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北と南(18):火炎木

■旧暦3月29日、日曜日、、奇妙な天気で霧雨が降ったりやんだり。

(写真)白牡丹、たしかに紅ほのか、である。

世間は、連休であるが、当方は、なんのことはない。兼業が専業になっただけである。貧乏暇なし。

アファナシエフの詩集を出してもいいという奇特な出版社とめぐりあって、現在、最終的な訳文の推敲と原文チェックを行っている。この詩集は、日本語・英語の併記で出そうと考えている。対訳とはちょっと違う。あくまで、日本語が主で、英語の原詩は日本語の詩の後に出てくる。アファナシエフご当人の了承を得ることが前提になるが、いかんせん、アファナシエフは、単独で詩集というものを出していない。そこで、これまで、発表された詩篇を訳出して、新たに編集して、一冊の本にまとめるということになる。このため、エイジェンシーを介在させる従来の方法は取れない。日本側の窓口を通じて直接、彼の了承を取らなければならない。今、情熱的かつ説得力に溢れた(?)レターを書いているところである。このレターいかんで、実現するかどうかが決まるので、けっこう真剣である。



と言いつつ、長谷邦夫さんの『天才ニャロメ伝』が面白くてやめられない。日本の戦後漫画の勃興期が当事者の口から語られていて、興味が尽きない。このコミックは、赤塚不二夫伝であるが、フジオ・プロから見た戦後日本漫画史であり、クリエイティブな才能の集団の実態(?)がリアルに描かれている。ぼくも、某企業の企画部にいたことがあるので、赤塚的な匂いの人間は何人か知っている。けれど、しょせんはサラリーマンの枠を出られない。ここまで、ぶっ飛んだ人物はいなかった。ぼくの好きなつげ義春が、たまにトキワ荘にやってきて、赤塚にプロになるようにけしかけたり、「劇画」について語ったという話(「つげさんは今どこの仕事やってるの?」「特に何もやってないよ。ボンヤリ貧乏しているだけだ」「結局さ、赤塚君やトキワ荘のひとたちって“よい子マンガじゃない”」いかにものセリフに感動してしまった。)などがとくに印象的だった。しかし、赤塚不二夫周辺は、映画かドラマにしても面白いんじゃないですか。これだけ、過剰なエネルギーを放出できる日本人は、いなくなってきたなあ、という感想。



火炎木の花

(写真)

アフリカンチューリップ。アフリカ、東南アジアなどに分布。花は4月、5月、だいだいがかった赤色、一つの枝先に30~40の花がいっせいに咲きそろう。遠くから見た花の塊がチューリップに似ている。風にそよぐ姿が燃えさかる炎に似ているのでこの名がある。


天日へ巨花ひらき立つ火炎木
   小熊一人

火炎木咲く藍甕につむぎ糸
    小熊一人

火焔木一花を活けし夜の卓
    村田青郷

※ 『沖縄俳句歳時記』(小熊一人編著、那覇出版社、1985年)

■火炎木が夜の卓に活けてあったら、夢と現実が溶け合ってしまうようでちょっと怖い。

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