崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

自殺論

2011年07月01日 06時06分24秒 | エッセイ
 講義中自殺を考えたことがある人はいますかと何気なく投げた言葉に手をしっかり挙げた人がいた。意外なことであった。私は文学少年時代に何度も考えたことがあった。小学校の同級生で別の中学校に入った友人が自殺したことにショックを受けたことがあった。今から考えると思春期、文学少年期には自殺を考えたりすることが一般的だと思っていたが日本の学生たちからは今まであまり反応がなかった。しかし、昨日は自殺を考えた人がいることで非常に意外なことと思った。しかも自殺未遂の体験があり、そのことを話してくれた。他の学生たちも関心が高い表情をしていた。彼は社会人入学生のインテリー、。目が覚めた朝は天地が明るく、幻しく美しく感じたという。
 私は彼の命が助かったことこと、またその死と生の経験によって人が変わったことを予想した。他の生物には自殺はない。人間には自殺という現象がある。命を切ることの問題よりそこには生まれ変わる思想が潜在している。生と死の戦い、それは生き方の問題でもある。自殺を勧めるわけにはいかないが、自殺の問題を深く考えてみることは必要であろう。今私の下で高齢者の自殺に関して博士論文を書いている人の発表を予定している。その根本的な思想が話題になって欲しい。