今日は練りゴム(粘土のように柔らかい消しゴム)について
デッサンをする時、なくてはならないのが消しゴムです。何度も消した時に紙が痛まないように、練りゴムを使って消しますが、この練りゴム、実は間違えたものを消すだけではありません。鉛筆同様描く道具なのです。
例えばブロックのざらざら感を出す時、鉛筆でグレートーンを作ってから、先を尖らせた練りゴムでポチポチ抜く。鉄の鍋の黒くてツルツルした感じを出す為に6Bの鉛筆でガ-ッと真っ黒くしてから、黒くなってあまり消えなくなった練りゴムを蛇のように長くして転がし浮いた鉛を押さえる。球体の反射光を出す時、暗くした上から、少々汚れてきた練りゴムを平にして擦り鈍い明るさを出す。思いきって消したい時は新品を使う。など、どれも鉛筆だけでは表現できないものばかり。また同じグレーを作る時でも、鉛筆で2の濃さを作った時と3の濃さを作ってから練りゴムで1を引き2の濃さにした時では、明らかに質感が違います。どちらがいいと言う訳ではなく、幅の広い深みのあるデッサンをする為には両方を使いこなす必要があるのです。
わざとオーバーさせてからの引き算は失敗しそうで勇気がいりますし、一見無駄なように思えますが、プラスだけでは表現できない部分を補うなんて人生みたいですね・・・。
(どうした小原!?感傷に耽っている暇はないぞ!個展は大丈夫なのか?)