崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「恥の文化」

2011年07月16日 05時37分25秒 | エッセイ
 文化人類学でマーガレットミードの『ニューギニアでの成育』とルースベネディクトの名作『菊と刀』を取り上げた。前者の性の抑圧と性犯罪との関係、後者では恥と良心の関係を話題に提供して議論した。セクシュアリティー(生理的)とジェンダー(社会的)の大きい問題を1コマで扱った。他の大学ではフェミニスト論、女性論などの講義をしているところもある。当大学ではそれらを文化人類学で扱っている。男性らしさ、女性らしさ、トイレの男女分離、女性専用車両の問題、ユニセックスのファッション、「恥の文化」などにいたるまで広く国家のパーソナリティーや国家の品格など、そして新文化論へ誘うように進行してきた。
 このような大きい問題、また重い問題として学生はついてこない雰囲気、否定的な学生もいた。10月京都造形芸術大学で「性」をテーマに講演する時も性の微妙な問題に触れることになるであろうと思うが、学生たちにはどうであろうか、心配である。学期が終わりかけて振り返ってみる。知識伝達式の講義から考えて議論する授業へと、一貫してきた。それに乗った学生と否定的な学生に分かれるよううな印象である。授業は永遠に創造していかないといけないと思った。教育で一番難しいのは否定的な態度から肯定的に変えることである。ポジティブシンキング(positive thinking)の始まりは感謝の態度であろう。