駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

香辛料嗜好度

2009年12月26日 | 身辺記
 クリスマスにデート無し男どもで忘年会をした。趣味を通した異業種の集まりで、一番若いのが六十歳と二週間、半数が前期高齢者だ。
 東南アジア出張が長かったF氏の肝いりでタイ料理にしたのだが、辛い料理が多く、一部からブーイングが出た。どういう訳か当会では飲んべえに香辛料が苦手な者が二人ばかり、あんた達は余計飲むからいいじゃんというわけで、黙らせてしまった。香辛料にさほど強くはない私がちょうどよい辛さと感じる料理も彼らには辛すぎたようで、来年は寿司屋だなどと最後までぶつくさ言っていた。勿論、アルコールも香辛料もどんとこいという糖尿病のS氏のような人も居て、白い目で睨んでも今日は特別と二人前以上平らげていた。
 再就職で地域産業の世話をしているF氏談。地域産業育成の名案で100%通るはずだった予算が、仕分けに天下りが出席、きちんと内容を理解して居らず、質問者に突っ込まれ25%も削られたと嘆いていた。なかなか質問者は勉強していたとのこと。にわか勉強に追いつけない天下りにはイエローカードを出したい。学歴だか職歴だか知らないが、腰掛けで上にいる人にはお引き取り願いたい。
 鉄工所経営のG氏、もう駄目だなあ、来年当たり閉鎖するかなと呟く。だんだん縮小して、後継者も居らず、来年は古希ということで考えておられるようだ。さて自分はなどと考えながら火照る頬を寒風にさらしながら帰途に着いたことだ。
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忖度するなという人も

2009年12月25日 | 世の中
 天皇陛下のお気持ちを忖度するとはけしからん。この発言にはお前ごときがとかお前の都合でとかという条件が隠されている。忖度するなと脅す人も勿論忖度しているわけで、ただそれを言わないだけだ。歴史に学ぶまでもなく、こうして権威は利用されてきた。
 そうかと云ってこうした問題は軽々しくは扱えない。十分な知識経験責務を負う人達によって慎重に議論する必要があり、結論は国民の手に委ねられるものだろう。ただ、安っぽい刀で不埒な奴と斬りつければ、刃こぼれすると指摘しておきたい。
 陛下を離れれば、忖度は巷に溢れ、陛下のお気持ちを忖度したと糾弾される人こそ、滅茶苦茶に曲げて忖度されており、同情を禁じ得ない。私は政治の見巧者でも何でもなくただの町医者だが、烏合の政治記者や評論家に貶められている与党の大根役者達に、大向こうから「まずまず、これから」。と一声掛けたい。そんなことは誰でもちょっと冷静(欲得から離れ俯瞰すれば)に考えれば分かることで、声をかけるほどでもないが。
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イントロンとエクソンは教える

2009年12月25日 | 自然
 遺伝子のDNA鎖には蛋白質を合成するのに必要な部分(エクソン)と充填材の様に介在するイントロンと呼ばれる部分がある。実際に蛋白を合成するためにRNAに遺伝情報が転写されるとイントロンの部分は捨てられて必要なエクソンの部分だけが連結され蛋白合成に使われる。なぜ用もないイントロンが介在しているのか長らく謎で、進化の過程で残った滓のようなものと見なされてきた。ところが最近この役立たずが、遺伝子活用に重要な任務を負っていることがわかってきた。
 さもありなんと遺伝子研究門外漢の私は頷いている。我田引水で飛躍した連想なのだが、仕事の間には休憩が必要な理由が遺伝子レベルでも証明されたという思いがする。年を取ると休むことの大切さ、若い時と違って遊ぶというのとはちょっと違う、なんだかぼーっとしていることの意義を身に浸みて感じているからだ。
 診察というのは慣れてはいてもあれこれ神経を張り巡らせながら、様々な人に説明説得を試みる仕事で、終診時には心身共に疲れる。それでも週3,4回は勉強会などに出て九時半頃帰宅する。そうするとこの数年は書斎で何もせずぼーっと一時間ばかり過ごしてしまうようになった。若い時と違って、テレビを見たり本を読んだりできない。どうも駄目になったなあと思っていたのだが、これこそ生活のイントロンで、これがあるから働けるのだと一人納得している。生命という物は周到に出来ているものだ。
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小さなコンサート

2009年12月23日 | 身辺記
 友人が開いてくれた小コンサートに招かれ、ピアノと歌曲を堪能した。彼がよく昼食を摂るレストランで毎週金曜日にピアノを弾いている音楽科の女子学生をスカウトしてきたのだ。毎日演奏者が変わるのだが彼女が一番のびのびとダイナミックに弾いていると云う。一緒に後輩の歌曲を専門にしている声楽専攻の学生も連れてきた。
 庭にクリスマスシーズンの美しいイルミネーションが飾られた家の客間に一ダースばかりの中高年男女が集まり、コーヒーやお茶を飲みながら、ピアノ小曲と日本の歌曲を楽しんだ。直に聞く音楽の素晴らしさに心が洗われた。素朴な装いの林檎の頬のソプラノに、鍵盤を踊る指から生まれるピアニシモからフォルテの流れる音に深く感動した。濁流に混沌とする世界に美しい物がこうして確と存在している。
 贅沢という言葉には屈折が紛れ込んでいるが、それは心貧しき見解のようにも思える。若いはち切れるような笑顔を残し帰っていた彼女らがくれた心潤す贅沢を素直に満喫した。
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新型の思わぬ側面

2009年12月22日 | 世の中
 生老病死が避けがたいものであることは我々のような仕事でなくとも、大人になれば誰しも骨の髄に浸みて理解していることだ。まあしかし、それに関わることを生業にしていると、不謹慎のそしりを受ける感覚も出来てくる。医師はさほどではないと思うが、薬品販売に関わるセールスの人は、来年は花粉の飛びが悪そうでとちょっと残念そうにしている。新型インフルエンザが流行し診断検査試薬や関連薬物のセールスの人はいつになく力が入っている。
 私にはそうした感覚はないつもりなのだが、10、11月の診療報酬を見ると思わぬ新型インフルエンザ効果が出ており、あれれと思うと同時に四月以来前年比マイナスが続いていたので、正直ほっとした。
 不謹慎と思われる方も居られるかも知れないが、医療関係者は病気を防ぎ減らすように働いているわけで、新型インフルエンザの流行で一息ついても許されるだろう。
 もっとも、製薬メーカーが高血圧、高脂血症そして糖尿病の怖さを広告する場合は、それが薬の売り上げを伸ばすというインセンティブが働いているからで、多少ニュアンスは違うかもしれない。それでも、そうしたインセンティブが働いているにしても、その趣旨は正しく、掛け値なしに受け取って欲しいと思う。センセーショナルな新型インフルエンザよりも多くの人の健康と命を高血圧、高脂血症そして糖尿病は奪っているのだから。
 病気になるのはつらいことだが、病気の持つ社会的側面にもかかりつけ医やインターネット情報を活用して目を配ることは社会人としては必要だろう。世の中は回り回って動いている。風が吹けば桶屋が儲かることもあるわけだ。
 10,11月の思わぬ余録の増収にほっとしながら、ちょっと頭に浮かんだことを支離滅裂気味だが書いてみた。
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