駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

翼を持ちたい

2014年12月23日 | 小考

           

 未だ薄暗いのに、新聞を取りに庭に出ると小鳥のさえずりが聞こえた。彼等の出勤時間は早いらしい。

 赤い鳥の「翼を下さい」は歌い継がれて行く名曲だ。誰しも翼が欲しいと思う時があるしあったと思う。

 確かに人には翼のある鳥が自由に飛んでいるように見える。しかし、鳥は決して自由に飛んでいるわけではない。鳥として生き延びるために、子孫を残し命を繋ぐために飛んでいるのだ

 自由に見えるとして、自由とはなんぞやと考え出せば、それこそ果てしない。意識があるから自由を感じるのではないかと思うが、とても私の脳に余る問題なので深入りはしない。

 ただ、想像力は翼と申し上げたい。歴史に、たられば、はないとよく言われるが、私はそんなことはないと思っている。たらればを想像することなしに、歴史を知ることに楽しみや魅力はないと思う。たらればはなぜと不可分に結びついており、想像力をかき立てられ人は歴史を辿り、歴史を学ぶと思う。何を言うか、歴史は小説とは違う想像は無意味と言われる学者には、一臨床医の言葉なんぞ歯牙に掛けられないとしても、一流にはなれないと申し上げたい。勿論、歴史だけでなく科学にも想像力は欠かせない。

 脱線、大口を叩いたけれども、今の若い人達に想像力の翼を持って欲しいと申し上げたかった。ちょっと想像力とは感じが違うかもしれないが、相手の立場になって考えることも大切な想像力だと付け加えたい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

百聞は一見に如かずでもない

2014年12月22日 | 診療

             

 今朝も寒い、幸い風がないので体感温度はさほどでもなく、手袋をして早足で駅までやってきた。いつもスカートのお姉さんが今日はスラックスでホームに立っていた。今年の仕事もあと五日、光陰矢のごとし。一年が早いねえと何度も聞く毎日だ。

 最近とみに疲れを感ずるのは高齢難聴者の診療である。答えのタイミング内容の合理性顔付きなどから、聞こえていないあるいは分かっていないと判断して大声を出したり、看護師が耳元で伝令をしたりして手間取る。高齢者は礼儀正しく相手のことを考える人が多いから、手間を取らせまいと適当に分かった振りで腰を上げそうになるのでとても気を遣う。

 私は応援団に居たわけではないので、大声を出すのは得意ではなくくたびれる。大声を出すのにはエネルギーを使う。それに後がつかえているのでイライラもする。其処へ行くと目の不自由な方は手間取らず、殆ど目の見える人と同じように診察できるので困らない。差し障りがある指摘かも知れないが目の不自由な人の方が耳の不自由な人よりも、感覚が普通でよどみなく診療できる。

 百聞は一見に如かずというのは、伝聞は実体験に如かずの意味だろうと思う。確かに目からの情報量の方が耳からよりも多いようだが、コミュニケーションに生きる人間の常識の醸成には耳からの情報の方が大きく関与しているようだ。それは言葉の力だと思う。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

きら星の中で

2014年12月21日 | 映画

           

 映画は洋画が好きだ。おそらく、子供の頃母親の好みで洋画を見ることが多かったせいだろう。吹き替えは嫌いで、必ず字幕で見る。最近は年に十本くらい見ている。

 女優と言えば美人で魅力的な人が多いわけだが、余り有名でない飾らない感じの人が好きだ。最近ではレア・セドゥとエイミー・アダムスがいいなと思っている。二人共美しい人だが、恐らく普段は地味で飾らない感じの人なのだろうと勝手に想像している。

 女優に会ったり話をしたりする機会はないのだが、自然に話の出来そうな秘めた美人が好みだ。映画好きの逢坂剛さんや川本三郎さんの評価も聞いてみたいところだ。魅力的な女優の多かったフランス映画が減ったのは残念だと思っている。男優にも味のある人が多かった。

 外国映画の女優もさほど知らないので、日本映画となると皆目分からない。篤姫の宮崎あおいくらいはわかる。倍賞千恵子の歌声が好きだ。最近は全く見ていないが、国民的女優の吉永小百合は未だに大根と思っている。

 絵はまだまだ途中なのだが変わって行く様をお目に掛けておこう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

天体観測と患者観測

2014年12月20日 | 医療

                

 今ではコンピュータを使った補正がされるので天体観測のずれは問題にならなくなっているようだが、半世紀以上前は天体観測にも観測者による誤差があり、その誤差には観測者の癖というか個性が出ていたようだ。

 医療界では未だ個々の患者さんの予後を予測するコンピュータは導入できておらず、あとどれ位の余命かは医師の勘が頼りで、なかなか正確には当てられない。あと数日というのであれば、経験からかなり正確に予測できるが、何ヶ月となるとばらつきが大きくなる。私もそうであるがどちらかというと長目に予測してしまう医師が多いようだ。それにはあと三四ヶ月と思っても、心配そうな家族の顔を見ているとつい半年と言ってしまう人間の心理もが絡んでいるようだ。

 しかし中にはあと半年の予想を大幅に裏切って一年以上頑張られた患者さんもおられる。どういうわけか全て女性で、中には家族が音を上げて正直に私の方が大変などとこぼされたこともあった。そうして頑張られる患者さんも夏の暑さは越えられても冬の寒さは越えられないようだ。室内暖房がされてはいるのだが、北海道のように全館暖房でなく、すきま風が入ってくるのだろうか。

 この寒波で12年の長きにわたり寝たきりだったKさんが永眠された。亡くなる数日前まで呼びかければ返事があったのだが、眠るように亡くなられた。九十八才、百までの末娘さんの願いは叶わなかった。長く生きると、色々なことがあり、ご長女が向こうで待っておられる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

未だ進歩したい

2014年12月19日 | 人生

              

  今朝も寒い寒い。手袋をして出てきた。クリスマス前の厳しい寒波、冬将軍のメッセージかも知れない。これからも今まで通りとはいかんぞ。

  同年配のE先生、落語と語学が趣味。

 最近の落語家じゃあ誰?、「西の文珍、東の小朝ですね」。

 「小朝って、そんなにいいかね。でもちゃんと聞いたことないな」。

 「なかなかですよ」。

 「そ-か、一度聞きに行ってみよう」。

 「ところで、語学の方は。最近何勉強してるの」。

 「もう駄目駄目、憶わんない」。

 「そうかね、確かに憶えるのより忘れる方が早いもんなー」。

 とは言いつつも、密かにドイツ語会話を月に一二回勉強?している。全然進歩しないけれども。

 仕事では踏み込んで新しい問診を追加しようと考えている。それとなくお終いはどんな風にと、聞けそうな爺さん婆さんに聞いてカルテに記録しておきたい。出来るだけのことをしたというのは、どうもご本人よりも家族の心境だし、出来るだけというのは決断を避けているに過ぎないと思われることも多いからだ。大切な情報として、こうおっしゃっていましたよと伝えたいと思うようになった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする