崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

孵化

2014年08月19日 05時06分59秒 | 旅行
 連休中,大学は閉鎖されて気になるのが二つ。一つは研究室のパキラの木に水をあげること、もう一つは研究所のベランダの鳩のことである。昨日さっそく鳩の巣を静かに覗いてみた。2個の卵の殻が割れていた。親はなかなか見せてくれない。やっと見ることができた。無事二羽が誕生(孵化)した。どうして命が生まれるのか。卵が先か、親が先か、のような幼稚な思考をはるかに超える神秘性に追われる。卵を産んで命が誕生するのは誰でも知っている自然な現象である。科学からはそこで止まるのが普通である。その現象の原点は何だろう。そこは非自然現象であろう。つまり自然と非自然は共存することである。我々の日常にも常に俗と聖、自然と非自然が混在している。
 昨日発売の「週刊ポスト」にインタビュー記事が出て、読者から反応があった。2001年広島大学大学院生たちに勧めて作った研究誌に掲載した1「朝鮮戦争における性暴行と売春」を読んだ記者が来られた。子供時の悲惨な戦争体験を書いたものである。しかし米軍や国連軍を、韓国を非難するために書いたものではない。人間の性欲、それが暴力になるかの人間性を問っている。性暴力を防ぐ措置として売春が生じた現実を体験的に描いたものである。今までその論文が引用されたことはなかった。しかしそれが注目された背景は日韓関係の悪さからである。それを読む人は日韓において相反するだろう。性(慰安婦)の問題を考えてほしい。性愛、結婚、出産(孵化)、家族の社会現象でありながら人間の基本的な問題であることを考えてほしい。、