カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

詩人と小説家。

2022-04-21 18:44:14 | Weblog
たしか、作家開高健さんが亡くなったとき 、夫人の牧羊子さんが、生前の開高さんを偲びつつ綴られたエッセイのなかで、開高文学晩年期の傑作の一つ、短編小説『一日』に触れて、〈あの作品を読んだとき、ああ、あの人は小説家として生きたけれども、本質はやはり小説家ではなくてずっと詩人だったんだと思いました。〉ということを書かれていた。当時十代の私は、小説を書いてきたひとの本質が小説家か詩人かということをそれまであまり深く考えたことがなかったから、〈開高さんがずっと詩人だった〉という牧さんのことばがえらく新鮮に感じられて、胸奥の記憶の底に印象深く残った。最近、そのことを唐突に思い出した。それは、志水辰夫先生の傑作『行きずりの街』を読み終えたときだった。志水先生は開高さんと同様に根っからの〈詩人〉だと私は感じて、なぜだか無性に嬉しくなった。


今朝は、仕事場に向かいながら、胸奥でピアノ協奏曲が鳴った。取り敢えずメモしてみた。
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