文島に日本村を作った木村忠太郎の子孫たち、孫の堀麗子氏のご子息の二人の画家の研氏と晃氏の兄弟である。20世紀から21世紀にかけて木村の子孫の繁栄をみる。私が木村忠太郎に関心をもって湯玉を訪ねてたのは30年ほど前のことである。今は4代目の人たちともお付き合いしていただいている。失礼なことに絵の前に立って絵から自分史へ戻った。そう思いながら堀氏が書かれたエッセイ集『夜明けの晩に』を買って帰ってきた。奄美の方言のエッセーである。早速ひも解いて昭和のロマンの炭焼きの話から心惹かれる。