上田 『強い光 強い影』 透明水彩
まだまだ日差しが強い日が続きますね、ナツメです。本日は日曜大人クラスの上田さんの作品をご紹介します!今回は水彩で2つの作品を同時進行で制作されました。
強い光が印象的な2枚ですが、どちらにも俯いて座っている人物が描かれており、その隣には寄り添うように小さなお地蔵様が置かれています。落ち込んでいる時は先に光があることに気づかないけれど、道を示し寄り添ってくれる存在がいるから1人じゃない。絶望ではなく、長いトンネルの先には必ず明るい未来があるというテーマの元に描かれました。
そのため、全体を通してテーマを強調するように明暗の差を意識して描かれたのがわかります。
左の絵では、俯きながらも光の方向に体を向けている女性が描かれています。青と茶色(オレンジ系)の色との補色対比をしながら、影となる部分の明度を下げてはいますが、彩度の高い鮮やかな色を置き、心が拓けるのはあと少しと暗示しています。
それに対して右の作品は、左と同様に大胆に明度差をつけつつも、全体的に深い緑系の色を使っています。光の黄色は彩度が高くまばゆいほどなのに、まだ光の存在にすら気づけていないことを示すかのように(もしくは「ほっといてくれ」と言わんばかりに)、人物は光に背を向け、彩度の低い重たい色を使った影の中に浸食しています。
ストーリーやコンセプト、絵を通して伝えたいことが明確にある場合、言いたいことをあれもこれもと盛り込んでしまうと、結果すべてが薄まり何が言いたかったか分からなくなってしまいます。まずは絞り込んだ少ないポイントに全力を注ぐと、上田さんの絵のような強く印象に残る作品になるでしょう。
最初の水彩画でしたが、ここまで気持ちを込められたのは素晴らしいですね!今後だんだんと描けるものが増えていく中でどんな作品が生まれるのか、楽しみにしています!