室橋 透明水彩
マユカです!今回は室橋さんの水彩画をご紹介していきます。
今回のモチーフは夜に開花するという百合の花。周囲が夜のような黒寄りの濃紺でじんわりと滲むように縁どられており、ふっくらと膨らんだつぼみは花開く時を待っているよう。一足先に咲いた白い花弁はまるで周囲に存在をアピールするかのように美しく映えていますね。室橋さんの透明水彩をご紹介した前回のブログでは、大竹先生が「水彩は慣れるまで沢山描く必要があります」と書いていましたが、見比べると画材の扱いにだいぶこなれた感があります。前回の絵は少々色に振り回されたような印象を受けましたが、今回は前後感や立体感といったリアリティが格段に上がった上、モノトーン系ということもあり使用色数の少なさが落ち着きのあるしっとりした魅力につながり、モチーフとの親和性があったのかなと感じます。
植物と水彩の親和性は、その儚さにあるように思います。花弁を描く際にふんわりと滲むようなタッチで描くことにより、触れたときの柔らかさや散ってしまいそうな脆さを画面から感じることが出来ます。繊細なテクスチャを入れてみるのもよし、水分量を調整して暗い場所はくっきりと、輪郭線を整えて描けば力強さ、見やすさを兼ねることすらできちゃいますよ。水分量の調節一つで絵の雰囲気は大きく変わってきますから、その調節になれるまで枚数をこなせばそれだけ上手くなるのでしょう。