崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

個人情報

2011年07月12日 05時28分08秒 | エッセイ
 人に年齢を聞くことは微妙であり、特に女性に年齢をきくのは失礼だと言われている。中国や韓国から来た留学生たちにはそのような考えはなく、何歳か、結婚はしているか、子供は何人かなど初対面の人にも聞いたりするので最初に注意することがらである。しかし高齢者の間ではよく年齢を聞くのを見かける。そして互いに高齢者を上位者とするような態度をとるのが普通である。私も年齢を聞くことも多い。同年輩であれば親しい感じ、上年配であれば尊敬するような態度をとる。敬老思想ともいえるものである。昨日アパートの管理人とエレベーターに同乗したとき彼に歳を聞いた。私よりだいぶ年配と思っていたがかなり年下であり、急に位階が逆転したような雰囲気であった。
 人の名前、生年、性別などは基本的な個人情報であり、それは社会的に必要な基本的な情報である。今民主党の案で、国民一人ひとりに番号を割り振る番号制度を作ろうとしている。それに反対する意見もある。過去独裁国家では主に国民を監視するために使われたことがあって、私も韓国の住民登録制度には反対の意見を持ったことがある。しかし現在はそれを反対する理由もなくなったのである。いま韓国は民主主義国家であるから。
 日本では個人情報の流出を防衛するのが先に議論され、また規制や法則を多く作ろうとする。規制が社会的に必要とは言っても煩雑な、嫌なものにもなりうる。むしろすでに登録されている住民基本台帳や運転免許番号、など数多くできている番号を利用したほうがよいかもしれない。問題は政府が国民から信頼されているかであろう。患者は医者を信頼して見せたくないところを見せたり話したりする。医者がその個人情報を治療以外に悪く利用する人がいるとは思わない。それこそ国家の品格であろう。