今年は6月を待たずに早めの梅雨入り。
梅雨入り前にどこかへ行きたいな……ということで、5月20日(土)は、伊勢・紀伊方面に出かけてきました。
東海管内の紀勢線方面は実は京都から直線距離だとそれほど離れていませんが(おおむね100km圏内)、鉄路だと少々迂回を強いられます。
とは言え、朝から寝ながら行けるのはやはり楽なもので、行きは京阪・近鉄経由を選択。
丹波橋から鳥羽行き特急に乗車します。
このために近鉄の株主優待券を金券ショップで調達しておいたのですが、4月からの運賃改定の影響を受けて2100円まで値上がりしていました。以前は高くても1800円程度だったと記憶していますが、この5月6月なら2日間有効のフリー切符(3000円、要前日購入)で往復した方が良いでしょう。
乗車したビスタEXは二階部分は行楽客が占めていましたが、平屋は単身客が中心でいたって静か、西大寺を待たずに寝てしまい、起きたのは中川。
程なくして松阪で下車し、10分の乗り換え時間で駅弁とこの先使用する「青空フリーパス」を慌ただしく購入。JRのホームに入場し直して「南紀1号」に乗車します。
「ひだ」が3月にHC85系に統一されてからは唯一のキハ85系での定期運用列車ということで、久々の乗車です。
5両編成の車内はほぼ満席。観光客8割に我々鉄ヲタが2割くらいで、週末の行楽列車といった様相です。この「南紀1号」は名古屋8:02発ということで、東京からの新幹線と、松阪からは京都・大阪からの近鉄特急に接続していることもあり、各地から南紀方面へのアクセスにはちょうど良いという点もあるのでしょう。
貫通路から愛称表示を見られる車両も少なくなりました。
列車は多気から紀勢線に入り、ここで伊勢方面からの乗客が加わりほぼ満席に。
三瀬谷でハイキング客のまとまった下車があった後、やがて臨時停車の梅ヶ谷に到着しました。
これは同日開催予定「だった」、「さわやかウォーキング」に伴うものですが、前日の雨によってコース不良のためウォーキングが中止(駅や車内の放送でもしきりにアナウンスされていました)。しかし、「南紀1号」の臨時停車とその他の臨時列車の類は運転されるということで、当初の予定通り扉が開くということになりました。
「南紀」が梅ヶ谷に停車している決定的瞬間です!(笑)
梅ヶ谷に限ったことではありませんが、紀勢本線の駅はホームの低い駅が多く、このように係員さんが乗降の補助をしていました。
本来であれば多くの行楽客が降り立ったはずの梅ヶ谷駅ですが、
物好きな数人の鉄ヲタだけが山間の駅に取り残され、「南紀1号」は紀伊勝浦を目指して荷坂峠を下っていきました。
駅掲出の時刻表。ご丁寧にも今日だけの臨時列車が追加されています。
この後は下り列車が連続してやって来ますが、ウォーキングが中止となったことで乗降はあるのかは微妙なところ。
また、松阪方面に戻る上り列車は昼過ぎまでなく、無計画に訪れると途方に暮れることになります。
というわけで時間はたっぷりあるので、大内山方面に国道42号線(熊野街道)をぶらり散歩します。
ちょうど三重交通の熊野古道ラインが通過して行きました。
新型エルガでも背面の広告枠が健在なのがおもしろいですね。京都では見ないタイプなので新鮮です。
駅を出てすぐのところ、背景の山々が良い感じだったので「南紀4号」はここで。
「南紀1号」とは紀伊長島で交換してやって来ます。最小の2両編成でしたが、これではわかりませんね。
引き続き大内山方面に歩くと、撮影者の姿がちらほらと見えてきました。
後続の普通列車。
この橋梁も様々な撮り方があるようですが、いわゆるスイートスポットは埋まっていたのでサイドから。
場所を変えて、臨時特急「Hello! NANKI NEWウォーキング号」を。
前述の通りウォーキングが中止となりましたが、それでも外から見る限りはほぼ満席。記念乗車証の配布や、紀伊長島駅でHC85系と並べての展示は実施されるようなので、ウォーキング目当ての乗客はハナから少なかったということでしょう。
続いてやって来た、多気発紀伊長島行きの臨時快速。
むしろ純粋なウォーキング客は追加料金のかからないこちらに乗っていたのではないでしょうか。しかし中止となってはせっかくのロングシート車も持て余し気味、4連で数人の乗車といったところでした。
