崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

金正日の病気?

2008年10月05日 06時16分18秒 | エッセイ
 先日、金正日が手術を受けたというニュースが流れても私は信じなかった。1990年代、彼の父である金日成が死亡したというビッグニュースが誤報であったことがあるからである。休戦線の兵士が北朝鮮の国旗掲揚の様子を観察して情報を流したものだった。その後彼は平穏な死を迎え、国民の慟哭の中で葬儀が行われ、現在は錦繍山公園でガラスの中に安置され静かに横たわっており、今でもたくさんの人々の参拝を受けている。独裁者が死後、このように栄光を享することに矛盾を感ずる人も多いだろう。北朝鮮の放送は金正日が健康な姿で巡行したとや視察したという情報を流している。
 多くの人は独裁者の死を期待する。それによって体制の変化、つまり民主化への発展を望んでいるからである。しかし長い間、独裁体制の中では支配者・被支配者とも意識が腐食しているのがもっと大きい問題である。「植民地」から解放されても「独裁地」に変わっただけの酷い状況が、民族紛争などによっていわば脱植民地が全くできていないような国がアフリカにもある。植民地から解放されたとはいっても北朝鮮のように、人の往来も自由にできない国も存在する。私はアイルランドの調査の前に北朝鮮への訪問許可を申請して待ったが、それは無駄なことであった。