西尾治子 のブログ Blog Haruko Nishio:ジョルジュ・サンド George Sand

日本G・サンド研究会・仏文学/女性文学/ジェンダー研究
本ブログ記事の無断転載および無断引用をお断りします。
 

秋元千穂先生がご逝去されました

2015年02月05日 | 手帳・覚え書き
1月28日の早朝、G.サンド学会員でおられ、慶應大、神奈川大、洗足大などで教鞭を執られていらした秋元千穂先生がご逝去されました。

秋元千穂先生は、パリ第八大学で「メルヴェイユー」について博論を書かれ、2003年に本学会が出版した『十九世紀フランス女性作家 ジョルジュ・サンドの世界』(第三書房、日本ジョルジュ・サンド学会 生誕二百年記念)のためには、秀逸なご論考を寄稿下さいました。

http://books.rakuten.co.jp/rb/1567608/

2004年、フランスから6名のサンド研究者を招聘して開催した国際シンポジウム「ジョルジュ・サンドの二十、二十一世紀への遺産̶̶ー芸術と政治」においては、サンドの後期劇作品について、堂々とフランス語で発表されました。
http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php/AN10030184-20060331-0137.pdf?file_id=12833

さらに、2006年に科研費を取得し出版された国際シンポジウムの論文集 Les heritages de George Sand aux XXe et XXle siècles - Les arts et la politique (全仏文)にも「La question des femmes dans les Contes d'une grand-mère」と題する卓越したご論文を寄稿下さいました。
http://www.keio-up.co.jp/np/detail_contents.do?goods_id=1114


お授業や華道のお仕事でご多忙の中、時間の都合のつく限りサンド学会にもお運び下さり、ご高齢の学会員には駅まで付き添うなど気配りされるなど、秋元先生のお優しい性格を懐かしく思い出されておられる方もいらっしゃることと思います。

遺作となった『パリで逢った人』は、秋元さんによれば、「亡夫が研究していたテォフィル・ゴーティエの娘、ジュディット・ゴーティエと、西園寺公望、そして若くして亡くなった光明寺三郎の友情と、その友情から生み出された和歌の仏訳『蜻蛉集(せいれいしゅう)』にまつわるお話」とのことです。是非、一読なさってみて下さい。(光文社・1296円税込み)




               ーーーーーー


 2月4日、秋元千穂先生のお通夜に参列いたしました。

 数年前に48歳の旦那様を亡くされ、千穂さんの方が少し年下でいらしたと思うので、50歳になっておられたかどうか、その若さで小学4年生と今年、中学生になる二人の息子さんを残し、マリア=テレジアとなられてご昇天されました。

 教会にはお子さんのご友人とご父兄も大勢いらしていて、盛大でした。綺麗な賛美歌が終始、会場を流れ、悲しみが一際深く感じられました。
 ご主人様のご葬儀の時も同じ教会でしたが、千穂先生がすべてコーディネートされたのでしょう、経歴、病歴の丁寧な説明、弔電の披露、千穂先生の詩の朗読などがなされましたが、お通夜では一切無しでした。葬儀のときになされたのかもしれませんが、おそらく、悲しみのあまり、ご両親はご葬儀を取りおこなうだけで精一杯でおられたのでしょう。

 六年前に乳がんが見つかり、昨年は5年が経過したからもう大丈夫だと安心しておられた矢先の七月、卵巣に転移、夏休み中に手術をされて、抗がん剤が効くとご本人は喜んでいらしたそうです。12月のクリスマスには三作目の小説を出版、一月には集中治療室だったそうですが、12月中にきちんと大学の成績も付けられ、やるべきことは全部、きちんと終えて旅立たれたそうです。 お棺の中の千穂さんは、やはりお痩せになられて、「もう一度生き返らせて!」「なぜこんな理不尽なことを!」と叫びたい気持ちに駆られ、深く合掌せずにはいられませんでした。

 ご高齢のお父上様が涙ながらに、どこまでできるかわからないが、東京で二人のお孫さんを育てて行くと決意を述べられ、会場の皆さんの涙を誘っていました。どうしても東京に残りたいとお孫さんたちが譲らなかったのだそうです。お子さん達にしてみれば、ご両親もいなくなり、お友達もいない未知の場所に行くことは到底、耐えられないことだったのでしょう。華道のお家元でおられ、多忙なご母堂様は、御殿場の仕事場と東京を往復されるのだそうです。

 心よりご冥福をお祈り申し上げます。



 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« スタール夫人の言葉 | トップ | L’Âge des cénacles.Confrate... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

手帳・覚え書き」カテゴリの最新記事