崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

日本人は文盲

2008年10月28日 05時01分38秒 | エッセイ
 大学生にも漢字検定試験をさせる大学もある。漢字は中国をめぐる漢字文化圏の文字であるが、北朝鮮、ベトナム、韓国もすでに捨ててしまって中華文化圏以外には日本にしか残っていない。その意味で漢字は日本語の文字そのものであり、日本の文字であるはずである。考えてみると自分の国の文字の読み方などを大学生に検定させながら勉強させなければならない、クイズにも出るほどであるということは漢字が完全に日本語になっていないかあるいは「日本人は文盲であるか」のどちらであろう。私は特に学生の名簿をみて出席を点呼することが難しい。国民が文字を読めない文盲政策が日本の国語政策ではないかとも思われる。日本はまだ万葉集時代の連続のようである。
 韓国でも漢字を国語として混用してきた。日本の万葉集の読み方に似た新羅の郷歌などはあっても近代以降日本のように漢字混用してきて、専門家をはじめ多くの人が漢字をなくそうという議論が長く続いた。私も一時は反対運動の方に向いたことがある。しかしタイプライターやコンピュターの普及によって国民が自然にハングル専用になってしまったのである。
 日本では「漢字なしでは微妙な表現ができない」とかいう空論が多い。韓国のようにハングルを専用しても問題がないこと、むしろハングルでも表現がいろいろと工夫されて豊かになっている。分かち書きもせず、漢字に依存せざるを得ない日本の漢字混用政策は極端に言うと文盲政策である。韓国の事例を見て国語政策を改革すべきであると思う。