崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

怠け者の楽園

2013年12月23日 05時23分41秒 | エッセイ
クリスマス礼拝の後昼食会でパラオ教会での礼拝について語った。3500キロほどの南、太平洋のミクロネシアの島、旧日本の植民地であった楽園島として話した。先日も本欄で触れたが、その島が楽園であるというのは常夏の気候、暖かく果物、花、魚などが豊富であり食べものに心配なく労働、仕事、苦労はしなくて良いという。原住民が楽園と思っているかどうかは解らないが、彼らはこの寒々とした殺風景な冬景色を見ただけで地獄を想像するだろう。そこから東のほうに位置するポリネシアには世界的に体重の多い人種の島々がある。自然の食べ物があり、働かなくても生きる世界が楽園であることは創世記に書かれてあり、仏教の天国とも似ている。つまり近代的な価値観では怠け者と言われるかもしれない。
 この「楽園」の島々の人々に「働かざるもの食うべからず」というキリスト教をスペイン、ドイツ、アメリカなどによって宣教され、植民地化されたのである。パラオは1994年に独立しても全国民がほぼ国家公務員になってアメリカの援助40億ドルで楽に生活する。楽園の生活は続いている。数年前北朝鮮を訪れた時、私に「祖国(北朝鮮)は楽園だ」と言った人を思い出す。寒くて食料が不足しても楽園だということはどういうことだろうか。多くの人々からは地獄のように思われているが、自らは楽園だと思っているのはなぜだろうか。
(写真は商店街のクリスマス飾り)