さて、キハ85系の「ウォーキング号」は紀伊長島で乗客を降ろした後、展示までの間、定期列車をやり過ごすためにいったん大内山に折り返し回送されます。
短時間で効率よく撮れるということで、先ほどの鉄橋回りには数人の撮影者が待ち構えていました。
回送列車がゆっくりと通過して行きます。
知らなければ高山本線と言ってもバレないかもしれません。
一通りの撮影を終え、徒歩で大内山駅へ向かいます。
比較的駅間距離の長い紀勢本線ですが、この梅ヶ谷~大内山間の営業キロは3km弱で線路沿いに道路が並行し、徒歩移動にもやさしい距離です。
大内山で折り返し待機中のキハ85系4連。
この移動中にHC85の回送が紀伊長島へ下ったようですが、踏切と列車の音が聞こえただけで、タイミングが悪く遭遇できませんでした。
駅前は追っかけの車で一杯で、しばし撮影会状態。
キハ85系がこのような小駅に停車する機会ももうないのかもしれません。
ここでは回送列車が「南紀3号」を退避。
ということで、ホームを挟んでキハ85同士の追い越しが見られます。
正午を迎えた大内山駅を、ダブルヘッダーの「南紀3号」が回送を待たせて通過します。
キハ85系同士の交換はまだ各所で見られますが、追い越しはあまり聞いたことがありません。
また、非貫通型先頭車は京都丹後鉄道に譲渡されたので今後も活躍が期待されますが、この貫通型先頭車は保存されるかどうかも現時点では決まっておらず、今日はこの貫通顔を重点的に撮ると決めていました。
まだしばらく停まっていたので、駅の反対側に回り込んでみます。
発車準備が整い、ゆっくりと折り返し紀伊長島へ向かう回送列車。
キハ85が駅を去った途端、あれだけ居た撮影者はあっという間に居なくなり、
再び元の静かな大内山駅に戻りました。
昼食の時間です。
付近に商店はないので松阪で調達しておいた「モー太郎弁当」を開けます。
全国に牛肉系駅弁は多々ありますが、冷めると脂が固まって味が落ちてしまうのが難点。しかし、この松阪駅弁は工夫を重ねられているのか冷めても美味しいのが特徴で、あっという間に平らげてしまいました。また、どういうわけか(?)オルゴールが内蔵されていて、開封すると「ふるさと」のメロディーが流れるのですが、それがまたこの小駅にはとても似合っていました。
しばらくすると、多気行きの臨時快速が通過。
行きに撮った列車の折り返しです。
紀勢本線ではキハ25の4連も多客時を除けば貴重ですから、撮っておいて損ではありません。
ここからはしばらく列車がないので、駅周辺を散策します。
駅前に二軒の元商店。
かつてはこのお店で土産物を求めて列車に乗り込む、という光景が展開されていたのでしょう。
少し駅から歩けば、こちらは現役と思しき旅館。
ここが熊野古道であることを実感させられます。熊野古道はいままで断片的に歩いたことはありますが、せいぜい撮影や駅巡りのついでに1~2駅間くらいを歩いたくらいで、いずれ参拝を目的としてじっくりと歩いてみたいものです。
42号線を少し歩くと「大内山ミルク村」に着きました。
工場や牧場は駅の裏手にありますが、販売店は国道に面したこちらにあります。
ソフトクリームと、ご当地大内山牛乳を。
撮影の暑さでバテ気味だったので助かりました。自販機は松阪駅ホーム上にもありますが、やはりビンの方が雰囲気が出ます。ビンの牛乳、ひょっとすると初めて飲んだかもしれません。
さて、大内山からは三重交通バスに乗車します。
今回は「青空フリーパス」使用ですが、下り列車はまだしばらく来ません。どうせなら並行しているバスで紀伊長島に先回りしようと思った次第です。
というわけで、大内山バス停です。
「停留所控室」とありますが、元は店舗などが入居していたのでしょうか。いまは窓も塞がれ立ち入りはできず、入り口前にベンチがあるので雨風はしのげますが、蜘蛛の巣が張っていて近寄りにくい雰囲気です。
2018年に廃止された「南紀特急」の看板が未だに残っています。
入れ替わりに登場したのが、これから乗車する松阪熊野線(熊野古道ライン)。本数こそ少ないものの(1日3往復)、路線バスとしては奈良交通の八木新宮特急に次いで日本で2番目の走行距離を誇ります。
待つことしばし、予定時刻を10分ほど過ぎてやって来ました。
これも長距離路線の宿命でしょうか。特急列車の盛況に対してこちらの乗客はゼロ、来た道を通り過ぎ荷坂峠を目指します。
トンネルを抜けると、
眼下に熊野灘が広がります。ここが伊勢国と紀伊国を隔てる荷坂峠、古くは難所であったのも頷けます。この区間にはもう一つ峠があり、それがウォーキングで予定されていた熊野古道ツヅラト峠ですが、こちらもツヅラト(つづら折れ)ですから厳しい道のりに変わりはありません。また、鉄道では梅ヶ谷と紀伊長島の間は実に200m近い高低差があり、オメガカーブで高度を稼ぎながら結んでいます。鉄道は帰路の楽しみにとっておきましょう。
やがて紀北町の市街地に差し掛かり、その端に位置する新長島橋で下車。
赤羽川の河口に架かる鉄橋でキハ85系の回送を狙います。先ほど大内山から紀伊長島に向かったキハ85は、展示を終えるといったん船津まで南下してからまた折り返し回送されるようで、最後にもう一枚沿線撮影を。
遠くには熊野灘。
この日は朝から山ばかりでしたが、最後の最後にようやく海が見えました。
帰りの列車に乗るため紀伊長島駅まで歩きます。
ようやく辿り着いた紀伊長島駅。乗り換えでホームに降り立ったことはありますが、駅舎を眺めるのはこれが初めて。
つい先ほどまでキハ85とHC85を並べての展示会が行われていたこともあり、駅にはまだ賑わいが残っていました。
帰りに乗るのは、「Hello! NEW NANKIウォーキング号」。
よく考えれば「NEW」を謳いながらも旧型のキハ85を使用しているのが妙なところですが、たまたま数日前に窓側の切符が取れたので乗車します。JR線上でキハ85系に乗るのは自分にとってはこれが最後かもしれません。
幕は「臨時」ですが、その実は南紀81/82号のスジを紀伊長島発着に短縮しただけで、停車駅も全く同じ。今月運転予定の「ありがとうキハ85系南紀号」も同じスジのようですが、途中駅での乗降はできないようですね。
車内は定期列車とは異なり今度は鉄ヲタが8割といったところで、走り始めた列車は、荷坂峠を力強く登っていきます。
地形の険しさを外から見たからこそ、今まさに坂を登っているという実感がするもので、これはHC85系でも体感してみたいところ。トンネルを抜けると行きに降りた梅ヶ谷駅を通過し、大内山でHC85の回送を追い越し、紀勢本線を一路北上していきますが、乗り心地の良さについウトウト……
目が覚めると伊勢鉄道線内を走行していました。
山間部から3セクの高規格路線、近鉄と競合する都市部と変化に富む車窓が「南紀」の魅力でしょう。途中での下車はほとんどなく、反対に四日市、桑名からも多少の乗車があり、キハ85系の集客力を見せつけられます。
紀伊長島から約2時間半、終点の名古屋に着きました。
幕はすぐに回送表示となりましたが、さすがに多くの人だかり。
今回は沿線でたくさん撮影ができたので、駅での撮影は程々に、家族へのお土産を買ってから今度は「ひだ17号」に乗り換えます。
初めましてのHC85系です。
7月からは「NEW NANKI」にもなるわけで、このあたりでそろそろ乗車をと思い、今回は岐阜まで。
形式こそ電車と同じ「モハ」が与えられていますが、床下から響くエンジン音はやはり気動車そのもの。しかし車内はいたって静かで、走り始めたときも同様。キハ85系が大柄で力強さを感じさせるのに対し、HC85系はスマートできびきびとした走りで、座席の硬さは否めませんが、巷で言われている通り車内はN700系を在来線用に仕立て上げたような印象で、「ワイドビュー」の愛称こそ外れたものの、側面窓も十分大きく眺望は良好。新時代を走るキハ85系の後継に相応しく、これが10連を組んで飛騨路に挑む姿を見てみたくなりました。そんなことを思いながらあっという間に岐阜に到着、あとは米原行きの特別快速と新幹線を乗り継いでいつも通りの帰洛。
新旧の特急型気動車を乗り比べたわけですが、京都丹後鉄道で再デビュー予定のキハ85系も楽しみですし、HC85系の「大阪ひだ」にも早いところ乗車してみたいものです。つまるところ、好きな車両(列車)はどこに行っても好きですし、その後継もやはり好きなのです。(笑)
梅雨入り前にどこかへ行きたいな……ということで、5月20日(土)は、伊勢・紀伊方面に出かけてきました。
東海管内の紀勢線方面は実は京都から直線距離だとそれほど離れていませんが(おおむね100km圏内)、鉄路だと少々迂回を強いられます。
とは言え、朝から寝ながら行けるのはやはり楽なもので、行きは京阪・近鉄経由を選択。
丹波橋から鳥羽行き特急に乗車します。
このために近鉄の株主優待券を金券ショップで調達しておいたのですが、4月からの運賃改定の影響を受けて2100円まで値上がりしていました。以前は高くても1800円程度だったと記憶していますが、この5月6月なら2日間有効のフリー切符(3000円、要前日購入)で往復した方が良いでしょう。
乗車したビスタEXは二階部分は行楽客が占めていましたが、平屋は単身客が中心でいたって静か、西大寺を待たずに寝てしまい、起きたのは中川。
程なくして松阪で下車し、10分の乗り換え時間で駅弁とこの先使用する「青空フリーパス」を慌ただしく購入。JRのホームに入場し直して「南紀1号」に乗車します。
「ひだ」が3月にHC85系に統一されてからは唯一のキハ85系での定期運用列車ということで、久々の乗車です。
5両編成の車内はほぼ満席。観光客8割に我々鉄ヲタが2割くらいで、週末の行楽列車といった様相です。この「南紀1号」は名古屋8:02発ということで、東京からの新幹線と、松阪からは京都・大阪からの近鉄特急に接続していることもあり、各地から南紀方面へのアクセスにはちょうど良いという点もあるのでしょう。
貫通路から愛称表示を見られる車両も少なくなりました。
列車は多気から紀勢線に入り、ここで伊勢方面からの乗客が加わりほぼ満席に。
三瀬谷でハイキング客のまとまった下車があった後、やがて臨時停車の梅ヶ谷に到着しました。
これは同日開催予定「だった」、「さわやかウォーキング」に伴うものですが、前日の雨によってコース不良のためウォーキングが中止(駅や車内の放送でもしきりにアナウンスされていました)。しかし、「南紀1号」の臨時停車とその他の臨時列車の類は運転されるということで、当初の予定通り扉が開くということになりました。
「南紀」が梅ヶ谷に停車している決定的瞬間です!(笑)
梅ヶ谷に限ったことではありませんが、紀勢本線の駅はホームの低い駅が多く、このように係員さんが乗降の補助をしていました。
本来であれば多くの行楽客が降り立ったはずの梅ヶ谷駅ですが、
物好きな数人の鉄ヲタだけが山間の駅に取り残され、「南紀1号」は紀伊勝浦を目指して荷坂峠を下っていきました。
駅掲出の時刻表。ご丁寧にも今日だけの臨時列車が追加されています。
この後は下り列車が連続してやって来ますが、ウォーキングが中止となったことで乗降はあるのかは微妙なところ。
また、松阪方面に戻る上り列車は昼過ぎまでなく、無計画に訪れると途方に暮れることになります。
というわけで時間はたっぷりあるので、大内山方面に国道42号線(熊野街道)をぶらり散歩します。
ちょうど三重交通の熊野古道ラインが通過して行きました。
新型エルガでも背面の広告枠が健在なのがおもしろいですね。京都では見ないタイプなので新鮮です。
駅を出てすぐのところ、背景の山々が良い感じだったので「南紀4号」はここで。
「南紀1号」とは紀伊長島で交換してやって来ます。最小の2両編成でしたが、これではわかりませんね。
引き続き大内山方面に歩くと、撮影者の姿がちらほらと見えてきました。
後続の普通列車。
この橋梁も様々な撮り方があるようですが、いわゆるスイートスポットは埋まっていたのでサイドから。
場所を変えて、臨時特急「Hello! NANKI NEWウォーキング号」を。
前述の通りウォーキングが中止となりましたが、それでも外から見る限りはほぼ満席。記念乗車証の配布や、紀伊長島駅でHC85系と並べての展示は実施されるようなので、ウォーキング目当ての乗客はハナから少なかったということでしょう。
続いてやって来た、多気発紀伊長島行きの臨時快速。
むしろ純粋なウォーキング客は追加料金のかからないこちらに乗っていたのではないでしょうか。しかし中止となってはせっかくのロングシート車も持て余し気味、4連で数人の乗車といったところでした。
