カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

先頃ライラックが前庭に咲いたとき

2008-10-20 16:10:32 | Weblog
 メモです。。。

(以下、引用させていただきます)

Newsletter No.98(15 February 2007)
リリース情報
http://www.nordicsound.jp/newsletter/newsletters/newsletter98.htm

(前略)

nosag records CD125 スティーヴ・ドブロゴス (1956-)
 先頃ライラックが前庭に咲いたとき (When Lilac Last in the Dooryard Bloom'd) (2000) (合唱と管弦楽のための歌)
  聖ヤコブ教会室内合唱団 ウプサラ室内交響楽団
  ゲーリー・グレイデン (指揮) スティーヴ・ドブロゴス (ピアノ)
  [録音 2005年11月13日 ウプサラ大学講堂]
  [制作 ステラン・サグヴィーク  録音 オルヴィング・ヘレブルー]

◇アメリカ合衆国ノースカロライナ州ローリーに育ち、1978年からストックホルムに住むスティーヴ・ドブロゴス Steve Dobrogosz (1956-)。ストックホルムの王立音楽アカデミーで学び、現在、スカンディナヴィアのジャズ・シーンに欠かせないピアニスト、作曲家として活躍しています。1990年代からはクラシカル音楽の作曲家としても作品を発表。25の国で演奏され、若者からも支持された〈ミサ曲〉 (1992) (Phono Suecia PSCD107)。抒情的なメロディとハーモニーが特徴的な〈レクイエム〉 (2001) と〈テ・デウム〉 (2002) (nosag records CD093)。“今日の”作曲家ドブロゴスの音楽は人々から愛されています。

 〈先頃ライラックが前庭に咲いたとき〉はドブロゴスが2000年に書いた作品です。リンカン大統領の死を悼むウォルト・ホイットマン Walt Whitman (1819-1892) の抒情詩をテクストに“合唱と管弦楽のための歌”として作曲されました。

 「When lilac last in the dooryard bloom'd, And the great star early droop'd in the western sky in the night, I mourn'd, and yet shall mourn with ever-returning spring (先頃ライラックが前庭に咲き、大きな星が時ならず西の空に沈んだとき、わたしは嘆き悲しんだが、しかし蘇ることをけっして忘れぬ春とともに悲しみも蘇りつづけるだろう)」 (Walt Whitman: Leaves of Grass - When lilac last in the dooryard bloom'd ウォルト・ホイットマン「草の葉」 から「先頃ライラックが前庭に咲いたとき」 酒本雅之・訳 岩波文庫 赤 309-2 p.345)

 「『ライラック…』が合唱交響曲として歌ってくれ、と叫んでいる」

 ドブロゴスは、ホイットマンの詩で象徴的に使われるライラックと星と鳥をガイドに、みずからを“歌い手”と呼んだホイットマンの詩に“メロディ”を聴きながら、〈ライラック…〉の音楽をイメージしていきました。“前庭のライラックの手入れをしながら”ハミングで歌う歌。高らかに響くアメリカーナのメロディ。“ホイットマンの詩と折り合いのよくないポストモダニズム”の音楽は、慎重に避けられています。

 6つの部分からなる、演奏時間79分56秒の作品。ウプサラ大学で初演が行われたのは2005年11月10日。アメリカ生まれ、ドブロゴスの親友のゲーリー・グレイデン Gary Graden (1955-) が指揮しました。グレイデンは、エーリク・エーリクソンに学んだ合唱指揮者。聖ヤコブ教会室内合唱団を率い、教育者としても活動しています。ウプサラ室内交響楽団は、ルーマンの〈ドロットニングホルムの音楽〉 (Naxos 8.552733) を録音したウプサラ室内管弦楽団が母体となったオーケストラです。

 この作品の底本には、「草の葉」の“臨終版 (death bed version)” (1892) が使われました。〈ミサ曲〉〈レクイエム〉〈テ・デウム〉と違い、この音楽を味わうためにはホイットマンの詩への理解が欠かせず、ブックレットには原詩の全文が掲載されています。岩波文庫から出版された酒本雅之氏の新訳 (前述) も、大きな助けになるでしょう。

 タイトルは酒本雅之氏の訳にしたがい、〈先頃ライラックが前庭に咲いたとき〉としました。"last" は、"最後に" とするよりも "先頃" とするほうが詩の内容に沿っているように思います。

 〈先頃ライラックが前庭に咲いたとき〉をテクストとする音楽はヒンデミットとロジャー・セッションズ Roger Sessions (1896-1985) も書いています。《愛する人びとへのレクイエム》の副題がつけられた、第2次世界大戦の犠牲者を悼むヒンデミットの作品 (1946)。カリフォルニア州立大学バークリー校から委嘱を受け、暗殺されたマーティン・ルーサー・キングとロバート・ケネディを追悼するセッションズの作品 (1964-70)。両曲ともタイトルは〈先頃ライラックが前庭に咲いたとき〉です。

(後略)

 *****

ドブロゴス(Steve Dobrogosz 1956- )作品CDリスト
http://www2u.biglobe.ne.jp/~y-koba/dobrogosz01.htm

<管弦楽>
Underture
アンダーチュア
Stockholm Chamber Orchestra/ Gary Graden(dir)
ストックホルム室内管弦楽団/ゲーリー・グレイデン(指揮)
Phono Suecia PSCD107
 
<室内楽>
Inland
内陸
Yggdrasil Quartet
イグドラシル四重奏団
Phono Suecia PSCD107
 
Resting Place
憩いの場所
Per Andersson(ob)/ Steve Dobrogosz(p)
ペール・アンデション(ob)/スティーヴ・ドブロゴス(p)
Phono Suecia PSCD107
 
The Quiet
静寂
The Vadeaux Quintet
ヴァドー五重奏団
Phono Suecia PSCD107
 
<合唱>
Mass
ミサ曲
St.Jakob's Chamber Choir/ Stockholm Chamber Orchestra/ Steve Dobrogosz(p)/ Gary Graden(dir)
聖ヤコブ教会室内合唱団/ストックホルム室内管弦楽団/スティーヴ・ドブロゴス(p)/ゲーリー・グレイデン(指揮)
Phono Suecia PSCD107
 
Requeim
レクイエム
Hanna Holgersson(S)/ St.Jakob's Chamber Choir/ Royal Stockholm Opera/ Gary Graden(dir)
ハンナ・ホルゲション(S)/聖ヤーコブ室内合唱団/王立ストックホルム・オペラ管弦楽団/ゲーリー・グレイデン(指揮)
nosag CD093 (2004)
 
Te Deum
テ・デウム
Hanna Holgersson(S)/ St.Jakob's Chamber Choir/ Royal Stockholm Opera/ Gary Graden(dir)
ハンナ・ホルゲション(S)/聖ヤーコブ室内合唱団/王立ストックホルム・オペラ管弦楽団/ゲーリー・グレイデン(指揮)
nosag CD093 (2004)
 
<歌曲>
Shells
貝殻
Annika Skoglund(S)/ Steve Dobrogos(p)
アンニカ・スクーグルンド(S)/スティーヴ・ドブロゴス(p)
Phono Suecia PSCD107
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