西尾治子 のブログ Blog Haruko Nishio:ジョルジュ・サンド George Sand

日本G・サンド研究会・仏文学/女性文学/ジェンダー研究
本ブログ記事の無断転載および無断引用をお断りします。
 

リマンダー:仏文学会2017年度秋季大会è10月28日(土)10月29日(日)名古屋大学

2017年10月27日 | 手帳・覚え書き


2017 年 10 月 28 日(土)・2017 年 10 月 29 日(日)
会場:名古屋大学 全学教育棟(本館)
〒464-8601 名古屋市千種区不老町 1

東山キャンパス

名古屋駅 → 地下鉄東山線 藤が丘駅行き(15分)本山・下車→地下鉄名城線右回り(2分):名古屋大学駅・下車 出口すぐ 全学教育棟(本館)

http://blog.goo.ne.jp/csophie2005/e/ddd7e2eaac81d6da9e64b821db99a65a


ワークショップでは知り合いの先生方がご登壇されますが、同時間帯の開催が残念なところです。


ワークショップ 10月29日(日)  10:00-12:00 1階・2階

ワークショップ2
1階 C11 教室
19 世紀フランス文学における「男らしさ」の危機
コーディネイター: 梅澤礼 (富山大学)
パネリスト: 村田京子 (大阪府立大学)   高岡尚子 (奈良女子大学)
 男らしさ virilite´ とは、単なる生物学的な性質とは異なり、男が維持し示すべき身体的・道徳的・性的な特質のことをいう。2011 年に出版され、現在邦訳がなされている『男らしさの歴史』は、中世から現代までを専門とする総勢 40 名の研究者による全 3 巻の大作であり、このテーマがフランスの歴史文化においてどれだけ豊かな鉱脈であるかを物語っている。
 このうち 19 世紀を舞台にした第 2 巻では、男らしさがさまざまな場所で誇示されていたようすが、「男らしさの勝利」という副題のもと示されている。しかし同時代の文学作品に目を向けてみると、必ずしもこのことを裏付けるものばかりとは限らないというのが実際のところである。
19 世紀フランス文学において、男らしさはどのように描かれていたのか。それはどのように、第 3 巻の副題ともなっている「男らしさの危機」を準備したのだろうか。
 梅澤は、男らしさの特徴のひとつである力を付与する場所であったはずの監獄や徒刑場から、男らしさの危機がどのように生まれ増殖していったのかを、囚人の証言やパノラマ文学、医学研究などから明らかにする。村田は、ロマン主義時代、男の理想像として描かれてきた両性具有的な存在(若い娘のような美しさと強靭な肉体的・精神的力を合わせ持つ)が次第に退廃的な存在として、男らしさの危機の表徴とみなされていく過程を追う。高岡は、あえて、virilite´ を発揮できていないように見える男性登場人物に注目し、欠如が表面化する過程とその結果について、おもに、sexualite´ と feminit ´ e´ との関係から考察する。

ワークショップ6
2階 C20 教室
19 世紀文学とジャーナリズム
コーディネイター: 佐々木稔 (愛知学院大学非常勤講師)
パネリスト: 鎌田隆行 (信州大学)   中島淑恵 (富山大学)
19 世紀フランスは、文学がジャーナリズムの影響を著しく受けた時代である。実際、一部の文学者を例外として、1840 年代以降において文学者であることは、ジャーナリズムにおける日々の活動を前提とするものであった。このことは、何よりもまず、文学が利益追求を第一義とするブルジョワ的価値観に順応しなければならなかったことを意味するが、同時に、ウージェーヌ・シュー、バルザック、モーパッサン、ゾラの例が典型的に示しているように、文学者が新聞や雑誌を通して、従来よりも広い読者層を獲得する可能性を有していたことをも示している。こうした歴史的条件を考慮するならば、ジャーナリズムと文学との関係を具体的に検討することは、19 世紀文学の理解を進めるうえで重要な作業であると言える。こうした問題意識を踏まえ、本ワークショップは以下のように 3 人の作家に焦点を当てた発表を行う。これによってジャンル(コラム、小説、詩など)、時期、研究手法の異なる、幅の広い問題提起ができると考えている。
 鎌田は、バルザックにおける「パノラマ文学」の問題の考察を試みる。執筆陣の構成、編集者のイニチアチブの重要性、アクチュアリティー寄りの主題の重視という点でジャーナリスティックな性質の強い「パノラマ文学」の展開にバルザックが深く関与し、それは『人間喜劇』の計画にも大きな影響を及ぼした。この作家における 1) 職業別社会風俗等「パノラマ文学」それ自体、2) 再利用による小説への部分的導入、3)「パノラマ文学」と小説の融合を図った作品形態を検討する。
 佐々木は、第 2 共和政期におけるボードレールのジャーナリズム実践について検討する。この時期のボードレールは、『公共福祉』、『演劇週報』のように、自らが新聞・雑誌の作り手として積極的に関わろうとするなど、他の時期には見られない固有の特徴を示している。本発表では、特に文芸雑誌『演劇週報』に焦点を当て、これに関わっていた人物、掲載記事の傾向などについて具体的に検討し、当時のボードレールの問題意識を浮き彫りにすることを目指す。
 中島は、ニューオリンズ時代のラフカディオ・ハーンが新聞に掲載したコラムのうち、ヘルン文庫(小泉八雲旧蔵書)に収蔵されているフランス語本が出典となっていると思われるものを紹介する。これらのコラムは無署名であり、ハーンの筆になるものと断定する根拠は従来、句読点の用い方や文体などに依拠していることが多いが、それを蔵書あるいは蔵書の書き込みからある程度確定できるのではないかと考えられるからである。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする