カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

短歌8首。

2018-04-14 19:50:48 | Weblog

短歌8首。

詞書(秋原警部の同僚、銭形警部が待ち受けているニューロンドン駅の九十八番ホームには、隣国から到着するはずの護送列車はなかなかやって来ない)

夕映えの駅のホームで齧(かぶ)り付くアンパンの美味さよ はるけき線路よ

詞書(ニューロンドン駅の九十八番ホームで護送列車を待っている銭形警部。さっきアンパンに齧(かぶ)り付いてから、どうも腹の調子がおかしい。強烈な便意が波のように襲ってきては、肛門括約筋をぎゅっと引き締めて耐え忍ぶこと数回。とうとうこらえ切れずに駅のトイレに駆け込むが、どういうことか洋式トイレの便器フタが便座にしっかりくっついて上げることが出来ない)

接着剤を便座に塗ったのか馬鹿野郎! こちらは焦ってズボン下ろしてるのに

詞書(便座と便器フタがしっかりくっついていてどうにもこうにもフタを上げられず、苦悶の表情を浮かべて便器を見つめる銭形警部。そのとき、銭形警部の頭上の天井板でゴトリと音。銭形警部がハッと上を見ると、するすると縄梯子が下りてくる)

持つべきはやっぱり友か!? 峯不二子に伴われわしは女性便所に

詞書(カリオストロ公国の首府を今朝早く発ってきた特急列車が夕刻のニューロンドン駅97番ホームに入ってくる。ちょうどそのとき改札から98番ホームに駆け込んでくる埼玉県警本部出身の春山刑事の姿あり)

《銭形さ~ん!!》春山刑事のメガホンに大陸列車は汽笛鳴らせり

詞書(ニューロンドン駅の構内の女性トイレで用を足していた銭形警部は、メガホンで自分の名前を呼んでいる春山刑事の声に気付いて、慌ててトイレットペーパーをがらがらがらがら廻す。が、なんということか紙がない!!!トイレの扉の外に立って見張ってくれている峯不二子に気付いてもらおうにも、大声で不二子に知らせて自分が女性トイレで用を足しているのが大勢にばれるのはまずい。不二子よ、気付いてくれたまえ。銭形警部の脳裡にありとあらゆる神が浮かんでは消え、浮かんでは消えする。そんな中、突然幼き日に一度だけ旅行で訪れた北海道の室蘭教会の様子が思い出されて)

おおぅ、神よ、わが窮状を助けたまえ。。。ギリシャ正教室蘭(むろらん)教会!

詞書(トイレの水を流す音がした。《ふうう。。。》と息をつきながら扉を開けて銭形が出てきた。《うまく拭けてよかったわ。。。ちゃんと手を洗ってよ。洗面台はそこだから》不二子が入口の近くを指差す。《おーし、わかった》銭形はのしのしと洗面台に行ってごしごしと手を洗い始めた。《それで。。。》不二子は銭形のうしろから声を掛ける。《なにがわかったのかしら。。。》銭形は不二子を振り返る。《不二子さんは、あのハンカチをホテルの前の屋台のおやじに貰ったそうだが、そいつがルパンなんだ》《えっ!?》《マスクをしたメロンの図柄は特別な図柄なのだ。ルパンがすでに王党派メロンという秘密結社に入り込んだというたしかな情報がある。今回ルパンは王党派メロンが守っている秘密のお宝を狙っとるのだ。それをわしは追いかけとるわけだ》ここまで話して銭形はハッとした。いきなり声が大きくなる。《。。。。いかん!!!、しゃべっちまったじゃないか!!!!》その声を聞きつけたメガホン刑事こと春山刑事は、上司銭形警部の声のしたその方角に向かって猛然と走り出す)

メガホンを櫂にし人を掻き分けて春山泳ぎぬ 女性便所へ

詞書(銭形と春山は、不二子に別れを告げてニューロンドン駅からお城に急行する)

蜘蛛型の発信機つけたるパトカーは都の暗き街路を走りぬ

詞書(わたし〈この「わたし」は私ではない。〉がお后さまの気付け用のワインをグラスに注ぎ、お盆に載せてお城の廊下を通りかかったとき、《ちょっと失礼、そこのあなた》と男はわたしを呼び止めた。《毒見せなあ、いかんでしょ》とわたしのお盆のグラスを奪い、立ったまま一気にあおった。そしてすぐに昏倒した。傍らに居たもう一人の男が慌てて《春山、春山》と声を掛けて男の肩を揺すったがぴくりとも動かない。倒れた男のコートのポケットからは、《寺山修司全歌句集》の文庫本が零れ落ちそうになっていた。時刻は五月四日午後九時二十分)

五月四日ならずものに毒盛られ春山君死す 奇しくも修司忌



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春の短歌。

2018-04-14 05:41:58 | Weblog
河野美砂子さんの歌集『無言歌』所収の短歌作品から、「春」のうた。

壁ぎはに鳴るまへの寡黙ふかめたる春山さんの碧いチェンバロ  河野美砂子(歌集『無言歌』所収)

 ***

拙作から。

(トイレの水を流す音がした。《ふうう。。。》と息をつきながら扉を開けて銭形が出てきた。《うまく拭けてよかったわ。。。ちゃんと手を洗ってよ。洗面台はそこだから》不二子が入口の近くを指差す。《おーし、わかった》銭形はのしのしと洗面台に行ってごしごしと手を洗い始めた。《それで。。。》不二子は銭形のうしろから声を掛ける。《なにがわかったのかしら。。。》銭形は不二子を振り返る。《不二子さんは、あのハンカチをホテルの前の屋台のおやじに貰ったそうだが、そいつがルパンなんだ》《えっ!?》《マスクをしたメロンの図柄は特別な図柄なのだ。ルパンがすでに王党派メロンという秘密結社に入り込んだというたしかな情報がある。今回ルパンは王党派メロンが守っている秘密のお宝を狙っとるのだ。それをわしは追いかけとるわけだ》ここまで話して銭形はハッとした。いきなり声が大きくなる。《。。。。いかん!!!、しゃべっちまったじゃないか!!!!》その声を聞きつけたメガホン刑事こと春山刑事は、上司銭形警部の声のしたその方角に向かって猛然と走り出す)

メガホンを櫂にし人を掻き分けて春山泳ぎぬ 女性便所へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安部公房氏の作曲。

2018-04-14 05:37:35 | Weblog
「安部公房」氏(ウィキペディア)の記事より。。。

(前略)
ロック・バンドピンク・フロイドの大ファンであり、まだ普及する以前にシンセサイザーを購入して使用していたなど意外な一面を持っていた(その当時シンセサイザーを所有していたのは冨田勲、NHK(電子音楽スタジオ)、そして安部の3人のみだったが、職業的な面以外で使用していたのは安部のみである)。また、安部が武満徹に自身で作曲した前衛的な曲を聞かせたとき、武満の顔が真っ青になったという逸話もある。NHKで放送されたインタビュー番組では、所有機で自身の演劇作品のためにみずから製作した効果音等を公開している。クラシックの作曲家ではバルトークを好んでいた。
(後略)

 ☆☆☆

>安部が武満徹に自身で作曲した前衛的な曲を聞かせたとき、
>武満の顔が真っ青になったという逸話もある。

 安部さんの作曲、興味深いです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする