崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「グリーン牧場へ」

2014年08月07日 04時24分48秒 | エッセイ
 
 チベット自治区青海省からの女子留学生のパル氏と広島大学のキャンパスを通り抜けて山中の池の上の寮まで歩いた。彼女は9人の大家族、北京オリンピックの後,羊の価格が高い時を機に200頭を売って留学の資金を作ってきたという。中学校の時に中国語を学び、他の中国人は外国人のように感ずるという。私がラサに行ったのが90年代、二人は話をしているうちに寮のそばにある緑の牧場と池の横に立った。牧場で羊の群れをつれていく時の話を聞きながらモンゴルやチベットの代表的な家畜の羊、山羊、ヤーク、ラクダ、馬の話が長かった。彼女は池のそばに生えている雑草を指し、切って見せながら羊に食べさせたいと言った。羊が喜ぶ食材が日本には豊富であると本当に純粋な心で喜んでいる。私は聖書の聖句「グリーン牧場へ」を思い、遊牧民族の生活を考えた。
 牧場で羊の世話する牧女が羊を狼から守り、牧場へ連れて歩く場面を思い出した。パルさんは羊を面倒をみるように今、私を「グリーン牧場へ」導いて面倒を見てくれる。心細かく、私のTA助教をしてくれる。彼女と私は牧女と羊、50年以上の年齢差を知らず坂道を歩いた。羊と家族への恩恵を語る彼女と池の湖畔に立って一休みしながら記念写真を撮った。