崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

保険金の生命観

2008年10月15日 06時51分05秒 | エッセイ
 1981年三浦和義社長(当時34歳)と妻の一美さん(当時28歳)は米国・ロスアンゼルス郊外の駐車場で二人組の男に銃撃され一美さんは頭を撃たれて死亡した。夫の三浦も足を撃たれて重傷を負ったが保険金1億5500万円を受け取った。それが保険金目当てに仕組んだ事件ではないかと疑惑報道が加速し、《三浦に一美さん殺しを頼まれた》という特種記事が報道された。1985年警視庁は三浦を一美さん殺人未遂容疑で逮捕、1998年最高裁は三浦の控訴を棄却し懲役6年が確定した。東京高裁は「確かな証拠が無い」として無罪を言い渡した。
 証拠が無いことで、疑惑が晴れたわけではない。今度再逮捕されたのである。保険金とは人倫に反する要素も含んでいる。妻の死から金を取るということがそれである。私は昔ベトナム戦争で戦死した人の慰霊祭を観察したことがある。国家から補償金を受け取った家族が子供の死によってお金をもらうことは人倫に反すると思って、それを本人のために使うと決心し、大きい死霊祭を行うことになったという。三浦の疑惑はこの人倫に関するものであるところに根本的な問題点がある。生命に保険金をかける生命保険などはむしろ生命を軽視する矛盾を含んでいることは議論すべきであろう。

人倫に反する

2008年10月15日 06時49分50秒 | エッセイ
 1981年三浦和義社長(当時34歳)と妻の一美さん(当時28歳)は米国・ロスアンゼルス郊外の駐車場で二人組の男に銃撃され一美さんは頭を撃たれて死亡した。夫の三浦も足を撃たれて重傷を負ったが保険金1億5500万円を受け取った。それが保険金目当てに仕組んだ事件ではないかと疑惑報道が加速し、《三浦に一美さん殺しを頼まれた》という特種記事が報道された。1985年警視庁は三浦を一美さん殺人未遂容疑で逮捕、1998年最高裁は三浦の控訴を棄却し懲役6年が確定した。東京高裁は「確かな証拠が無い」として無罪を言い渡した。
 証拠が無いことで、疑惑が晴れたわけではない。今度再逮捕されたのである。保険金とは人倫に反する要素も含んでいる。妻の死から金を取るということがそれである。私は昔ベトナム戦争で戦死した人の慰霊祭を観察したことがある。国家から補償金を受け取った家族が子供の死によってお金をもらうことは人倫に反すると思って、それを本人のために使うと決心し、大きい死霊祭を行うことになったという。三浦の疑惑はこの人倫に関するものであるところに根本的な問題点がある。生命に保険金をかける生命保険などはむしろ生命を軽視する矛盾を含んでいることは議論すべきであろう。