駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

睡眠の話

2009年12月02日 | 医療
 内科でも不眠を訴える患者さんは多く、しばしば睡眠薬を処方する。というのは、生活習慣病の中高年には不眠症の患者さんが多いのだ。それで、不眠が専門の精神科医の講演を聴きに行った。いくつか一般の人にも興味が湧きそうな部分を書き出してみよう。
 不眠は三十代までは数%で四十代になると少しづつ増え始め、六十代になると数人に一人と急激に増加する。若い人には不眠でなく寝不足が多い。不眠症は中高年の病気なのだ。
 睡眠時間は年齢と共に短くなり、四十代半ばくらいから九時間眠ることが難しくなる。中高年で九時間以上眠れる人は、熟睡できていない証拠で、睡眠時無呼吸症候群等の可能性がある。毎日四、五時間の睡眠で頑張り、日曜日に十、十一時間眠って睡眠負債を返済出来るのは若い人の特権で、中高年にはもう出来ない業なのだそうである。
 成人の最も健康的な睡眠時間は7時間だそうで、これより短くても長くても生活習慣病が増え、死亡率も高くなるという統計結果が出ている。
 眠むるには身体の準備(深部体温を下げる)が必要で、眠くないのに早くから床に入っても当然寝付けない。それを気にすると今夜もまた眠れないのでないかという不安が生まれ、そのために不眠が誘発される。慢性の不眠にはこの睡眠恐怖症が絡んでいることが多い。眠れないと訴える高齢者には遅寝早起きを勧めるとよいとのこと。
 このほかに睡眠薬の使い方の話があった。
 フロアーからナポレオンのように3時間しか寝なくても良い人はどうなっているのかという質問が出たが、先生英雄を好まれないようで、本当とは思えないとのご意見であった。私はナポレオンのやったことを考えると、セントヘレナへ流されるまでは本当に3時間の睡眠で平気だったのではないかと思うのだが。
 
 
コメント
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