崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

京城府庁の庁舎

2014年08月25日 04時06分21秒 | 旅行
昨朝下関では雨の中朝鮮通信使行列や馬関祭りの賑わいの大行列の通りを通ってきた。日韓関係が最悪と言われる中の飛行機は満席、ほぼ日本人である。一安心であった。ここはソウル市庁が見下ろせるホテルである。京城府庁の庁舎を残して後ろに新庁舎を立てた。95年金エイサン大統領が旧朝鮮総督府庁舎を完全に壊したことを後悔するかのような対策のような建物が見下ろせる。その前の広場が行事の仮施設やデモ隊に占領されている。
 出迎えに来てくれた出版社洪社長に下関からローカル線の電車の車両で本を読む人は一人もいなかった。出版も最悪の時代になっていると運転する彼に話をした。韓国も同じだという。一般的に紙媒体ではない、テレビとスマートフォンによって情報を得る時代の出版業の難しさが話題になった。早速オジャンドン冷麺をご馳走してくれた。そんな中、私の訳書『朝鮮の巫覡』がすぐ発行できるという。この度その最終チェックもする。
 30代で慶南大学校の同僚であって当時読書会と共同研究をしたことのある文基相氏と夕食をした。彼は大学を定年してから社会奉仕などもしたが今は健康管理と日本語の勉強など趣味生活をしている。彼は西洋史学者であるが、今は研究は続けていない。ただ識見はある。彼曰く、韓国には民主主義の枠は作ったがまだ成熟していないと。自由があっても制約されるものが多く、日本に対しては知識人でも右翼であり普遍性が弱いと指摘した。私は知識人の役割を果たせるよう彼に期待したが、それには積極的ではなかった。今日のソウル大学校での研究会では植民地研究を論じる。はたして正しい議論になるか、それは明日の報告になる。