崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

文化的な味

2011年07月19日 05時09分31秒 | エッセイ
大学と地域の食品業者が共同で郷土料理を開発することを進めてきた。下関であれば河豚とアンコ-、鯨は有名であるが私としては縁の薄い食品である。前二者は韓国でもそれほど一般的ではないが食べたことはある。しかし鯨肉は食べたことが全くない。鯨専門会社「東冷」の石本会長が新しくでき上がった新商品を持ってきて試食するようにいわれた。栄養分析などは専門の林教授が行なわなければならないが、まず味の方は誰でも参加できるであろう。日本人は戦後食品難の時、鯨に救われたといい、その栄養と味に感謝する食品であるが、私にはその歴史が欠如している。
 しかし日本人でも鯨肉には縁の薄い人が多いようである。これらの商品には【鯨入門者】も【鯨が苦手な人】も大丈夫という宣伝文句が書かれている。「ビールや焼酎など酒の肴(さかな)としても、お弁当のおかずにいかがでしょうか?是非お試し下さい。」と。熱い御飯に掛けて試食してみた。つくしんぼうなど薬味が多く混ざってどの味が鯨の味であろうか探検の時間であった。お弁当のおかずには良いと感じた。私は河豚やアンコーの味に鈍感であるように鯨にもそのようである。しかし味は作られる。日本では品そのもの以上高級化したものが数多くある。松茸や河豚がそうであろう。その大部分の要素は宣伝であろう。韓国は神秘的な高麗人参がそれに当る。これから鯨に文化的な味を創造していかなければならない。