さて、キハ85系の「ウォーキング号」は紀伊長島で乗客を降ろした後、展示までの間、定期列車をやり過ごすためにいったん大内山に折り返し回送されます。
短時間で効率よく撮れるということで、先ほどの鉄橋回りには数人の撮影者が待ち構えていました。
回送列車がゆっくりと通過して行きます。
知らなければ高山本線と言ってもバレないかもしれません。
一通りの撮影を終え、徒歩で大内山駅へ向かいます。
比較的駅間距離の長い紀勢本線ですが、この梅ヶ谷~大内山間の営業キロは3km弱で線路沿いに道路が並行し、徒歩移動にもやさしい距離です。
大内山で折り返し待機中のキハ85系4連。
この移動中にHC85の回送が紀伊長島へ下ったようですが、踏切と列車の音が聞こえただけで、タイミングが悪く遭遇できませんでした。
駅前は追っかけの車で一杯で、しばし撮影会状態。
キハ85系がこのような小駅に停車する機会ももうないのかもしれません。
ここでは回送列車が「南紀3号」を退避。
ということで、ホームを挟んでキハ85同士の追い越しが見られます。
正午を迎えた大内山駅を、ダブルヘッダーの「南紀3号」が回送を待たせて通過します。
キハ85系同士の交換はまだ各所で見られますが、追い越しはあまり聞いたことがありません。
また、非貫通型先頭車は京都丹後鉄道に譲渡されたので今後も活躍が期待されますが、この貫通型先頭車は保存されるかどうかも現時点では決まっておらず、今日はこの貫通顔を重点的に撮ると決めていました。
まだしばらく停まっていたので、駅の反対側に回り込んでみます。
発車準備が整い、ゆっくりと折り返し紀伊長島へ向かう回送列車。
キハ85が駅を去った途端、あれだけ居た撮影者はあっという間に居なくなり、
再び元の静かな大内山駅に戻りました。
昼食の時間です。
付近に商店はないので松阪で調達しておいた「モー太郎弁当」を開けます。
全国に牛肉系駅弁は多々ありますが、冷めると脂が固まって味が落ちてしまうのが難点。しかし、この松阪駅弁は工夫を重ねられているのか冷めても美味しいのが特徴で、あっという間に平らげてしまいました。また、どういうわけか(?)オルゴールが内蔵されていて、開封すると「ふるさと」のメロディーが流れるのですが、それがまたこの小駅にはとても似合っていました。
しばらくすると、多気行きの臨時快速が通過。
行きに撮った列車の折り返しです。
紀勢本線ではキハ25の4連も多客時を除けば貴重ですから、撮っておいて損ではありません。
ここからはしばらく列車がないので、駅周辺を散策します。
駅前に二軒の元商店。
かつてはこのお店で土産物を求めて列車に乗り込む、という光景が展開されていたのでしょう。
少し駅から歩けば、こちらは現役と思しき旅館。
ここが熊野古道であることを実感させられます。熊野古道はいままで断片的に歩いたことはありますが、せいぜい撮影や駅巡りのついでに1~2駅間くらいを歩いたくらいで、いずれ参拝を目的としてじっくりと歩いてみたいものです。
42号線を少し歩くと「大内山ミルク村」に着きました。
工場や牧場は駅の裏手にありますが、販売店は国道に面したこちらにあります。
ソフトクリームと、ご当地大内山牛乳を。
撮影の暑さでバテ気味だったので助かりました。自販機は松阪駅ホーム上にもありますが、やはりビンの方が雰囲気が出ます。ビンの牛乳、ひょっとすると初めて飲んだかもしれません。
さて、大内山からは三重交通バスに乗車します。
今回は「青空フリーパス」使用ですが、下り列車はまだしばらく来ません。どうせなら並行しているバスで紀伊長島に先回りしようと思った次第です。
というわけで、大内山バス停です。
「停留所控室」とありますが、元は店舗などが入居していたのでしょうか。いまは窓も塞がれ立ち入りはできず、入り口前にベンチがあるので雨風はしのげますが、蜘蛛の巣が張っていて近寄りにくい雰囲気です。
2018年に廃止された「南紀特急」の看板が未だに残っています。
入れ替わりに登場したのが、これから乗車する松阪熊野線(熊野古道ライン)。本数こそ少ないものの(1日3往復)、路線バスとしては奈良交通の八木新宮特急に次いで日本で2番目の走行距離を誇ります。
待つことしばし、予定時刻を10分ほど過ぎてやって来ました。
