仕事休みをいただいた今日は、昼間、池袋の古書往来坐へ。晩年の福永武彦先生が、堀辰雄氏の生い立ちの秘密ー実の父親の存在ーに関する堀辰雄氏自身の認識を軸に、中野重治氏、佐多稲子氏、その他研究者らの証言、調査、論文などに綿密な考証を加え、堀辰雄という孤独で温かな魂を持った不世出の作家の人間像を明らかにされた長編エッセイ『内的独白』(河出文庫)を購入。生い立ちの秘密といえば、福永先生ご子息池澤夏樹先生が朝日新聞朝刊に連載されていた小説『また会う日まで』がつい先日完結されたばかりだが、池澤先生はこの小説のなかで、福永先生の生い立ちの秘密ー実の父親の存在ーを詳細に描かれた。だから、福永先生ご自身、残り少ないいのちの時間のなかで、堀辰雄氏が自分の父親を実父と信じていたかどうかについての考証考察を記述されながら、ご自身の生い立ちについてもさまざまに思いを巡らせられたのかもしれない。
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