駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

一枚板のテーブルの向こうに

2020年01月12日 | 旨い物

          

 

 一枚板のテーブルや机には不思議な魅力がある。唯、大きなテーブルや机には大木が必要で値段は張る。

 馴染みの地中海料理の店が移転した。シェフはまだ三十代後半で若く、最初の店は16席ばかりの小体な店だったのだが、リーゾナブルな値段で旨いのでこの三年ほどは中々予約が取れないほど繁盛していた。オープンキッチンにシェフ一人フロアに女性が一人で切り盛りしていて、よく頑張れるなあと見ていた。誰がどのように誘ったのか、シェフも移転を考えていたのか、二キロほど西の町外れに移転した。もともと東の町外れだったので繁華街を一跨ぎした形になる。例外もあるが街は東が高く西が低いことが多く、旧武士の街から旧遊郭の街に移動したことになる。百年以上昔のことだから今はそんな面影はないようでそうでもなく、今も年寄り連中には東が上?の感覚があるようだ。医師会館は東にあるのだが、二十年ほど前狭いので移そうとしたらここを離れてはならぬと言うお年寄りの医師が多く立ち消えになったくらいだ。元々土地の人間でない私は驚いた記憶がある、気位という底流は脈々と流れているようだ。

 まあ、レストランにそんな街並みがどう関係するかよくわからないが、移転後も最初から繁盛している。従業員一人の繁盛するレストランが六年あまりでどの程度の蓄財が出来たか不明だが、今度の店のテーブルは一枚板の立派なものだ。お値段は二割増し程度のリーゾナブルを維持している。客席は倍ぐらいに増え、従業員はキッチンが二人フロアが二人と四倍に増えている。この繁盛の具合なら、シェフは妥協せず自分の料理を追求具現していけるだろう。若いが頑固で妥協しない感じのシェフだが、開店早々からの客である私を大事にしてくれるのは嬉しい。これからも月一くらい食べに来たい。勿論、定番もあるがメニューは僅かづつだが変化して飽きさせない。

コメント
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