これも長距離路線の宿命でしょうか。特急列車の盛況に対してこちらの乗客はゼロ、来た道を通り過ぎ荷坂峠を目指します。
トンネルを抜けると、
眼下に熊野灘が広がります。ここが伊勢国と紀伊国を隔てる荷坂峠、古くは難所であったのも頷けます。この区間にはもう一つ峠があり、それがウォーキングで予定されていた熊野古道ツヅラト峠ですが、こちらもツヅラト(つづら折れ)ですから厳しい道のりに変わりはありません。また、鉄道では梅ヶ谷と紀伊長島の間は実に200m近い高低差があり、オメガカーブで高度を稼ぎながら結んでいます。鉄道は帰路の楽しみにとっておきましょう。
やがて紀北町の市街地に差し掛かり、その端に位置する新長島橋で下車。
赤羽川の河口に架かる鉄橋でキハ85系の回送を狙います。先ほど大内山から紀伊長島に向かったキハ85は、展示を終えるといったん船津まで南下してからまた折り返し回送されるようで、最後にもう一枚沿線撮影を。
遠くには熊野灘。
この日は朝から山ばかりでしたが、最後の最後にようやく海が見えました。
帰りの列車に乗るため紀伊長島駅まで歩きます。
ようやく辿り着いた紀伊長島駅。乗り換えでホームに降り立ったことはありますが、駅舎を眺めるのはこれが初めて。
つい先ほどまでキハ85とHC85を並べての展示会が行われていたこともあり、駅にはまだ賑わいが残っていました。
帰りに乗るのは、「Hello! NEW NANKIウォーキング号」。
よく考えれば「NEW」を謳いながらも旧型のキハ85を使用しているのが妙なところですが、たまたま数日前に窓側の切符が取れたので乗車します。JR線上でキハ85系に乗るのは自分にとってはこれが最後かもしれません。
幕は「臨時」ですが、その実は南紀81/82号のスジを紀伊長島発着に短縮しただけで、停車駅も全く同じ。今月運転予定の「ありがとうキハ85系南紀号」も同じスジのようですが、途中駅での乗降はできないようですね。
車内は定期列車とは異なり今度は鉄ヲタが8割といったところで、走り始めた列車は、荷坂峠を力強く登っていきます。
地形の険しさを外から見たからこそ、今まさに坂を登っているという実感がするもので、これはHC85系でも体感してみたいところ。トンネルを抜けると行きに降りた梅ヶ谷駅を通過し、大内山でHC85の回送を追い越し、紀勢本線を一路北上していきますが、乗り心地の良さについウトウト……
目が覚めると伊勢鉄道線内を走行していました。
山間部から3セクの高規格路線、近鉄と競合する都市部と変化に富む車窓が「南紀」の魅力でしょう。途中での下車はほとんどなく、反対に四日市、桑名からも多少の乗車があり、キハ85系の集客力を見せつけられます。
紀伊長島から約2時間半、終点の名古屋に着きました。
幕はすぐに回送表示となりましたが、さすがに多くの人だかり。
今回は沿線でたくさん撮影ができたので、駅での撮影は程々に、家族へのお土産を買ってから今度は「ひだ17号」に乗り換えます。
初めましてのHC85系です。
7月からは「NEW NANKI」にもなるわけで、このあたりでそろそろ乗車をと思い、今回は岐阜まで。
形式こそ電車と同じ「モハ」が与えられていますが、床下から響くエンジン音はやはり気動車そのもの。しかし車内はいたって静かで、走り始めたときも同様。キハ85系が大柄で力強さを感じさせるのに対し、HC85系はスマートできびきびとした走りで、座席の硬さは否めませんが、巷で言われている通り車内はN700系を在来線用に仕立て上げたような印象で、「ワイドビュー」の愛称こそ外れたものの、側面窓も十分大きく眺望は良好。新時代を走るキハ85系の後継に相応しく、これが10連を組んで飛騨路に挑む姿を見てみたくなりました。そんなことを思いながらあっという間に岐阜に到着、あとは米原行きの特別快速と新幹線を乗り継いでいつも通りの帰洛。
新旧の特急型気動車を乗り比べたわけですが、京都丹後鉄道で再デビュー予定のキハ85系も楽しみですし、HC85系の「大阪ひだ」にも早いところ乗車してみたいものです。つまるところ、好きな車両(列車)はどこに行っても好きですし、その後継もやはり好きなのです。(笑)
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