モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

リトグラフ再び

2024-03-18 14:43:07 | 小学生 絵画

オバラです。2・3月の二ヵ月掛けて制作中のリトグラフが、完成してきました!
お正月休みにさんざんもったいぶって書き連ねたリトグラフの作り方、小学生バージョンを一気にご説明します。(リトグラフ戦記もご覧ください。)

①今回の絵のテーマはお話づくり。思い思いの言葉をカードにしたため、くじ引きをします。どんなカードが出るかな?(下の写真の子は『あさ』『川で』『クマが』『子びとと』というカードをひいたようです↓)

②左 ひいたカードでお話を考え、そのワンシーンを絵にする。絵本の1ページのようですね。

③右 講師が下書きを板に合わせて面白い構図になるようトリミングしたところ。(緑の線が板の大きさ)
黒のカーボン紙では後に黒のソリッドマーカーでなぞる時に、どこを描いたか同色で分かり辛いので、日本画の念紙に使う水色のカーボン紙を使用しました。

④ソリッドマーカーでなぞる。ソリッドマーカーはクレヨンのような画材なので、かすれたグレートーンも簡単に表現できます。

⑤黒と黒で境目が分かり辛くなってしまった所は、彫刻刀で線を削る(混じらなかった子は彫刻刀は使いません。)
※ソリッドマーカーが完璧に定着するまで、この後1週間放置。

⑥左 ソリッドマーカーで描いた線を踏まないように、アラビアゴムを塗る。グレーの所は、薄めたアラビアゴムを塗りました。
どの資料にも『全体に塗る』と書いてあるのですが、数多な実験の末、ソリッドマーカーの線を踏まないようにアラビアゴムを塗るのが一番良い結果になりました。
※アラビアゴムが完璧に定着するまで、この後1週間放置。

⑦右 ソリッドマーカーで描いた線の上についてしまったアラビアゴムを取る為、水を掛けてボロ布でゴシゴシこする。力強くこすっても、板についているアラビアゴムはしっかり食いついている為に取れず、油性のソリッドマーカーの上についてしまった水性のアラビアゴムだけが取れます。

⑧もう一度ソリッドマーカーで描く。
どの資料にも『もう一度ソリッドマーカーで描く』とは書いてありませんが、これをやらないと薄くしか刷れませんでした。数多な実験の末(しつこい苦労自慢)、もう一度ソリッドマーカーでなぞるのが一番良い結果に。『それなら板にアラビアゴムを塗ってからソリッドマーカーで描けば無駄な作業が減るのでは?』は実験の結果、親水性の上に油性を乗せた為ケンカをして、水でこすっている時やインクを付けている時にペリッとソリッドマーカーの線が剥がれてしまいました。

『SK液というアラビアゴムを弱酸性にした液体の方が上手くいく』とどの資料にも書いてあり購入・実験しましたが、どうせ『⑥ソリッドマーカーで描いた線を踏まないように、アラビアゴムを塗る』『⑧もう一度ソリッドマーカーで描く』なら、SK液より安価なアラビアゴムで充分でした。

⑨たっぷり水を乗せる。左の写真では、ソリッドマーカーの線の部分は水が弾いているのが分かります。

⑩油性インクは角が立つくらいローラーにべったりつける。粘度が高いのでローラーにインクを付ける時は、子どもにパレットを押さえてもらいました。
右の写真、こんなにべったりインクをつけているのに、アラビアゴムで親水性にした板(地の部分)には全くインクが乗っていないことが分かりますね。水の力で油性インクを寄せ付けません!

⑪耐水性紙の上に画用紙を置き、その中央に板を置く。上からもう一枚、耐水性紙を被せ、逆さまにする。
つまり子どもに踏ませる時は、下から順に、耐水性紙・板・画用紙・耐水性紙となる。
新聞は弱いので、水で破けたり、はしゃいだ子どものハイパワーに持ちません。(丈夫な耐水性紙の上から踏んでいるにもかかわらず、何人かは画用紙のヘリが破けてしまったくらい。子どものパワーはナメちゃいかん。)
どの資料にも『紙は濡らして』と書いてありますが、実験の結果、薄手の画用紙(つまり版画専用紙=厚手ではない)を使えば、濡らすのは不要なことが分かりました。

⑫踏めふめー!(1・2年生に何度「いっせーのーせっ!」と飛ばせても、1回もタイミングが合わなくて可愛い!でもホントは飛んじゃダメ。『摺り足でこするように』が正解。)

じゃじゃーん!完成!小学生クラス137人、皆よく刷れとる!上手くいかずに唇を噛み締めた数カ月を思い出し、安堵の涙。(指南してくださった元土曜大人クラス山本さんありがとう!)
明日から完成作品をドドンとお披露目します。
3月最終週は、完成した版画に手彩色する予定です。(2枚刷ったので、1枚は白黒のまま、1枚は着彩。)刷り上った版画の上から 一点一点水彩絵具で 色を加えることを、手彩または手彩色と呼びます。カラフルバージョンは4月になってからのご紹介。お楽しみに!


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