半世紀前中枢神経細胞は一度壊れると再生しないと習ったのだが、どうもそうでもないという知見が出てきている。脳の神経細胞は何らかの理由で再生しにくい環境にあるらしいのだが、部位条件によっては再生可能らしい。
交通事故での脊髄損傷で下半身麻痺になった患者さんには車椅子生活しかなかったのだが、スイスで下半身まひの患者さんに脳と脊髄を繋ぐデバイスを移植することで歩行が可能になったというニュースを読んだ。このデバイスのスイッチを切っても歩行可能のようで再生かどうかははっきり書いてないが信号伝達が可能になったらしい。
自動車が普及し飛行機が空を飛ぶのと同じように、医学の分野でもあきらめていた難病に光明がある。研修医の頃、死刑の判決より恐ろしかった急性白血病が治るようになった、信じられない進歩を目の当たりにしている。
残念ながら科学そのものには善悪はなく、大量殺人兵器も進歩している。遺憾ながら人間の心と精神には科学のような進歩はないようで、他人の権利を侵して自分が得をしようとする輩は後を絶たない。