崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「国連軍の性暴行」

2014年08月13日 05時43分00秒 | 旅行
昨日は東京から週刊誌の編集者とフリーライターの記者が来られインタビューを受けた。記者たちのインタビューとはいえ、ただ話を聞くために来たのではないように感じた。私が書いた論文や本欄であるブログも読んできての対談であり、大変嬉しかった。中央で活躍する記者たちの視野の広さと見識には感動した。なぜ大部以前に書いた「国連軍の性暴行」に関する論文が注目されるようになったのか。そもそもその文の書き始めは文化人類学者として朝鮮戦争で体験したことを書いたものである。私が所属している比較家族史学会で恋愛と性愛がテーマでシンポジウムが行われた時、朝鮮戦争の生々しい事例を出してレイプから売春へと論を展開したが、質問などが少なく、十分議論できなかった。後に聞いたところではあまり生々しく、言及することは控えたという。しかしこの論文はそのシンポジウム報告として早稲田大学出版部から出るようになった。微妙な問題だということで当時の会長と編集者が広島大学の私の研究室までこられて事実を確認して載せることができた。また私は韓国における性と政治、貞操論、売春などへ広げた視野から展開して論じたこともある。
 私は根底に日本と韓国との性に関する貞操観念や結婚と家族などが似て異なることの比較、そして人間の性行動に関する分析をしたのであって、いわばそれをもって誰かを非難、誹謗、攻撃する目的はまったくない。にもかかわらず読者からは非難されることが時々あった。たとえば私が「洋公主」という売春婦と関連して話したことの対談集について韓国のMBCテレビに「新親日派」と非難されたのは意外なことであった。さらにそれをもって韓国では非難されたこともあった。しかし客観的であるという記者と読者もいる。その人類学的私の分析が読む人によって反応は二分されるようである。以前書いた論文に関する反響が遅すぎ、ようやく認められて(?)、近いうちに大手出版社から報道されるようになった。さらに韓国では植民地資料の大著の小生の翻訳書も出る予定である。嬉しいことである。4社の関係者たちに感謝したい。